"定額給付金" という景気対策は、すこぶる人気がない。というよりも、この対策が、この間猛威を振るい、今後さらに悪影響を引きずり続けるであろう金融危機・経済危機の、その破壊力に対して、 "......の突っ張りにもならない" ようだと国民自体が感じ取っているということか。だから "選挙対策" という実施側のもうひとつの狙いの方も功を奏していない。
そればかりか、これを "目玉" にして消費税アップをアナウンスしてしまおうという見え透いた "作法" もバレバレとなったし、 "所得制限" がどうたらこうたらとか言ってダラダラ振りを露呈もしたし、挙句に、面倒だからと地方の市町村に "責任転嫁と丸投げ" をするといういい加減振りもいかんなく曝け出してしまった。
結局は、ほとんど誰もが喜ぶことのない "八方ふさがり" の愚策に墜してしまった観がありありではなかろうか。
何が、問題だといって、 "不純な動機" と "成り行き任せ" という二大要素が揃って事が始められたのだから、こうなることは至極当然なのかもしれない。
われわれとて、降って沸いたようなシチュエーションに遭遇した際には、似たような経験をしてきたかもしれない。じっくりと考えてみたり、日頃のポリシーに沿って動こうとはせずに、浮き足立って浮ついた判断や行動に出て、結局は、虻蜂取らずの手痛い失敗に至るという、そんな経験のことである。
そもそも、麻生内閣は "選挙管理内閣" ではなかったのか? ご当人もそのつもりであったはずだ。それなのに、この金融危機・経済危機に急展開に遭遇し、いわばドサクサに紛れて "こんな時期に政治空白を作ってはいけない" と正論ぶった貼り紙をおでこに貼り付けて走り出してしまったのだから恐れ入ってしまう。
未曾有の出来事の中で、大抵の人は、 "そこまで言うのなら自信があるのかもしれない......" と思ってしまうではないか。何か、緊急景気対策としての "隠し玉" があるに違いないと憶測してしまってもムリはなかったかもしれない。
ところが、出された "隠し玉" とは、 "ばら撒き給付金" のことだったのだから、 "な~んだ!" ということにならざるを得ない。それも、その処理が立て板に水どころではなく、横板に鳥もちといった歯切れの悪さだったのだから、 "いい加減にしろ~!" と言いたくもなろう。
昨日、民主党の小沢氏が、そうした麻生氏の理解不能な言動に対して党首会談というかたちで "苦言" を呈したようである。当然のことだと思える。
何を怯んでか、マス・メディアはいつもどおり事態を静観しているようではある。しかし、今や国民生活は、まるで戦時中の "空襲爆撃" を被った市街地さながらの状況ではなかろうか。一刻も早く、 "焼け石に水" のような子ども騙しの経済対策ではなく、持続し続けるしっかりとした経済復興対策こそが講じられなければならないはずである。
そんな対策を、現政府に期待することは、あたかも、任期も人気もなくなりつつあるブッシュ大統領に、この経済混乱を何とかしてくれと言うのと同じではなかろうか。先の金融サミットでは、 "賢い" 欧州勢は決して "無いものねだり" する姿勢をとらず、速やかにブッシュをパッシングしたかのようである。そうでなくてはならないはずだ。
麻生内閣の "器"とは、この "定額給付金" 対策の運び以上ではないことをしっかりと先読みしてしまっていいのだろうと思っている。今や国民には、悠長に構えて待つような時間的ゆとりがあるようにはとうてい思えない。
いずれにしても、この危機的状況の広がりと深さとを、そこで喘ぐ者たちの苦悩に共感しつつ推し量れるリーダーでなければ、この危機的事態をお預けしておくことはできないのではなかろうか...... (2008.11.18)
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