最近の "迷惑メール" の中には、やや特徴的なものが見受けられる。 "相互リンクのお願い" という類なのである。
どういうものかというと、文字通りウェブサイトで "相互リンク" を張りませんか、というものである。ちなみに、どんなものかを紹介するために、その申し出の一文を引用すると次のようになる。
<この度の、相互リンクお願いの主旨は、ヤフーやグーグルなどのキーワード検索で、お互いのHPがより上位表示されやすくするSEO対策として願い出たものでしたが、ご迷惑とお思いのサイト様には深くお詫び申し上げます。>
要するに、そこそこの "アクセス数" があるウェブサイトと "相互リンク" を張ることで、自分たちのウェブサイトへのアクセスを促進させようというものである。ただし、以前は、 "ついでの訪問客" 稼ぎといった程度の単純なかたちであったものが、やや "裏" の事情が絡んでいるかのようなのである。いわゆる "SEO対策" というやつである。
SEO(Search Engine Optimization サーチエンジン最適化 )とは、サーチエンジンの検索結果のページの表示順の上位に自らのウェブサイトが表示されるように工夫すること、なのであり、ウェブサイト関係者たちがいかにウェブ検索の結果に汲々とし始めているかということなのである。
これは、わからないわけではない。ウェブ検索を行うものは、要するに商品なりサービスなりに対する潜在的顧客ということになり、その彼らの選択や判断が、検索結果のページの上位表示の中で決まってしまうことが多いのだから、 "検索結果上位争い" が過激となるのは至極当然の成り行きなのかもしれない。
あまり自慢にはならないが、われわれのサイトは結構古くて、1997年頃から開設した。かつて "PCショップ" を並行して経営した際、そのPCパーツなどの紹介宣伝の意図もあって "恐る恐る" 開設したのである。まだ、インターネットよりも "パソコン通信" という前段階の通信形式が注目されていた時代のことである。
それでも、次第にウェブサイトというものに関心が向けられるようになり、しかも、 "PCオタク" たちが露払い役を演じたものだから、PCショップを前面に出したサイトはそこそこのアクセスを受けたものであった。ただ、当時はアクセス・カウンターを設置するひまもなく、あたふたとしていた。
そんな当時、折からウェブサイトを開設し始めた個人や会社が、われわれのウェブサイトを紹介したがった、そんな覚えがある。つまり、当時のウェブサイト閲覧者は、 "PCオタク" とは言わなくとも、PCファンが中心であったため、 "PCショップ" のウェブサイトはそうした "オタク立ち寄り所" と目され、そこに "相互リンク" を張っておけば、自分のサイトにも流れてくると考えたのであろう。
まだ当時は、ネット検索環境についてもSEOについても夜明け前の状況であったから、 "PCショップ" のウェブサイトを閲覧者たちの "繁華街" だと見なすのはあながちハズレではなかったはずなのである。
振り返れば、そんな当時に、何故もっと "先見の明" のある手を打っておけなかったのかと悔やむこともある。今ひとつ、詰めが甘かったかと感じないわけではない。
それにしてもまあ、現時点のウェブ状況は、凄まじいものがありそうだ。極端に言えば、 "SEOを制する者がビジネスを制する" と言っても過言ではないのかもしれない。そしてその分、 "何でもアリ" のような手練手管が弄されて、ウェブ状況は熾烈な様相を呈している。
その熾烈な一例として、つい先ごろも次のような報道があった。
<日本のブログの4割は「スパム」 ニフティが調査
大手プロバイダーのニフティは、日本の全ブログ記事の約4割が、読者にとってはほとんど意味のない「スパムブログ」だとの調査結果を発表した。アフィリエイト収入や特定のサイトへの誘導を狙って、自動的に頻繁に更新されるのが特徴だという......>( asahi.com 2008.03.26 )
ここで言われている「スパム」とは、検索エンジンスパムのことであり、Google や Yahoo! 等の検索エンジンで自身のウェブサイトが検索結果の上位に表示させるように、何らかの仕掛けをすること、および施されたウェブページを言うようだ。
つまり、今や大流行のブログというのも、そのコンテンツがどうこうというよりも、 "商品広告料" 稼ぎのシステムである<アフィリエイト収入や特定のサイトへの誘導>だけがターゲットとされているような、そんな実情もありそうなのである。
ネット環境とビジネスとが不可分となっている現状は、不可避のかたちでその色濃い影をも生み出しているようだ...... (2008.04.22)
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