薄ら寒いこともあって、今日は朝一番のウォーキング以外は外出もせず自宅にこもって過ごしている。録り貯めたTV番組をチェックしながらDVDに焼くというようなことが時間を埋めてくれている。NHK ETV特集「神聖喜劇ふたたび ~ 作家・大西巨人の闘い ~」とかNHK 「世界ドキュメンタリー オバマ対マケイン」などは、チェックのつもりがじっくりと鑑賞することとなってしまった。
昨今は、フィクションの映画作品よりも、ノンフィクションやドキュメンタリーなどが強く興味をそそるようだ。
大西巨人やその代表作『神聖喜劇』については何度も "接触" していながら、結局読む機会を持たなかったが、大西巨人ご本人が出演した今回の番組から、作品の本質と大西巨人の思想の一端がかなり効果的に伝わってきたかに思え、感動できた。
若い主人公(大西本人)は旧日本軍の不条理さの只中で人間として誠実に生きようとしつつ、必然的に上官や組織と "抗(あらが)う" 関係となる。そして、その過程で、虚無主義的な姿勢が変容し、逆に生きること自体や生命というものを強く肯定する姿勢へと転換していくことになる......。
番組の末尾で、大西巨人が主張していた、どんな劣悪な状況の中からも自身の側の視点によって学ぶことは可能である、という教訓じみた発想は、凡庸に流れることなく伝わってきたかのように思えた。
「オバマ対マケイン」という米国放送局制作の番組は、両者がそれぞれの党内部で大統領選候補へと這い上がってゆくプロセスがリアルにトレースされていて、実に厚みのある番組となっていた。
オバマ氏が新大統領へと上り詰めて行くプロセスも、彼自身の "カリスマ的" 資質だけでなく、現在米国が置かれている終着駅的な最悪の状況との関係で紹介されていたため、オバマ新大統領の "前途多難さ" が浮き彫りとなっていた。
また、他方のマケイン氏の運動プロセスも、彼自身が "一匹狼" 的存在であったことやブッシュ現大統領との "確執" などの点から、共和党の内部において苦しい立場であり続けた様子が描き出されていて、思わずウームと唸らされたものであった。
とかく、報じられる最終の選挙戦だけを見せられていると "水面下" のどろどろとした現実がなかなか見えてこないものである。が、こうした番組からは、米国政治の頂上部分がどのような複雑な事情の堆積物に根ざしているかが見えてくるようであった。まあ、現実はさらに一筋縄では行かない複雑さを秘めているのであろうが......。
それにしても、映像コンテンツというものは、読書とは一味も二味も異なったインパクトを与えてくれるものであり、これはこれで大いに活用させてもらうべし、であろう...... (2008.11.09)
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