物事の全体像や内部関係を表すのに、各要素の相互関係を比較的大きな用紙に描き出してみるとわかり易くなることがある。
例えば、コンピュータのあるアプリケーション・システムが、一体何をどう処理したり、機能したりするのかを説明しなければならない時などは、 "機能構成図" とか、 "システム概念図・構成図" とかと呼ばれる図を描き出してみると、功を奏する場合がある。
何もこんな小難しい事ではなくとも、ちょっとした "構造" を持ったような日常的な事柄を、他人に手短に説明したりする際、まるで地図でも描くように図示すると俄然わかり易くなったりするものであろう。
最近、こうした "相互関係図" とでもいうものを描いて思考を進めるという方法にやや関心を持っている。以前から、自身の問題意識を検討する際に、いろいろな描き方で活用してきた経緯はあった。
とにかく思い付いた事柄を、そこそこのスペースの用紙にどんどん描き出して、それらの関係を線などで整理してみたり、グルーピングをしてみたり、という具合にである。
昔、 "KJ法" という情報整理手法があったものだが、まあ、それに類似したことをいろいろとやったものであった。
こうした "ビジュアル" な手法というものは、結構、柔軟な思考を促してくれたり、対象間の思わぬ関係を示唆してくれたりして、思考を試行錯誤的に進めるのには役立つものである。
そんなことから、手書きスタイルから、PCを常時使って考え事をするようになってからも、MSの "Word" であるとか、 "PowerPoint" を使って、付箋のような小片スペースに "キーワード" を入力し、それをベースのスペースに貼り付けたり、位置を移動調整したりして "相互関係図" 作りのような作業をしたりしてきた。
したがって、この種の手法が、ちょっとした "別の視点" から密かに脚光を浴びていたからといってさほど気にすることもないのかもしれない。
ただ、 "なるほど" と感じたのは、こうした "ビジュアル" な手法が、 "脳内地図" とか、 "マインドマップ" とか、 "メモリーツリー" とか称されて、脳内の活動( "シナプス" のスパークを通じたニューロン間のネットワーク関係!)と対応するかのような視点で提起されていたことなのであった。
脳内でのニューロン間のネットワークは、多分、 "連想ゲーム" のような様相で展開されていそうな印象もある。だから当該のこうした "ビジュアル" な手法は、そうした脳内の様相や光景を擬似的に表現することなのです、と言われると、そうかもしれないと思わされてしまうのである。
さらに、こうした脳内の擬似状況を上手く表現することができるようになれば、逆に脳内の活動自体をも活性化させることができる......、と言わぬばかりの "売り込み" に対しても、うーむ、そうかもしれない、と感じさせられたりもするのである。
しかし、まあ過去を振り返ると、こうした "思考支援ツール" というものは、手を替え品を替えて頻繁に注目されてきた。そして、人々の思考力の活性化にホントに奏功したかどうかに多くのは議論もあろうが、ただ確実なのは、当該ベンダーのビジネス自体は多分に奏功したはずだという点であろう。どちらかと言えば、これから自分の頭が良くなるかどうかということに関心が向くよりも、こうした商品開発でビジネス・チャンスを得た者の、その頭の良さの方に感心してしまうというのが当たっていそうである...... (2008.04.11)
コメントする