<(1)単純明快である(Simple)
(2)意外性がある(Unexpected)
(3)具体的である(Concrete)
(4)信頼性がある(Credible)
(5)感情に訴える(Emotional)
(6)物語性(Story)
頭文字をつなげてSUCCESs(サクセス)の法則>
とは、<アイデア創造のヒント>をテーマとした著作[チップ・ハース (著), ダン・ハース (著), 飯岡 美紀 (翻訳) 出版社: 日経BP社 (2008/11/6) ]のポイントだそうである。人に注目され、人を動かし、そして急速に売れるようなモノを生み出すためには、以上の<6原則>を留意した<アイデア創造>が必要だというわけである。これらが、当該の対象を、人々の<記憶に焼きつく>という効果をいかんなく発揮するという。
この著作は、<全米でも150万部を超える「支持」を得た>そうである。それにしても、いかにも米国人が好みそうな命題群だと言えそうである。
たとえば、昨今の "売れたモノ" を思い返すならば、言うまでもなく "モノ" ではないが、 "オバマ米新大統領" (「新米大統領」と書くと「新米・しんまい」大統領となってしまう?)だということになろうか。
「イエス、ウイ、キャン!」などの発言はまさに、 "単純明快である(Simple)" 。また、「黒人」大統領が "意外性がある(Unexpected)" のは当然であろう。「税制改革」などからは、 "具体的である(Concrete)" との声も聞こえてきそうだ。
真似ができないほどの冷静な素振りからは "信頼性がある(Credible)" 点も頷ける。そして、さわやかな弁舌と話し振りには、 "感情に訴える(Emotional)" という点が確実にビルトインされていよう。
そして、その理想主義的色調からは、暗殺に倒れたジョン・F・ケネディ元大統領を彷彿とさせる "物語性(Story)" が満ち溢れてもいそうである。
これらは、アイデア自体がどう創造されるかという局面( "アイデア創造のプロセス" )であるよりも、創造されたアイデアがどう伝播してどう活用されるのかという局面に力点が置かれた、そんな考察のようである。
もちろん、 "アイデア創造のプロセス" においても、アイデアというものは万人に支持され得る付加価値を持つべしという留意点が重要なのだと見なせば、これらの原則を踏まえてアイデア創造が進められることには大いに意義がありそうだ。
しかし、 "アイデア創造のプロセス" 自体と、これらの原則とはやはり別次元の話であると言うべきなのかもしれない。これらの原則は、アイデアが生まれた後で、それをどう活用するのかという段階、いわばアイデアの "後工程" の話だと考えた方がわかりやすい。当然、アイデアの "前工程" とは "アイデア創造のプロセス" だということである。
ただ、現代においてアイデアというものが注目される場合というのは、何と言っても、市場で商品化されて爆発的な人気を呼び、売れ筋商品へと這い上がるケースであるに違いなかろう。つまり、開かれた市場において多くの人々から支持されるアイデアこそが眼目なのであって、個人的なアイデアマンタイプの人間の足元に人知れず積み上がる自己満足的成果としてのガラクタを含むアイデアではないことになる。
こうした、いわば "市場経済上のアイデア" を想定するならば、アイデアの "前工程" とアイデアの "後工程" とは不可分なものとしてみなされなければならないのであろう。たとえ、基礎理論研究の類のような "ノーベル賞" 候補には決してなり得ない性格のアイデアであっても、要するに、一世を風靡する売上額に至れば、それでサクセスということになるわけだ。この辺の事情から、 "いかにも米国人が好みそうな命題群" だと書いたわけなのである...... (2008.12.19)
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