<魚の群れのように一斉にさっと動く> "身体" 、そして ......

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  "情報化" 時代がますます高度化していく反面、これまでに直面することのなかった理解し難い様々な社会現象も出現している。理解し難い現象ということだから、因果関係もスッキリしているわけではない。
 がしかし、 "情報化" 時代の動きが推し進められるどこか根幹部分自体にその原因が潜んでいるのではなかろうか、という指摘も現れはじめていそうである。
 そうした種類の指摘にもいろいろとありそうだが、 "情報化" を支える人間たちの "頭や脳" のあり方そのものに言及しようとする動向はそれなりに興味深い。すでに、 "脳" のあり方をめぐっては、 "知識" 偏重傾向の問題とその弊害についての面がより多く問題視されてきたような印象もある。
  "脳" の働きのエッセンシャルな部分はといえば、まさに "創造性" にかかわる働きであり、それは "知識" とは無縁ではないにせよ、 "知識" を覚えたり、それらを使う働きの水準とは一線を画するのではないかと主張されているかのようでもある。

 自分もこうした "脳" の働きの問題に関心を寄せ続けている者の一人である。関心の焦点は、 "脳科学" と呼ばれる分野では一体どのように研究されているのかという点であったり、 "脳" の働きをどう掌握するのかによって、科学を含む文化全体のあり方や、さらに人々の生活意識のあり方さえ異なってくるのではないか、という問題意識であったりする。
 関心は多岐にわたることになるが、その一つの関心に、 "脳" とそれ以外の "身体" との関係という問題がある。従来はどちらかと言えば、 "脳" がそれ以外の "身体" をほぼ一方的にコントロールするというような、 "脳" の働きを偏重する言うならば "唯脳主義" とでも言えそうな把握がまかり通っていたかに思える。
 しかし、 "脳" とそれ以外の "身体" との関係は、そうした "主従関係" にも似たような一方的関係であるのかに次第に疑問を持つようになっている。
 今日は、その関連事実を列挙している余裕はないが、たとえば "感情(≒心)" のあり方についても、それは "脳" の独壇場で決せられるのではなく、内臓やその他の、まさに "身体" の各所からの影響を深く被っているようなのである。
 この辺の問題に切り込んでいる著作(アントニオ・R・ダマシオ著、田中三彦訳『心と脳と身体の神秘』講談社 2000.01.24 )をたどたどしく読んでいるところでもあるが、それは後日に回すとして、今日は、ちょいと面白い本にぶつかったのでそこから一部引用しておきたい。

< まずは身体と頭との関係というところからお話ししていきたいと思います。現代人は、理性信仰というか、頭に対して絶対的といっていいほど強い依頼心を持っています。しかし、そのような頭で身体をとらえていくと、頭と身体との関係は、会社組織にたとえると、バカな社長に牛耳られているダメな会社になってしまっていると思うのです。
 頭で考えて身体を動かしたり、使ったりするということは、要は知識でどうにかしようということです。しかし、知識で身体を理解したり使ったりということは、バカな社長が背や胸や腰、脚足を差し置いて、自分が使いやすい「手」ばかりを使うということです。つまり、バカ社長という頭と手という出しゃばり社員が何でもやろうとして、背や胸や腰、脚足という実力派の社員がうまく使われていない会社になってしまうわけです。
 もうこれは誇張でもなく、現代人の身体と頭の関係は、プロのスポーツ選手も含めて99パーセントの人が、バカ社長に牛耳られている会社になっていると思います。
 頭がバカ社長になると、いろいろな問題が出てきます。環境問題もそうだし、教育や心の問題もそう。実はこうした頭と身体の関係で生きていくことは、はかりしれないくらい大きなマイナスの影響を自分自身にも社会にも与えます。>( 桜井章一 + 甲野善紀『賢い身体 バカな身体』講談社 2008.02.17 )

 この引用部分は、 "古武術" を実践的に研究している甲野善紀氏が述べているのだが、同氏は、別の箇所で次のような暗喩に富んだ発言もしている。

<常識的な人の動きは、だいたいうねりながら伝わるものですが、そうではなくて全身のネットワークを魚の群れが一斉にわっと向きを変えるように動かすんです。......魚の群れのように一斉にさっと動く。これは、全身を細かく割ってすべてを同時に動かすようにするため、筋肉のパワーと異質な威力が出るし、全身で少しづつ動きを負担しているので、疲労もまた少なくてすむわけです。......>

 ここには、本来的な自然な "身体" というものが、<魚の群れのように一斉にさっと動く>というイメージで表現されているわけだが、どうもこれは、 "脳" 内でのシナプスを介在して信号が波及していくありさまを想起させるとともに、 "脳" の働き方そのものを暗示しているし、また "身体" と "脳" との関係自体をも照らし出しているかのようである...... (2008.06.29)













【 SE Assessment 】 【 プロジェクトα 再挑戦者たち 】








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