現在、食品問題では "偽装問題" もさることながら、 "賞味期限" についてもかなり騒がれている。
正直言って自分の場合、あまり気にしない。と言うか、その食べ物が傷んでいるのかどうかは、自身の五感で判断すればいいのであって、製造の日付がどうこうということではないと考えている。まして、 "賞味" というアバウトな基準で、それが過ぎると途端に "廃棄" するというようなもったいないことをするシステムがどうも納得がいかないのである。根が貧乏性だからなのかもしれないが......。
犬や猫などの動物ではないが、自身の嗅覚などによって判断すればいいじゃないかと思っている。だから、たとえ "賞味期限" 内であっても、寿司などの生ものについてはその傷み方を警戒するし、また、問題なさそうだと判断すれば期限表示を無視することもしばしばある。
ちょっと余談だが、最近の食品問題で "蒟蒻ゼリー" 加工の菓子がやり玉に上がった。子どもがその食品を喉に詰まらせ死亡するという事故があったからだそうだ。かつて自分もダイエットの観点で食べていたことがあったため、他人事とは思えなかった。と言っても、危険だと思ったのではなく、逆に、えーっ、そこまで他人(製造側)のせいにするのかぁ? という驚きだったのである。親が注意するなり、小さく切って小分けするなりすれば済むことではないか......、と思ったのである。これじゃ、かつて "訴訟社会" 米国で問題となったことと近いようだと。つまり、電子レンジの注意書きに、<猫などのペットを入れて温めないでください>と書く必要があるとまことしやかに騒がれた事例である。要するに、どこか "過保護" な風潮が吹き荒れていそうに感じるのである。
人間さまたちも、忍び寄る不況や物価高に対して "生活防衛" の姿勢が強まっていると言われているが、野生の動物たちにとっては、秋というシーズンは、来るべき冬に備えて "喰い貯め" をしなければならない季節である。先週のウォーキングの時にも、彼らのそんな様子を目にしたものだった。
そこで、川の近辺で営業しているコンビニに寄って、味付けの無いパンの塊でも買おうと思った。食パンとかコッペパンでもあればと思ったが生憎無かった。と、ぶどうパンの塊が、 "半額50円" と値札づけされているのが目に入った。良く見ると、その理由は "賞味期限" が昨日までだからだとわかった。自分が食べるとしてもパンなどであれば気にしないところだが、食べるのは鯉やカルガモたちだったのでドンマイドンマイ以外ではなかった。それをレジーに持って行く。
と、店主らしき年配の男性が応対していて、それを袋に入れようとした。そこで、
「袋はいいよ」
と、自分は言う。 "半値" にしているのにポリ袋まではいいよ、という思いだったのだ。すると、店主が実に "ご明察" のセリフを口にしたのであった。
「川で餌にするんですね。すみません、どうもありがとうございます」
自分は、何だか突然うれしい気分となったりした。この "すみません、どうもありがとうございます" のセリフにいろいろなものが凝縮されているかと思えたからである。
自分の "身内" とも言える近所の川の鯉に餌をやってくれてどうも......、という思い、 "賞味期限" というバカな基準を上手くかわしてくれてどうも......、という思い、そして、形骸化しているポリ袋をキャンセルしてくれてどうも......、という思い、そうしたすべてを年配の店主は込めていたように受けたのだった...... (2008.10.18)
コメントする