<日経平均急反発、終値1171円高の9447円 過去最大の上昇率
14日の東京株式市場で日経平均株価は急反発した。大引けは3連休前の10日比1171円14銭(14.15%)高の9447円57銭で上昇率は過去最大。10日までの7日続落による下げ幅(3091円)の4割近くを戻した。欧州各国による金融機関への公的資本注入や、金融危機打開に向けた米政府の追加対策観測などを受け、欧米金融機関の連鎖破綻リスクが後退するとの期待感が台頭。......>( 2008.10.14 NIKKEI NET )
底なしに見えた株価下降が、 "一時的" にせよ食い止められた観のあったことは喜ばしい。ただ、今回の事態の推移が果たして有効なターニング・ポイントとなるのかどうかは定かではないと言うべきだろう。
ことさらに悲観視することもないが、かといって、応急的なかたちでの公的資金投入という暫定措置とこれに向けた市場の<期待感>などで積み上がった状態を、そう手放しで喜ぶわけにはゆくまい。
この<急反発>を "砂上の楼閣" だとまでシニカルに見ることもなかろうが、逆に、この<急反発>の実際的な根拠を吟味して掛からなければ "一歩前進、二歩後退" とならないとも限らないような気がしている。
株価の推移は、人の身体でいえば "体温" のようなものであろう。で、この間の急激な下落は、人の身体でいえば異常な発熱に見舞われたということになる。そして、その異常な発熱の根底には、尋常ではない病根が蝕んでいるということだ。だから、本来の解熱治療はといえば、その病根を取り除いてこそ叶う。
が、応急治療としては、 "解熱剤" を投与することで "一時的" に熱を下げる方法が採られるわけだ。高温の続く身体が大きなダメージを受けることになるからだ。
こう考えると、<金融機関への公的資本注入>とは、熱る身体への "解熱剤投与" ということであり、株価の<急反発>とは、 "一時的" に熱が下がり治まる、という現象以外の何ものでもなさそうである。
というのも、今回の "金融危機" の根深い実態とその被害規模は、決して詳細にサーチされたわけでもなさそうだからである。
なんせ、聞きかじるところでは、今回の "危機" の足元には、著しい "金融バブル" とその "破綻" というメカニズムがあるわけで、その数字は驚くべきものだそうだ。
ちなみに、世界の "名目GDP(実体経済)" と "金融資産(投資マネー)" との関係の推移は次の通りだと言われている。
<1990年 名目GDP:3100兆円 金融資産:5500兆円 → 2007年 名目GDP:6400兆円 金融資産:2京2000兆円>
つまり、この十数年の間に、 "金融資産(投資マネー)" は "名目GDP(実体経済)" の四倍にまで膨れ上がり、まさに膨大な "金融バブル" が形成されてきたと言われている。そして、この "金融資産(投資マネー)" の中には、現在表面化しているあの "サブプライムローン" の分散リスクを組み込んだ金融商品・証券化商品などが膨大な割合で含まれているわけだ。そして、それが "焦げつく" ことになり、リーマン・ブラザーズなどの経営破綻が引き起こされたりしながら、世界的な "金融危機" パニックへと突き進んで行った......。
ここで、注目してみたいのは、 "京" という天文学的数字にまで膨らんでいた "金融バブル" の規模の巨大さであり、そしてそれが今 "バブル崩壊" という形で急速に収縮しようとしている点なのである。
また、さらに問題なのは、今回、 "崩壊" の危機に瀕している可能性のある "金融資産" の規模が、果たしてどの程度のものなのかは、専門家の間でも推定値の域を出ないと言われている点なのである。ここに、 "高度な金融工学" で "リスク分散" されたがゆえに、実態が掴みづらくなってしまった "サブプライムローン" という金融商品・証券化商品の "たちの悪さ" があるようだ。
さらに、ここに来て、新たに危ぶまれている金融商品(保険商品)、 "CDS(Credit Defalt Swap)" という "火種" も懸念されはじめているらしい。
このように、茫漠としたパースペクティブを持つ "金融危機" 状況であるらしい、ということから、たとえ、米国政府による公的資金 "最大75兆円" とか、日銀の "11兆円" だとか、あるいは欧州各国での資金投入だとかがはじまったとしても、皮肉な表現をすれば "焼け石に水" にならないとも限らない......。
もちろん、少しでもこの危機状況が好転することを切望するのだが、もう一方で、現実状況の深刻な症状をも想定しておかなければならないと...... (2008.10.14)
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