今や、全国の商店街が多かれ少なかれ "シャッター通り" と指摘される現状からしてみると、まだ "新旧交代" というかたちで "新店舗" が登場してくるだけまだましだと言えるのかもしれない。
この通りでは、この一、二ヶ月の間に二店舗が開業した。自分がそれらを知った時、こんな "落ち目" の景気で、いわば "地合(じあい)" が尋常ではない時期に開業するとは、かなり "挑戦的" だなぁ、と感じたものだった。
まあ、景気の客観的状況は良くなくても、人にはそれぞれの事情もあるし、また目論見や勝算もあるのだからつべこべ言うべきではないはずではある。みながこの景気を悲観視して、とことん萎縮していたのでは何も始まらないのだから、むしろ、 "火中の栗を拾う" ようなアクションもあっていいと思う。
関心を寄せてそうした新規店舗に目を向けるならば、それぞれが慎ましい "前向きさ" を感じさせる雰囲気を秘めている。痛々しいほどに......。やはり、いかにも厳しいことだろうな、と思わざるを得ないのが正直なところではあるが。
しかし、やり遂げなければならないに違いなかろう。
そう考えると、他人事ではなくなってくるのである。しかも、この時期、これから深まってゆくに違いない不況風の中、多分、 "うちだけは安全!" と高を括っていられる経営体はまず皆無に近いのではなかろうか。今回ばかりは、これまでの景気状況では "安全地帯" で澄まし顔ができていた経営体も、大なり小なり、いやかなりの程度で辛酸を舐めさせられるような予感がする。かく言う自分たちも、ひたひたと忍び寄ってくる未曾有の不況の浸水音に生きた心地がしない不安感を伴いながら耳を傾けていると言わざるを得ない。
ところで、こうした未曾有の危機状況ともなると、多分、すべてが "逆転" してしまうような、そんな感触を抱く。
つまり、これまで羽振りが良かった業種や経営体ほど、 "どんでん返し" のごとく突然の苦境に引き込まれもするだろう。と言うのも、羽振りが良かった理由そのものが、足かせへと急変するようだからである。それほどに、環境において定数的な要素と見続けてきた側面が "どんでん返し" を食らっている模様である。
簡単に言えば、 "外需" が一つのそれであり、対米、対中国への輸出依存の経営体質は、完璧に裏目に転じたと見て間違いないようだ。
また、強い競争力を目指して築き上げた生産能力が、そのまま過剰生産力とそれがもたらす膨大な不良在庫量へと転化しているようでもある。
そして、これらのいずれもが、巨大なスケールであるために、 "臨機応変な小回り" でスピーディーに対処することを阻み続けてもいそうである。
そうした "恐竜たち" の苦悩に対して、それでは "小動物" たる生き物たちの被害状況はどうかと言えば、大局的には変わるはずがない。もとより、この国の経済の基本的な仕組みでは、 "小動物" は、 "恐竜たち" の食べ残し(下請け)に依存する傾向が大であったのだから、 "恐竜、転べばみな転ぶ" となりがちだと認めざるを得ないこととなる。
また、このような未曾有の経済危機の最中に、そうした基本的な仕組みを離脱した経路を、非力な "小動物" たちが見出していくことは、ラクダが針の穴を通過するほどに困難なことだと言えそうである。
しかし、それしか方途がないと自覚した時に、まんざら何も生まれないとは言い切れないのかもしれないと感じている。まして、上述の "どんでん返し" のリストの中には、 "左脳優先のビジネス力" という項目も含まれていそうでもある。とかく、危機的状況にあっては、 "左脳に基づく能力" は限界を露呈し、 "右脳" や感情に近い能力が威力を発揮するとも見られている......。
この経済危機を前にして、今、要請されているのは、国や国際協力に基づく大掛かりな金融制度の見直しであることは疑いない。とともに、今ひとつ、スモール・ビジネスに携わる者たちがこれを機してに新たなチャレンジに一歩も二歩も踏み出すことも極めて重要なのかもしれない、と感じつつある...... (2008.11.20)
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