"特価路線" だけに集中するのではなくて、"特化路線" づくりを重点課題に ......

　昨夜、＜クローズアップ現代「なぜ客が殺到？激変　温泉旅館ビジネス」(NHK総合 2009.10.21 19:30～)＞を観た。
　＜消費不況の今、一泊二食で１万円を切る温泉宿が人気を集めている。従来にない発想でコストを削減し、低価格志向の客の心を掴んでいる。変わる温泉宿ビジネスの最前線を取材＞(NHKオンライン)というもので、一泊二食で７、８千円台の旅館が賑わっているという内容であった。
　このデフレ状況にあって、一般商品とともにホテルや旅館の "宿泊料金" もどんどん低価格化しているようだ。従来通りの価格帯で回っているところは少なく、そうしなければ "倒産" の憂き目にさえ会うという。
　そのために、食材などの "仕入れ体制" をも抜本的に見直さざるを得ないようで、まさに悪戦苦闘している。

　ただし、 "低価格化" 対策はもはや "デフォルト" のようであり、苦しい中でこれをしても思うようにはならないのがさらに辛いところのようである。 "プラスα" の戦略が求められているらしい。
　そんな中で、まさに "専門特化" 路線を打ち出しているところの "客寄せ" が一定程度 "回っている" とかなのである。
　番組では、受け入れ客を "女性客のみ" 、あるいは大多数が女性という団体のみに "限定" しているホテルの例が報告されていた。 "女性の心理" に隠れていたニーズを照らし出し、掘り起こした "専門特化" 路線が、 "回りそう！" という感触で映し出されていたのである。

　この番組でのコメンテーターを務めた＜ツーリズム・マーケティング研究所...井門　隆夫＞氏が、こうした顧客側に潜在する "特殊なニーズ" に着目する重要性を指摘していた。
　これまで、ホテル・旅館のサービスは、 "一泊二食" という "丼勘定" で当たり前と考えられてきたが、この "丼" を "細分化" して価格化する視点などが必要な時期に来ていると指摘していたのには説得力があった。
　たとえば、 "二食" にしてもその有無で価格が変わるようにすることや、 "一泊" 自体もその対象となり得るという。その前に、 "チェックイン"・"チェックアウト" の時間帯の流動化、たとえば、その日が勤務日である顧客のために午後１１時からのスタートとする設定も例に挙がっていた。
　多分、こうした路線を、通常経営の "バリエーション" 程度のものとして運用することでは、今や必要条件となっている "低価格" 条件との両立は難しいと思われる。
　つまり、 "専門特化" 路線として踏み出し、 "ロングテール" 戦略的に経営していく転換が想定されているかのようである。

　こうしたホテル・旅館業界のみならず、今や、どの分野においても "顧客の確保" が至難の業となっている。もうそろそろ、いや緊急に "特価路線" だけに集中するのではなくて、 "特化路線" づくりを重点課題にしなければ将来がない！　と痛感させられた番組であった......　(2009.10.22）