これから、 "氷河期" のような経済状況が何年続くのかと考えるとゾッとさせられる思いである。押し寄せて来るであろう悪条件、悪環境の実相が的確に掴めないのが何よりも不気味である。
だが、さらに不安材料となるのは、環境がどうなって行くのかについて、自分自身も含めた多くの者たちが、知識や姿勢などにおいてほぼ "丸腰" 的な状態に置かれているのかもしれない、という点なのである。進行している状況、来るべき状況に対して、真正面から対峙していくのに "スタンバイOK" とは全然なっていないということ......。
この現時点での "経済危機(金融危機)" に至る前から、時代環境の悪化はおびただしいものがあり、たとえば、すでに高齢化時代に突入してしまい "年金問題" や "医療危機" の問題の深刻さはもっと国民的規模で凝視され、 "騒がれ" ても不思議ではなかったようでもあるにもかかわらず、今ひつとおさまり返り、 "フリーズ状態" でもありそうだ。
決して騒げば何とかなるというものでもなさそうだが、逆に、この "フリーズ状態" かのような空気は一体何なのかと正直違和感を感じてしまう。
今ひとつ例を出せば、未だに撲滅されるどころか、顕著な減り方に至っていないあの "振り込め詐欺" 蔓延の実態にしても、信じがたい。漸く、関係当局が犯罪防止のためのキャンペーンをはじめたようであるが、そんなことはもっと手際よく行われるべきであっただろう。しかも現状展開されている防止策にしても手ぬるいことこの上なさそうだ。
徹底的に "叩き潰す!" という、そうあの "アンタッチャブル" のような毅然とした遂行スタイルこそが欠けていたと思えてならない。と同時に、そうしたスタイルを断固支持する民意もまた必要だったはずである。
どうも、物事は自動的に、システマティックに進行していくはずだという、妙に "迷信" めいた空気がいろいろな事態を悪化させてきたような傾向がありそうではないか。
それを "予定調和的進行" と言えば言い過ぎとなるかもしれないが、意外と、そんなものを心の奥底で "迷信" している実態がなかったとは言えないような気さえする。
しかし、そんな "予定調和的進行" とでもいうものの何から何までが崩壊し、裏切られてきたし、裏切られ続けているのが、現代という時代環境の最大の特徴だったのかもしれない。 "安全神話" をはじめとして、 "神話" の類が次々と崩れ去り、信じがたい事実が白日の下に曝け出されてきた例は数え切れないわけだ。
もちろん、今回露呈している "金融(経済)危機" で再び、三度崩壊したのは、 "市場(原理)主義" への "迷信" なのであろうが、覚めなければいけない "迷信" は、まだまだほかにも多々あるかと思われる。 "官僚機構" への無いものねだり的な信頼にしてもそうであろうし、 "マス・メディア" に対する惰性的な信頼もそれに入るだろう。
諸個人それぞれが、それぞれの現場でサバイバルしてゆかなければならない差し迫った状況で、何が "迷信" であるのかを吟味することはかなり辛いことではありそうだ。
しかし、真のサバイバルとは、この "迷信" 除去作業を抜きにしては見えてこないような気もしている...... (2008.10.12)
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