"法事" 、そして皆が薄々承知している時代変化 ......

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 昨日は、おふくろの付き添いといった格好で祖父の十三回忌の法事に行ってきた。
 最近、ますます出不精となってしまっている自分である。だが、おふくろが入れ込んでいる様子でもあるため同伴せざるを得なかった。

 結果的には、久しぶりに "いとこ" 連中と歓談できて楽しくなかったわけではなかった。大体、彼らと出会うのは、最悪、葬式の場合がほとんどであり、したがってここしばらくの彼らの印象はと言えば "喪服姿" としてしか残っていない。
 それに対して今回は、十三回忌ということもあり、 "喪服" という指定ははずされていたため、幾分様子が異なってはいた。寺での法要の方は型通り済まされ、供養のためとされた "二次会" の方に比重が置かれた気配が濃厚であった。

 そう言えば、法事の主役たる亡き祖父は、親戚一同を集めてご馳走したり大騒ぎするのが何よりも好きであった。考えてみると、祖父自身の "世話好き、派手好き" な性格が為せるわざであったと思われるが、今ひとつ、いろいろな意味における時代背景自体も後押ししていたとも考えられる。
 祖父の性格は、おふくろと同類の、いやおふくろが祖父のそれを受け継いだのであろうが、パーフェクトな "ねあか" タイプである。とにかく、大声、大笑い、活気とともに日々過ごす人であり、いわゆる影というものを知らない性格である。で、もちろん、人好きであり、喋り好きであり、だから事あるごとに大勢の者を集めて "賑やか" にすることが大好きなのである。そして、そうすることが自分の使命だとも心得ているようなふしもあったかもしれない。
 落語の話ではないが、子どもの頃に祖父から唐突な話を聞いたことがあった。
 オレが死んだらな、葬式はうんと派手にやるんだ、親戚関係の者はもちろんのこと知り合いは誰でも来てもらって、食べたい者はたらふく食って、飲みたい者は遠慮なく飲んでもらうんだ......。
 まさに、 "賑やかさ" こそが人生最高の価値だと信じて疑わなかった人だったのだろうと思う。今思えば、祖父のようなタイプの人は次第に稀有な存在となっているのであろうか。

 また、祖父が生きてきた時代というものが、祖父の性格を深く刻印したのだとも言えそうだ。農村はもちろんのこと、立ち上がり始めたばかりの都会も、人々は一年の大半を貧しさやひもじさの中で耐えて暮らし、 "盆、正月、祭り" という "ハレ" の時だけが、そうした陰鬱な "ケ" の日常を覆して、賑やかさと溢れるご馳走とで解放を演出する、といった時代環境だったはずである。
 この傾向は、戦後が終息しつつ、経済成長が立ち上がり始めた昭和30年代以降も、同じようなかたちで進行していたようだ。
 そんな中で、祖父は何ら疑う必要なく、 "ケ" の日常に対する "ハレ" という対比で、 "ハレ" を構成する賑やかさやご馳走を全面肯定する価値観を持ち続けたわけだ。

 昨日の法事で、年配の者たち(祖父の子たち)は、今後、こうした法事のような多くの者たちが集う行事が寂れていくのではないかと危惧していたかに感じたものだった。
 まして、 "賑やかさ" を第一義とした亡き祖父によって育てられてきた世代にとっては、片方で強く郷愁を抱く反面、進み行く現代という時代は、どこか異なった環境条件を提供し始めているのではないか、と懸念しているかのように受けとめられた。
 要するに、郷愁を誘う過去のあの "賑やかさ" というものは、祖父が存命だったからこそ成り立ったのであり、またあの時代だったからこそ維持されたのであり、これからはかなり異なった雰囲気になっていくのではないかと、皆が薄々承知していたかのようであった...... (2008.07.07)













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