連休だと遊歩道にはジョギングをする人たちを多く見かける。体力増強に体重コントロールと、健康を意識した人たちが結構必死の形相で走っている。
自分も、以前はジョギングに精を出すこともあったが、如何せん長続きしなかった。それに、減量なんぞにはさほど効き目もないし、下手をすると膝などを傷めてしまい、あまりメリットがあると認められなかった。
そこで、長続きという観点ひとつでウォーキングに落ち着いたわけだ。減量などにもさほどの効果があるとは自認していないが、一時間程度のウォーキングは何よりも気分転換には持って来いなのである。
一頃は、デジカメをぶら下げてその気分転換を増幅させたりもした。そして、このところは、川の鯉たちへの "餌やり" でその気になっている。
"餌やり" といえば、今日もややその量が少な目だと自覚しながら行った。
すでに書いているように鯉たちの数も少なくない上に、カルガモたちまで虎視眈々として待ち構えている始末である。
今日も、鯉たちの群れに食パンのかけらを撒いていると、ニ、三十メートル離れた水面から慌てふためいて集まって来るのだった。水上飛行機が着水するような格好で、水掻きのある足を広げ、水面を滑るようにしながら翼をばたつかせて馳せ参じる。そして、かたまって黒い群れとなった鯉たちを、まるで "いなばの白兎" さながら水掻きの足で踏みつけることを辞さない。その如実な生存競争の凄まじさはちょっと見るに堪えない感じでさえある。だからこそ、餌やりをするのならば、もう少したっぷりと提供してやりたいと思わざるを得ないわけだ。
そんな印象で帰路につき、 "食パンの耳" の入手でほかに手立てはないかと思案していたところ、帰路の途中にある自家製パンを販売しているショップはどうだろうかと気づいた。灯台下暗しであった。
そこで、昼食用に何かを買うつもりで窺うことにしてみた。
何個かの菓子パンをトレイに載せてレジに向かうと若い娘さんの店員が応対した。
「そこの川の鯉たちに餌をやっているんだけど、 "食パンの耳" なんかは売っているんですかね」
自分は、トレーを差し出しながらそう訊ねてみた。
「ええ、ありますよ」
と、その店員は言いながら、振り返りながら背後の棚より10センチ立方ほどのポリ袋の包みを取り出してきた。
「ああ、それそれ。おいくらですか?」
「いや、お持ちいただいて結構なんですよ」
「えっ、悪いですねぇ」
何と、無料だというのであった。奥の厨房にはマスターがいて、チラリとこちらを見、微笑む顔を覗かせていた。
その "食パンの耳" が詰まったポリ袋は結構ズッシリとしていて、あの、事務所の近くの "20円袋" とほぼ同等の質量だと思えた。
購入したパンも含んだ袋をぶら下げて帰路につきながら、そうか、これで鯉たちの餌の入手先は二箇所となり、まあ、事前に気に留めてやりさえすればなんとか間に合いそうだな、と妙に安心した気分となるのであった...... (2008.11.02)
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