何か "明るい材料" はないものかとネットの新聞社サイトをチェックしてみるも、そんなものが見当たるどころか、ウンザリするほどに湿った言葉ばかりである。やれ "下方修正......" というフレーズやら "リストラ" 、 "人員整理" といったタームばかりがやたらに目につく。
ちなみに、＜NIKKEI NET＞の「最新景気ニュース」（「景気ウォッチ」）欄には次のような "ネガティブ" な項目が羅列されている。まさにウンザリ以外ではない。
＜ (12/9) ＧＤＰ改定値、年率1.8％減に下方修正 ７―９月実質
(12/8) 11月倒産11.5％増、6カ月連続で1000件超 帝国データ調べ
(12/8) 11月の街角景気、２カ月連続で過去最悪更新 悪化は８カ月連続
(12/8) 11月のマネーストック、広義流動性0.4％減 ５年７カ月ぶりの減少幅に
(12/8) 全国銀行、11月の貸出残高3.6％増 企業の借り入れ依存映す
(12/8) 10月経常黒字半減 輸出落ち込み８カ月連続マイナス
(12/6) 11月の米雇用者、53万人減 失業率は6.7％
(12/6) 09年度の貿易黒字額、過去2番目に 貿易会予測
(12/4) ７―９月期の法人企業統計、３期連続減収減益 経常益22％減
(12/2) 11月の新車販売、27％減──11月最大のマイナス幅 ＞
これらの数字が、ここしばらくの間の一過性の数字だと見なせるならばまだしもである。現行のこの病んだ世界経済は、日本の９０年代のバブル経済崩壊後のダラダラとした長期不況であった「失われた１０年」と、ひょっとしたら同じ趨勢となるのではないかとさえ言われはじめている。それはないと思いたいわけだが、少なくとも現時点の状況、苦境が単に "序の口" の出来事でしかないことだけは否定できそうもない。
情報処理産業としてのソフトフェア業界もジワジワと追い詰められている様子だ。
われわれ自身、半導体製造関連ソフトに携わってきて、半導体製造業界がいち早く不況に陥っていたことを熟知していた。今回の世界的金融危機勃発以前にである。
とにかく、半導体需要が低迷したり、価格がダンピング状態に至るという事態は、半導体需要の主であるＩＴ関連業界やその他製造機器業界が冷え切ってしまったということ以外の何ものでもないのである。そんな傾向が現れていた。
具体的には、半導体需要を常に押し上げてきた "ＰＣ" の需要や売上が停滞し始めたし、 "ケータイ" にしても一巡したことだとか、販売方式制度の変更などによってにわかに新機種の売上が落ち込んだようである。そして、半導体需要のもうひとつの柱であり続けた "デジカメ" のジャンルも、極度の低価格化傾向などによってメーカー泣かせのジャンルとなってしまった。多分、これ以外のジャンル、たとえば "液晶ＴＶ" にしたところが同様の文脈にあり、ＩＴ機器メーカーはいずれも辛い状況に立たされていたはずだったのである。
そこへ持って来ての米国発の金融危機であった。頼みの綱であった米国国内の需要が急速に冷えはじめた上に、ドル安・円高という急激な為替変動によってメーカーの収益構造は大打撃を受けたのであろう。
こうして、ソフトウェア業界各社の少なくない部分が依存していたに違いないＩＴ機器製品製造ジャンルが尋常ではない打撃を被ってしまったのである。当然ながら、ソフト開発需要の絶対量自体が大幅にシュリンクし続けてしまった模様である。
聞くところでは、大手のソフトウェア開発企業も、プロパーの技術者たちのある部分を "遊ばせる" ようなそんな受注薄になりはじめてもいるらしい。
こうした時期の開発案件は、挑戦的なユーザーによる "難易度" がより高い案件に限られる傾向があると思われる。となると、ベテランの上級ＳＥなどは過剰勤務となっても、技術経験の浅い若手などは "蚊帳の外" とならざるを得ず、企業にとっては困った事態となるわけであろう。
今、 "採用取消し" という事態が注目を集めているが、おそらく、ソフトウェア業界においても小さくないかたちで問題化しはじめているのではなかろうか。こうした環境の時期には、決して生じてもおかしくない構造をソフトウェア開発企業は持っていると思われるからだ...... (2008.12.09）
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