やはり、ちょっとした驚き以外ではなかった。
"白いカラス" を目撃したのである。まぶしい空を背景にして広げた翼、ボディ、尾羽のすべての色が、純白というよりもやや "ベージュ色がかった白色" だったのである。おそらく、 "アルビノ" と呼ばれる何十万分の一の突然変異の "白いカラス" だったのであろう。
一瞬、この近辺ではあまり見かけないカモメだろうかと思った。が、何と、疑う余地のない泣き声、 "カァー、カァー、カァー" と連呼しているではないか。ここは、神奈川県相模原市矢部という市街地である。
ほんの一瞬のことであった。その "白いカラス" が見えたのは、車道に面した事務所北側の窓を通してであった。道路を挟んだ向かい側の建物から、事務所の屋上方向へと鳴き声高らかに飛び去ったのだった。今日は朝から気温が高いため、窓を開け放っていた。鳴き声は、その窓の先ほんの数メートルの距離で聞こえたから先ず間違いはない。
その、 "アテンション・プリーズ!" とで言いたげな鳴き声がなかったならば、朝一番(午前9時過ぎ)での机上の作業に身をかがめていた自分は、視野の片隅に何か通り過ぎたと自覚するだけで終わったことであろう。
ちなみに、 "白いカラス" を飼育している "恩賜上野動物園" に問い合わせの電話を入れてみたが、担当の方曰く "決して眼の錯覚ということではないでしょう。いたとしても不思議ではないはずです" と。
自分は日ごろから、野鳥には関心があり、いわゆる "バード・ウォッチャー" の部類に入れてもらえるはずである。つい先日も、野鳥たちの "一途な鳴き声" は好感が持てると書いたばかりである。
そうして日ごろ、野鳥たちに関心を向けていると、思わぬ所で珍しい野鳥たちを目撃したりするものだ。あの美しい水辺の鳥 "カワセミ" も、長年ウォーキング・コースとしている "境川" の遊歩道でしばしば唐突に見かけることがある。
町田近辺で "カワセミ" が飛来することで有名なのは、 "薬師池公園" であろう。そこではプロ、アマ問わぬカメラマンたちが、長い望遠レンズを大砲のように設えて、気まぐれな "カワセミ" が飛来するのを待ち構えていたりする。
しかし、 "待ち構えて" いて遭遇するのも悪くはなかろうが、何の心の準備もない状態であの鮮やかで幻想的なコバルト・ブルーの姿を眼にすると、まさに "何とかの青い鳥" を見出したようで感激させられるものである。
突然の "白いカラス" の目撃は、何か "良いこと" の訪れの前兆なのであろうか。もちろん、そうであってくれると嬉しいが、別にそこまで欲張ることもなさそうだ。考えてもみなかった "白いカラス" に偶然遭遇したというその事実だけで、結構、心躍らされているからである...... (2008.06.10)
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