<コピペ>とその対極にあろうかと想定される "自立的思考" ......

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 知識・情報を自身の脳(心)によって十分に咀嚼すること、言い換えれば、自分の言葉で知識・情報を獲得すること= "自立的思考" 。そんなことの重要さを知らされた。

 <コピペ>という奇妙な言葉があるらしい。 "コピー&ペースト" の略だそうで、こうした略語からして首をかしげてしまう。
 パソコンやインターネットを頻繁に使っていると、単語やフレーズを、とある箇所から "コピー" して、それを他の文面に "ペースト" (貼り付け)する "技" を使いがちとなる。言ってみれば、それがパソコンによる文章作成作業の便利なところでもあろう。
 これが、自分の作成した文章の範囲内であるならば、ほとんど何の問題もない。ワープロ作業の入力において、あらかじめ "辞書機能" に簡略入力で当該単語が表示される段取りをしておくのとさほど変わらない。あるいは、文章の推敲や編集で速度アップを図るというまともな方法ということになろう。

 しかし、問題視されることになる<コピペ>というのは、他人の文章や言い回しを、ネット上から手軽に "コピー" できるのをいいことにして、それらを、あたかも自分の文章であるかのように、自分の文面に "ペースト" するという行為なのである。
 もちろん、ここから発生する第一の問題は、 "著作権侵害" 問題であろう。 "剽窃" と呼ばれることもあるはずだ。
 しかし、そうした次元未満の領域で、膨大な量の<コピペ>が積み上がり、さまざまな点での問題が生じているという。

 昨夜のTV番組(NHK クローズアップ現代「コピペ~"ネットの知"とどう向き合うか~」2008.09.02 19:30~20:00 )では、大学などの教育現場において、レポートや小論文といった課題提出の際に、まったく節操もなく、他者の文章からの安易な<コピペ>が蔓延しているとの実情が報じられていた。
 番組では、茂木健一郎脳科学者を迎えて、この<コピペ>現象の "根源的" 側面に潜む問題を照らし出そうとしており、実に好感が持てた。
 つまり、<コピペ>行為で自分の文章もどきをでっち上げたところで、自身の思考過程や脳内には何も残らず、現代情報時代の "知" に向き合うことなんぞには毛頭ならない、ということ。ネット上に既に存在する情報ではなく、自身固有の思考をどう形成し、積み上げるのかこそが問われているはずだ、という正真正銘の正論であった。

 しかし、現実は凄まじく "堕落" し切っているのがの実情のようだ。低次元な大学生たちの<コピペ>のみならず、小学生たちにも広がっているとのことである。夏休みの宿題・読後感想文に関して、その何通りもの雛形を掲載しているネットがあるとの紹介には、驚きを超えた憤りさえ感じたものであった。
 思うに、もし、<コピペ>による文章作成を、脳による思考活動だと了見違いをしているとするならば、それはとんでもない間違いなのであろう。<コピペ>作業による "脳の負荷" は限りなくゼロに近いと言うべきで、そうしたラクさゆえにここに雪崩れ込む者が少なくないのだと思われる。
 自身の経験から言っても、文章作成作業というのは、優劣はともかく濃密な脳活動そのものであり、それはしばしば小さくない緊張やストレスを伴うものだと自覚している。
 そして、その緊張やストレスと向き合うことで脳の活性化が図られているのだろうと自覚している。それはちょうど軽いジョギングが体調を整えることと酷似していそうだ。

 文章作成作業とか、 "自立的思考" というものは、言うまでもなく義務付けられた宿題や課題なんぞのために必要なのではなかろう。言ってみれば何かのためというよりは、 "自己目的" 的なものであり、それ自体が多少の苦痛と存外な喜びとを内に含んだものかと思われる。
 また、人が平凡に生きることを支える重要な要素ではないかとも思える。現代という病んだ環境にあっては、"健全さ" が危惧されるのは、身体面のみならず、 "脳や心の働き" にまで及んでいそうではないか。時代が提供し、投げ出す環境を無防備に受け入れているだけでは、ややもすれば生理的次元での不具合を招きかねない、そんな要注意文化(の要素)がないとは言えないのではなかろうか。
 そして、 "自立的思考" という側面こそは、 "脳や心の働き" のあり方に深く影響を及ぼしているような気がしてならない。ますます増え続けているとされる "鬱" 病やその傾向などは、時代環境と密接に関係した "文明病" ではないかと思うことさえある。

 <コピペ>の対極にあろうかと想定される "自立的思考" 、これを阻んでいるものは決して<コピペ>だけではなかろう。いや、<コピペ>とは現代環境の落とし穴を示すわかりやすい指標のひとつに過ぎないのであって、これに類するものは枚挙に暇がないのかもしれない。
 経済、社会(組織)、文化の領域全体を、<コピペ>モードが覆い尽くして、いまや現代人の生理的次元に変調をもたらすほどに蔓延しているかのようでもある...... (2008.09.02)













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