朝方の雨まじりの天候が嘘のように、春本番の陽気となった。
人々の胸の内、頭の中には、春にふさわしくない沈鬱なものが渦巻いている。経済情勢の悪化に、生活を圧迫する値上げラッシュ、そしてこうした惨憺たる状況しか用意できない時の政府の不甲斐なさ......。
まあ、それでも、春の明るい天候が、日がな一日、窓の外に広がっていると、気分が救われるというものか。
春が本番となり、輝かしい新年度となった今日のような日は、願わくば人々はもっとそれにふさわしいことに目を向けたいものだったのではなかろうか。
確かに、アホらしくも転がり込んできたような観がある "暫定税率期限切れ" ガソリンに熱い眼差しを向ける気持ちは良くわかる。しかし、もっと "憤りの眼差し" をこそ向けていいのは、国民生活をバカにし切って勝手放題をやってきた官僚行政であり、それを司って来た政治のあり方だと言うべきなのではなかろうか。
この間指摘されてきたように、 "暫定法" が何の疑問もないかのように30年以上も引き摺り、加えて "道路財源" と称した言語を絶する "ムダ使い" がなされて来たというのは "異常" なこと以外ではなかろう。
しかも、この異常な推移の過程で、世間の空気が、「じゃあ地方財源に穴を空けていいのか」とか「地方を困らせていいのか」とか、挙句は一連の問題を抜本的に正そうとする野党の動きまでを揶揄するかのように持って行く(一部のマス・メディアにはこのスタンスが窺える)のは、 "ねじれ国会" どころか "ねじれ言論"、"ねじれ空気" だと言いたいところだ。
これに関連して、バカバカしいにも程があると思えたのは、<「ガソリン暫定税率維持」は温暖化対策>( 日経ネットPLUS 2008-03-31 )だとまで、 "御用提灯" を掲げての見当はずれの議論まで出てきたことである。
<土居丈朗慶大経済学部准教授は、道路特定財源の暫定税率について「経済学の立場からみると、地球温暖化対策のために暫定税率は維持する必要があり、道路整備費は厳しく精査し抑制することが重要だ」と説く。......>
<地球温暖化対策>について本当に接近するのであれば、後ろに引用する "ゴア氏" のようにアプローチすべきなのであって、取って付けたような辻褄あわせのような言い草は当面の問題を紛らわしくさせるとともに、<地球温暖化対策>自体の間違ったアプローチを促進させることになりかねないと思えた。つまり、<暫定税率>という強制的な税金的発想、しかも、大量CO2 排出主体たる企業への措置以前に、なぜ一般国民の生活に直結するガソリン代高騰が追認されなければならないのか、まったく理解できないのである。
この視点に立つならば、原油ファンドの暗躍による原油高高騰もまた、<地球温暖化対策>に資すると強弁するつもりなのだろうか。
まさに、「ガソリン暫定税率維持」に向けた "為にする議論" としか思えない。<地球温暖化対策>というような国民的課題の問題は、「ガソリン暫定税率」なんぞの問題の文脈からは切りはなされたオープンな土俵で仕切り直されて然るべき問題であろう。
大体、こうした訳知り顔でものをいいつつ、国民自身が真剣に考える機会をはぐらかすという "姑息" なスタンスが、現在の有識者たちの特徴であり、マス・メディアでもあると見えてしょうがない。
そこへ行くと、以下のような記事こそが "春爛漫" なのだと確信させられる......
<ゴア氏が大キャンペーン 温暖化防止へ300億円
【ワシントン31日共同】ゴア前米副大統領は31日、今後3年間に約3億ドル(約300億円)をテレビコマーシャルなどに投入し、地球温暖化防止を訴える大規模な啓発キャンペーンを始めた。AP通信などが伝えた。
温暖化防止の運動を、人類初の月面着陸などに例えて歴史的意義を強調するコマーシャルを近く放映する。
ゴア氏が創設した環境保護団体「気候保護同盟」が運動の中心となる。ゴア氏は「米国民が大きな声で(温暖化対策に消極的な)政策の変更を求めれば、政治家も耳を傾けるだろう」と運動の狙いを述べている。
広告費や活動費は、ゴア氏主演のドキュメンタリー映画「不都合な真実」からの収益や著作の売り上げ、ノーベル平和賞の賞金や寄付などで賄う。同団体を通じ既に約100万人が運動に協力しているが、1000万人まで拡大するのが目標という。>(2008/04/01 12:03 【共同通信】)
...... (2008.04.01)
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