<神戸・都賀川が大雨増水、子供と女性の計4人死亡>(2008年7月29日02時02分 読売新聞)という事故は、子どもたちが巻き込まれた事故であったことから何とも痛ましい。と同時に、何か現在の目に見えない危険を "暗示" しているような、そんな印象を受けた。
公式的には、<激しい雨で一気に増水>ということであったらしい。その詳細は次のようだったという。
<国土交通省六甲砂防事務所が都賀川上流の山中に設置した雨量計は、午後2時40分からの30分間で計38ミリの集中的な雨を観測。一方、児童らが水遊びをしていた現場近くにある県の観測地点では、同2時40分からわずか10分間に水位が134センチ増えていた。>
上流の水位の状況と下流のそれとの間にある大きな開きに驚かされる。その原因としては、いくつかの点が考えられている。
ひとつは、都賀川自体が地形的にいって "急勾配" な河川であること。
<都賀川は、六甲山系を源流とし、いくつもの河川が合流して一気に大阪湾へと流れています。都賀川自体は、神戸市灘区の市街地を南北に流れる延長1.8kmの河川ですが、直前で大きく杣谷川と六甲川の二つの河川が合流して都賀川となります>( http://www.calbac.co.jp/kikaku/040825toga/top.htm# )
そして、二つ目は、<都賀川は川底と両護岸の3面がコンクリートで固められており、雨が一気に流れ下りて、鉄砲水となったとみられる。>(上記読売新聞)という "河川の管理形態・方法" にも "盲点" が潜んでいたのかもしれない。
この点は、アスファルトで固められた都市区域が、一度豪雨となると雨水の逃げ場がなく洪水となりやすいという現象を思い起こさせる。
そして、三つ目であるが、これが冒頭で書いた "暗示" 的だということになる。つまり、現状の天候はどういうものか "急変" しやすくなっている傾向が強まっており、それは昨今しばしば指摘されている "異常気象" の現象と大いに関係があるように思われてならない。
詳細のほどはわからないが、従来の当該の都賀川は、久しく周辺住民に親しまれてきており、今回のような痛ましい "水害" はきわめてめずらしいかのようなのである。その点は、次の一文からも推察できる。
<ここは夏に河川プールとして利用されている場所。夏休みに行われるウナギや鯉のつかみ取り大会では、魚を追う子供達の歓声が川の中に響き渡ります。......都賀川の中でも上流(阪急電鉄付近)は比較的早い時期から親水整備が行われていた事もあり、子供達や家族連れの姿をよく見かけます。>( 上記 http://www.calbac.co.jp/kikaku/040825toga/top.htm# )
要するに、これまでとは比較できないほどに逸脱した気象現象が、突発的に、急激に発生(まるで "ゲリラ" 的である)することで、痛々しい悲劇が生み出されてしまったという点、その点に注目したいのである。
想定外の過激なことが瞬時に引き起こされてしまうのは、決して人間社会内部のことだけではなさそうであり、自然現象の変化もまた "ゲリラ" 的様相を呈しはじめているかのようである。多分、地球温暖化現象の余波なのであろう。
防災体制というものは、どうしても過去の経緯を踏まえた上で構築されているようである。だが、現時点での気象現象が過去の事例をじわじわと逸脱しはじめているという点に十分に配慮しなければならないと思われる。
あらゆる事柄に関して、ますますもって "発想の転換" や "通念の打破" が求められていそうである...... (2008.07.29)
コメントする