メモリ(半導体)類が相変わらず "安い" 。
そこで、個人レベルでは、さほど必要でもなのだけれど、PC関係でノートPCのメモリを補充すべく購入してみたり、大容量のUSBメモリや、コンパクト・フラッシュメモリを買ってみたりしている。メモリ類が高かった頃のことがどうしても忘れられずに関心を持ってしまうからなのであろうか。
しかし、自社のビジネス環境からすれば、メモリ(半導体)類が "安い" こと、つまり半導体需要が低迷していることはありがたくない傾向なのである。半導体メーカーが、増大する需要を見込んで、増産のための設備投資を精力的に進めてもらえれば、それが当社の業務にも良い影響となってくるのだが、このところかなり良くない。
景気全体が低迷して消費全体が落ち込んでいると、半導体需要につながる生産財への投資が足を引っ張られてしまう。しかも、現在の半導体製造パワー、供給力は非常に高水準にあるため、すぐに需給バランスが崩れて半導体価格はコスト割れ状況へと追い込まれたりするわけなのである。
ちなみに、国内半導体メーカーの "雄" とされる東芝でさえ、現在、半導体部門は試練の時期に遭遇しているようだ。
<東芝,NANDフラッシュ・メモリの赤字は通期で390億円
......
業績悪化の主因は半導体事業。通期で650億円の営業損失を見込んでいる。ディスクリート半導体で約100億円の黒字を確保する見通しだが,NANDフラッシュは約390億円の赤字,システムLSIも約360億円の赤字になると予測した。......>( 2008/09/19 techon.nikkeibp )
国内の半導体メーカーは、もちろん他にも存在するが、ここ2、3年で多くの企業がリタイアしたり有力企業に吸収されたりして、いわゆる "業界再編" が展開していた。そんな中で、東芝はひとりエネルギッシュに取り組んでいたと言える。
しかし、どこに原因があるのかが気になるところだ。
<利益予想の下方修正分はほぼ全額が半導体事業によるものだが,売り上げの下方修正は,その1/2がテレビや録画機などのデジタル家電を扱う「デジタルプロダクツ」事業の計画未達による。同事業の売上高は通期で当初予測を1400億円下回る見込み。この下ブレのほとんどが携帯電話機の販売不振によるものと東芝は説明する。国内市場において販売方法が変わり,買い替えサイクルが長期化したことの影響を受けたという。パソコン事業は好調を維持し,テレビ事業もほぼ計画通りに推移しているが,携帯電話機の売り上げ減をカバーするには至らなかった。>(同上)
どうもその原因としては、<携帯電話機の販売不振>が大きいようである。そしてさらにその原因をたどると、<国内市場において販売方法が変わり,買い替えサイクルが長期化したこと>に行き着きそうな気配でもある。
だが、東芝でさえ上記のような試練に直面している事実を直視するならば、半導体業界全体が小さからぬ曲がり角に差し掛かっていると見なければならないのも事実なのかもしれない。
ただ、<ディスクリート半導体で約100億円の黒字を確保>とあるが、<ディスクリート半導体>というのは、簡単に言えばLSIのような複合的な半導体ではなく、 "単機能" の半導体であり、このジャンルが今 "環境問題" との関係で注目されつつあるとのことである。つまり、電力の効率的運用・省エネ・クリーンエネルギーなどの課題解決に寄与する半導体ということのようで、新たな需要対象と目されていそうである。
この路線が軌道に乗って行けば、半導体業界にとっての次の山が見えてくるということになるのだろうか...... (2008.09.22)
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