昨日米国での株価が、 "777" ドルの下落という事態に見舞われ、その余波が世界中を駆け巡ったということだ。米国の株価大幅下落の原因はというと、ブッシュ大統領が梃子摺っている "金融安定化法案" が米議会下院で否決されたことにある。現時点での金融破綻のために "公的資金=税金" を負担することには納得できないとする国民感情(勘定)がそうさせたらしい。
"緊急回避" 対策云々という視点もわからないわけではないが、金融資本がまさに "自己利益・自己責任" で推し進めて来た挙句の破綻を、 "公的資金=税金" で後始末をするというのは、やはり即座には了解しにくいであろう。しかも、報じられているところによれば、破綻当事者たちが現状相変わらずの "優雅な" ステイタス(資産・収入状況......)をキープしているとなれば、納税者だけがなぜ "詰め腹を切らされる" のかと不快に思うのも無理からぬ判断ではなかろうか。
それに、米国政府自体が、決して "一律の判断" を採って来たわけではない。米保険最大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)は救済しましょう、しかしリーマン・ブラザーズは破綻するしかありません、という具合にである。
こうした差異にはそれなりの理由はあるとしても、 "公的資金=税金" の使われ方としては気になるところなのかもしれない。加えて、今回の "金融安定化法案" が果たして泥沼のような現状を首尾よく解決するものなのかどうかに関しても、かなりの程度 "グレー" だとも言われている。
こうした米国の金融経済の混乱に対応して、混乱を競っているかのような雰囲気があるのがこの国のようだ。今回の金融苦境に限って言えば、米国や欧州その他に比べれば "いくらかまし" だと目されている日本経済ではあるが、どうもその分政治的リーダーシップがとことん足を引っ張っているような気配を感じる。
麻生内閣スタート時の一連の "問題含み" 事象については、まともに感想を述べるのがあほらしくなるほど低次元のようだ。アンビリーバブルな閣僚失言といい、麻生首相自身の国民からは理解し難い所信表明演説といい、何をか言わんやである。
それはそうとして、ブッシュによる "金融安定化法案" と比べるのもどうかと思えるのだが、ここに来てにわかに "08年度補正予算案" に固執しはじめているのは笑止この上ない。
現況の日本経済の活性化どころか、単なる選挙前の "ばら撒き予算" であることを国民は先刻承知していよう。もし、真剣に今後を考えるならば、この間ずっと棚上げにし続けてきた "国民の審判(=選挙)" を受けてからじっくり腰を据えて挑むべきであろう。もはや、官僚立案の俄か作りの予算案なんぞでどうにかなるほどイージーな経済状況ではなくなっているはずである。首相自身が "全治3年" だと口にしているではないか。
ここに来て、 "補正予算案" 審議その他に拘泥しようというのは、言うまでもなく、 "時間稼ぎ"、"ほとぼり冷まし" 以外の何ものでもないことは、これまた国民は先刻承知しているはずである。
さらに笑っちゃうのは、自民党議員たちの中には、<早期解散に反対、自民党内で署名運動始まる>( YOMIURI ONLINE 2008.09.30 )という動きもあるらしい点だ。内部からの "跳ね上がり" 者によって序盤から色を失った格好なので、とにかく "ひとの噂も七十五日" とばかりに、選挙前の "時間稼ぎ" がしたいらしいのが見え見えではないか。
いずれにしても、米国および日本双方の現状は、破格の経済金融苦境にミスマッチな政治的リーダーシップ状況が、ただただ問題を拗(こじ)らせていると見えてならない...... (2008.09.30)
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