米国は主要当事国ということで、破綻寸前の私企業への "公的資金注入" 如何という課題で汲々としている。 "市場原理主義" を標榜してきた国の企業群が、ここに来て "公的資金注入" による "公的管理" や "国営化" まがいの実体へと変貌するというのは、一体何ということだろうか。
またフランスは、早々と "消費税" の期間限定引き下げ策を実施したようだ。17.5%を15.0%に引き下げたとかで、果たしてそれによる消費刺激がどれほどのものかという効果のほどは疑問視されてもいるようだ。
しかし、どこへ行ってしまったのかわからない "定額給付金" 策よりは、はるかにオーソドックスな手法と言えそうだ。おまけに、口だけの "スピード感" ではなく、さっさと実施する姿勢はスマートだとさえ言えよう。
こう考えると、こうした経済危機の最中に "政治的空白" は作れないとか、 "何よりも経済対策が必要" だと口先だけでは奇麗事を言いながら、事実上何一つ緊急対策を講じていないこの国の政権は、そんなことでよく務まるものだと開いた口が塞がらない。
まあ、政権には政権の "姑息な" 事情もあるのだろうから、それは措くとしても、ここに来て、財政再建方針などを反故にするような節操のない "数字の積み上げ" 策をやろうとしている。いかにも、自分のカネではないと心得る者たちならではの出鱈目ぶりだと "感心" している。
それにしても、この国では、 "理念" や "方向性" というものはどうして問われないのであろうか。 "100年に一度の危機" だとするならば、もちろん当面の景気対策という "戦術" も重要には違いなかろうが、どんな国として経済を発展させて行くのかというような "理念" なり "方向性" がなくては話にならないのではなかろうか。つまり、 "戦略" めいたものがまったく議論のテーブルに上げられないというのは情けない限りであろう。
今日、とある "経済コラム" でナルホドと唸らされたものがあった。以下、それを抜粋して引用する。
<たとえば給付金2兆円の使い道ですが、これを電気自動車普及のための補助金に使うと、200万円の補助金を100万台分用意できます。電気自動車の開発を促進するだけではなく、大量生産にゴーサインが出せる結果、大幅なコストダウンと品質の安定が可能になります。この2つこそ電気自動車普及の最大の難関なのですから、それを可能にできれば日本は一気にデファクト・スタンダードを獲得することができるでしょう。電気自動車で世界の覇権が握れます。
そして、リチウムイオン電池を初めとして、電気、電子等、多くの分野への波及効果もあり、雇用の拡大も可能です。ハイブリッド車の普及が10年で約100万台だったことを考えると、大変に効果的な施策ではないでしょうか。
しかも、2兆円の補助金が不要になるかもしれません。100万台に補助金が出るとなれば、大量生産が可能になって車両価格はおそらく100万円の後半になるでしょう。電気自動車の維持費の安さ(60銭/km)を考えれば、この価格は普及を大いに促進させます。つまり、補助金がなくとも売れるのです。2兆円は見せるだけでよいのです。100万台分の補助金を政府が保証するだけで、実際の資金は不要なのです。
夢のような話かもしれませんが、痛い目にあった米国はオバマ政権の下、こうした思い切った施策を実施しないとも限りません。明日はわが身にだけはなりたくないものです。関係者の方々は、くれぐれもご用心のほどを....。>( 日経エコロミー 2010年に生き残るクルマ(舘内端) 明日はわが身か、ビッグスリーの低迷 08/12/02 http://eco.nikkei.co.jp/column/eco-car/article.aspx?id=MMECc7000001122008 )
)
なお、この筆者は、現在米国での "ビッグスリー(フォード、クライスラー、GM)" の危機問題については、次のように手厳しくコメントしている。
<SUV( Sports Utility Vehicle 引用者注)に対して、米国の政府は環境と税金の2面で得点を与えていたということです。それは、米国の政府とビッグスリーは、地球温暖化と石油需給のひっ迫に無関心どころか、それを促進するような施策と戦略をとったということです。環境対策、エネルギー対策を欠いた結果が、今日の米国とビッグスリーの姿ではないでしょうか。>
今後、いろいろと問題含みとされる "ビッグスリー" の危機が米国でどう対応されて行くのかは眼が離せないが、もっと眼が離せないのは、日本の "危機管理能力" であるに違いなかろう...... (2008.12.03)
コメントする