"ウェブ 2.0" 環境下での "クラウド" と "集合知" ......

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 この日誌を書く際に、ちょっとした説明が欲しい用語に出くわすと、自分はしばしば "フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』" を活用する。
<ウィキペディアは、信頼されるフリーな百科事典を――それも、質も量も史上最大の百科事典を、共同作業で創り上げることを目的とするプロジェクトです。>(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)とあるように、<百科事典>の各項目の解説をはじめとして、何から何までがウェブ参画者の<共同作業で創り上げ>られたものなのである。
 確かに、これまでの事典ように "専門家、有識者、権威者 etc." だけによって創り上げられたものではないことから、注意すべき点がないではない。潜在する不備や偏りなどを指摘して、これを使わない人がいることも知ってはいる。
 しかし、それらを "承知の上で" 活用させてもらう分には問題は少なく、そして<便利>だと言うべきではなかろうか。<便利>という点に着目するならば、 "さまざまな事実" の解説については、世の中には多くの "潜在的な有識者" というものが存在するはずであろう。そして、オープンな形で設定されているウェブシステムが、自由に場を提供しているとなれば、そうした人々の知識・情報が、実に<効率的・効果的>に、かつ無償で集約されて、巨大なデータベースが出来上がるわけである。極めて合理的だと思われる。

 昨日書いた "ユビキタス・コンピューティング" にしても、生活環境のあらゆるモノや場所にコンピュータチップが埋め込まれるわけだが、その前に、それらのチップに "ID(識別)情報" が搭載される必要があるわけであり、その数量はまさに天文学的な規模となる。この "ID情報" 付与という作業こそは、関係組織が精力的になって遂行するとしても、とてもそれだけで担い切れるものではなかろう。
 そんな事情を想定して、 "坂村健" 教授は "関係者・希望者が自由に名付け親" になってもらっていい、というような趣旨の表現をされていた。
 冒頭の "フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』" の趣旨と同様の、いわゆる "集合知" 方式だというわけなのである。

 こうした "集合知" 方式で何かを創るということですぐに思い浮かべることができる実例は、あの "ネットワークOS/Linux" ということになろうか。システム・プログラムのすべてを "オープン" にすることで、関心と力量のある参画者が自由にシステムを成長させてきたからである。
 そこには、 "部外者" とか、 "勝手に......" というような心配の視点のサイドブレーキは取り外され、それでいて通常では得がたいポジティーブな成果が着実に上乗せされたという実績が垣間見える。
 多分、相応のコントロールのための営為もあるのだろうが、そのエッセンスは "集合知" 方式への確信であり、人々の英知の蓄積に対する期待と信頼だ、と言っていいのかもしれない。

 時代は、こうした "集合知" 方式が成果を上げやすい環境だと目される "ウェブ 2.0" インターネット環境になっており、 "集合知" ビジネス(ex. クラウドソーシング、ウィキノミクス、ユーザーイノベーション ......)も各所で立ち上がりつつあるとも聞く。
 また、考えようによっては、こうした "クラウド(一般の人々)" が、集合的に環境を創造していく一つの流れとして、 "生産者" と "消費者" との境界線が既にボーダレスになってきたというような現実も想起することができる。

<成熟した高度消費社会においては、自分の求めるものを手作りするクリエイティブな消費者が生まれてきて、彼らが生産に参加することによって、生産と消費の一体化が起きる。つまりは消費者であり、同時に生産者でもあるような人たちが大量に登場してくることになり、この人たちをトフラー(未来学者:アルビン・トフラー)は「プロシューマー」と呼んだのである。>(佐々木俊尚『ネット未来図』)

 まさに、時代の一面では、 "集合知" 方式やら「プロシューマー」やらで、 "クラウド(一般の人々)" が生活環境形成に積極的に参画しているということになりそうだ。少なくとも、もはや、さまざまな少数の "エスタブリッシュメント" が、 "クラウド" を無視できなくなった時代に突入しているということになろうか...... (2008.07.09)













【 SE Assessment 】 【 プロジェクトα 再挑戦者たち 】








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