"脳科学" が科学としての市民権を獲得してゆくためには ......

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 昨日の新聞の夕刊に以下のような記事があった。 "脳科学" という言葉に惹かれて目を通した。「脳」に関する情報への人々の人気のありようや、「脳科学」と哲学、経済、芸術との連携が着目される状況ならではの記事であろう。
 ただこの記事を読むかぎり、 "脳科学" と呼ばれる「科学」は結構 "荒っぽい" ような気がしないでもなかった。

< 宝くじが当たったとする。
①あなたは1200万円、他の人は900万円
②あなたは1260万円、他の人は1710万円。
どちらを選ぶ?
 手取りが多い②が選ばれそうだが、他者に勝ちたい①を選ぶ人も多い。...... 大学生の男女30人で調べたら、4割が①を選んだ。
 自分の利益が減っても他者の利益をより減らす「いじわる行動」だ。「いじわる」の本質をさぐるため、まず、単純にいじわるを受けた場合の脳の動きを分析した。
 ...... 脳の血流の変化を機能的磁気共鳴断層撮影(fMRI)で測った。「いじわる」されたときの脳は、とくに変化がなく普通に受け止めた。逆に、自らの利益を減らして相手の利益を増やす「親切行動」を受けると、不審に思って考える脳の部分が活発になった。
 チームの○△×□教授らは「人の本質はいじわる行動」との仮説を立てた。...... >(2009.09.12 朝日新聞 夕刊/土曜フォーカス 『脳科学 不思議の園 「思考」を測る技術進む』」)
 自分ならどちらを選ぶか......。<60万円>でも多い方がいいので、 "②" の方で処理してください! と申し出そうである。さし当たって<他の人>の取り分がどうであろうとあまり気にしない。
 では、自分は<いじわる行動>なんぞしない高潔な人柄であろうか? そんなことはない。人一倍かどうかは別にして、<いじわる>もする方であろう。
 たとえば、TVでよく "何でも鑑定団" という番組を観るが、ふと、何がおもしろいのかと自問してみると、端的に言って、欲をかきがちな "依頼人" の "鑑定依頼品" が "贋作" であったりしてそれが暴かれるのがおもしろいからだろう。これは、立派な<いじわる行動>ではなかろうか......。
 つまり、この記事の設問ですぐさま<いじわる行動>を云々するのはちょっとムリがありそうな気がするのだ。
  "他者の取り分" との比較というようなテーマは、 "差異の社会学" とでもいうようなジャンルで十分に議論されてもきた。人間はとかく他者との比較の観点で物事を判断しがちだというような事柄だ。
 だから、仮に①を選んだからといって、<他者の利益をより減らす「いじわる行動」だ>と結論づけるのは短兵急であり、単に、人間は他者との比較で物事を選択する......、と言ったって問題なさそうである。

 また、<逆に、自らの利益を減らして相手の利益を増やす「親切行動」を受けると、不審に思って考える脳の部分が活発になった。>という事実は、 "騙し" が横行する不幸な時代社会に生きていることの証しだとは言えても、これをもって<「人の本質はいじわる行動」との仮説>にまで引っ張って行ってしまうのはどうかという気がする。
 そもそも、 "科学" を名乗るならば、<本質>なんぞというタームは避けた方が良さそうだ。(<いじわる>という曖昧な言葉にしてもそうである)
 事象と事象との関係を厳密な方法吟味を経て提示するのが、仮にも "科学" と呼ばれるジャンルだと認識するのが一般的なのではなかろうか。

  "脳科学" と呼ばれるジャンルには強い興味もあるし、多いに期待したい思いもある。このジャンルが、他の諸科学や学問分野と連携していくことにも期待したい。
 だが、 "最新計測装置" を動員すれば "科学" に近づけると早合点してはいけないのではないか。他の諸科学の成果、関連概念などを、 "脳科学" 側から丹念に吟味しつつインターフェイスを構築しようとすることも多いに望まれそうだ...... (2009.09.13)












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