<雇用というのは結果であって、目的にしてはいけない> ......

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 大前研一氏が的を射た発言をしている。
 <第167回 日本の景気対策に欠けていること(経営コンサルタント 大前研一「産業突然死」の時代の人生論/日経BP社 "SAFETY JAPAN" )>の中から二点ほど引用してみたい。
 その一は、<お金のない人にばらまいても景気はよくならない。使ってくれる人、使う余裕のある人の背中をポンと押す動機をつけるために金を使う。これが、わたしが主張してきた景気対策であり、「心理経済学(講談社)」の要諦(ようてい)である。>であり、その二は、<ケインズ経済学では公的部門が有効需要を創出して雇用を増やし、その結果消費が伸びるという間接的なやり方を説く。しかし、成熟経済が金融危機に陥っている場合には、これでは全く効果がない。米国も日本と同じ轍を踏み、全く効果がないと思われる需要と雇用の創出策に70兆円近い予算を通した。残念ながらうまくいかないだろう。雇用というのは結果であって、目的にしてはいけない。雇用創出を目的とした政策で、先進国で継続的な効果が認められた事例はない。>である。
 なぜ、こうした点にあえて注目するかといえば、自分は昨日以下のようなことを書いていたからである。
< 今、こんな経済危機の状況ということもあり、多くの人が "稼ぎ口" ( "儲け口" ではない)に血眼となっている。わかり過ぎるほどによくわかる。
 ただ、 "稼ぎ口" 探しには回答はなさそうだ。というのも、物事の半分のサイドにしか視野に入れていなければ、物事が上手く行くはずはないからだ。つまり、 "稼ぐ" という事柄は、 "自分側寄りの半分" の事柄であり、 "向こう側半分" 、つまり "稼がせてくれる" 相手、雇われ人ならば雇い側の会社、経営者ならば取引先企業や市場の顧客などの姿、そんなものの姿がくっきりと見えていなければ話にならないはずだろう。>(当日誌 2009.03.16)
 つまり、 "事態の全体関係をリアルに掴んで" こそ、当面の "主観的願望" も達成可能となるという論点なのである。

 むかし。 "囚人のジレンマ" という逸話に関心を抱いたことがあった。両手を不自由にされた囚人二人が、皿の上の食べ物を挟んで悩むという光景なのである。もし囚人たちが自身の "主観的願望" だけに執着するならば、修羅場の挙句、皿の上の食べ物は引っくり返されて台無しになってしまうに違いない。
 ところが、事態をリアルに掴み、この囚人たちが "相互扶助" の関係に立つならば正解が見えてくる。つまり、不自由にされた身体であっても、相手に食べさせる動作はできそうなので、それを行うわけだ。そして、より多く相手に食べさせれば、自分もそのように遇してもらえることに気づくのである。その時、出し惜しみをするならば、それがそのまま自分に対して跳ね返ってくる道理だから、相互にせっせと相手に多くを食べさせようとする、という話なのである。
 前述の論点と綺麗に重なるわけではないにしても、ものごとを上手く進めるためには、 "主観的願望" のような直接的な事柄に執着せずに、ワンクッション、ツークッション置いた手立てを講じるということが不可欠ではないかと考えたいのである。

 大前氏の論点に戻るならば、その一については、<麻生首相が推進した定額給付金>対策が<無駄金>なるだろうこと、それならばと次のような提案をする。
<一方、2兆円あれば、総社市方式はさらに大規模にできる。車を買い替える人に思い切ってすべての下取りを50万円でやります、とすれば、残存価値0円のものを持ち込まれたとしても、400万台の古いクルマの買い替え需要が一気に発生する。盆と正月が一緒に来たようになる。もちろん自動車産業だけではなく、これを冷蔵庫やテレビに、あるいは古い住宅の建て替えに使ってもよい。金を出したくなかったら、取得税、重量税などを今年いっぱいは免除、とやればいい。>と。一見、乱暴なようにも見えるが、結構、カネの動きに関する理に叶った発想である。
 また、その二の<雇用創出>については、現在、米国のオバマ大統領が苦戦しているようだが、そのオバマ氏も、<雇用創出>の側だけにウエイトが掛かり、 "グリーン対策" に関する新時代の需要が起爆しないようであったならば、かなりの打撃を被ってしまいそうか。すでに、オバマ支持率が低下しはじめているとの報道もなされている。

 いずれにしても、 "事態の全体関係をリアルに掴む" ことで、ワンクッション、ツークッション置いた手立てを講じることが、マクロ面でもミクロな個人レベルでも重要なことであるような気がする...... (2009.03.17)












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