ヒト、モノ、カネ、情報の "動き" が、ボーダレスに地球規模で交錯する事態のことを "グローバリゼーション" と言うのだろう。しかも、その "動き" をもたらす原動力は、博愛精神なんぞであるわけがなく、言うまでもなく "経済・金融的価値(収益)の追求" ということになろうか。
こうしたグローバル状況での最大の問題は、とかく自然(市場)の成り行きで "アナーキー(無政府的)" となりがちなことであろう。この間の "世界金融危機" はその象徴であったに違いない。
そして、 "アナーキー" な状況が帰着するのは、いろいろな観点での "不均衡" (複数の物事の間に、力・数量・程度などのつりあいがとれていないこと)ということではないかと思える。
今朝の朝日新聞の社説、<世界経済―新たな不均衡に警戒を>( asahi.com 2009.11.10 )は、抑制的な論評ではあるものの、この時期の世界経済の勘所をはずしていない。
こうしたグローバル状況での最大の問題は、とかく自然(市場)の成り行きで "アナーキー(無政府的)" となりがちなことであろう。この間の "世界金融危機" はその象徴であったに違いない。
そして、 "アナーキー" な状況が帰着するのは、いろいろな観点での "不均衡" (複数の物事の間に、力・数量・程度などのつりあいがとれていないこと)ということではないかと思える。
今朝の朝日新聞の社説、<世界経済―新たな不均衡に警戒を>( asahi.com 2009.11.10 )は、抑制的な論評ではあるものの、この時期の世界経済の勘所をはずしていない。
「 "アナーキー" な状況⇔ "不均衡" 」という現象の、その理由を単純に考えれば、グローバルな国際社会には、一国国内の政府のごとき "統括と制御の主体" が存在しないということになる。その代替物である国際機関や協調体制・機関はあっても、問題はその実質的機能の水準だ。
昨日は、<一体、 "百年の計" を担う主体は誰なのだろうか?>という唐突にも思える疑問を発した。第一次産業などは長い時間軸で育成や管理をしなければ奏功しないだろうから、あえて "百年の計" のジャンルの課題だと思えたのだ。
しかし、リアリズムに徹して推測してみると、現実の政治状況は4年ごとの選挙やあほらしい政局を軸にして動かされていて、政治家たちの、ただでさえ貧弱な "責任感覚" はとても "百年の計" を担えるようなものであるはずがない。だからこそ、<一体、 "百年の計" を担う主体は誰なのだろうか?>という疑問が生まれてきたわけである。
たぶん、官僚機構に "良質部分" があるとすれば、だからこそ自分たちが "公僕" としてロングスパンのパースペクティブでの行政を担うのだ、と大見えを切ろう。しかし、崇高な "志" が当事者たちにも自覚できないかたちで腐敗することは歴史上枚挙のいとまがなかった。 "自己保身" という単なる荒削りな貪欲さのままに動いていく推移は、 "天下り・ワタリ" で象徴される巨額な税金の喰い潰しという事実が語っている。
この< "百年の計" を担う主体>への疑問と同様に、グローバルな国際社会・経済についても、 "一体、その主体は誰なのか?" という素朴な疑問が禁じえないわけだ。
そして、その脈絡で気づくのが "不均衡" だということになりそうだ。
上記の社説では、幾重もの意味での "不均衡" が指摘されている。
一方で、G20サミットなどの<協調は成果を上げ、世界経済は危機のどん底から回復への道が見えてきた>が、<半面、雇用や生産の縮小は深刻で、危機の出口はなお遠い。>。<金融危機の震源・米国は7~9月期の成長率が5四半期ぶりにプラスになったが>
、<米国の10月の失業率は10%を突破>し、<大手ノンバンクや地方銀行の破綻(はたん)がやまず、商業用不動産向け融資の不良債権化が懸念>。
<欧州のユーロ圏16カ国も今年下半期はプラス成長を見込む>が、<失業率はやはり10%突破が避けられそうにない>という "不均衡" ぶりだ。
プロセスの "不均衡" ばかりではなく、 "不均衡" の極め付けは "国家間" のそれであり、米・欧諸国家のもたつきに対して、<その半面、中国は7~9月期に8.9%の成長を達成した。世界銀行の推計によれば、中国が今年は8.4%成長を確保し、日米欧の需要減の分の4分の3を補うという、すばらしい勢いを保っている。>と。
で、着目すべきは、<中国に象徴される新興国の発展は世界を危機から救い出す力ともなっているのだが、手放しでは喜べない要素がある。世界経済の新たな不均衡の芽も生まれている>という点なのである。つまり、
<先進国ではデフレや不況の圧力の下で超金融緩和が続いているが、これが巨額なマネーの流れとなって、新興国の株式や不動産の市場でバブルを生みかねない。現に中国では、膨張した融資や海外マネーが株式や不動産の相場を押し上げ、行き過ぎと反動を警戒する声がくすぶっている。>と。
しかも、<先進国(の)超金融緩和>は、しばらくは止むことがないだろうという推測も成り立つ。<景気対策としての財政出動が巨額の赤字をもたらすにつれ、先進国は金融緩和への依存をなかなかやめられなくなる可能性もある>と。
こうして、世界危機の原因となった "不均衡" の、その是正のための国際協調体制自体が、<世界経済の新たな不均衡>を喚起しないとは限らない......、という "ジレンマ" に直面していそうだ。
社説は、以下のような期待感で結ばれているのだが、 "グローバリズム" の宿命でもある "不均衡" という "エア・ポケット" への対処は、かなり難しそうに見える。
<不均衡の種をいつまでもまき散らさないためには、先進国が危機から早く立ち直るよう全力を注ぐしかない。G20の協調と各国にとって試練が続く。>
...... (2009.11.10)
昨日は、<一体、 "百年の計" を担う主体は誰なのだろうか?>という唐突にも思える疑問を発した。第一次産業などは長い時間軸で育成や管理をしなければ奏功しないだろうから、あえて "百年の計" のジャンルの課題だと思えたのだ。
しかし、リアリズムに徹して推測してみると、現実の政治状況は4年ごとの選挙やあほらしい政局を軸にして動かされていて、政治家たちの、ただでさえ貧弱な "責任感覚" はとても "百年の計" を担えるようなものであるはずがない。だからこそ、<一体、 "百年の計" を担う主体は誰なのだろうか?>という疑問が生まれてきたわけである。
たぶん、官僚機構に "良質部分" があるとすれば、だからこそ自分たちが "公僕" としてロングスパンのパースペクティブでの行政を担うのだ、と大見えを切ろう。しかし、崇高な "志" が当事者たちにも自覚できないかたちで腐敗することは歴史上枚挙のいとまがなかった。 "自己保身" という単なる荒削りな貪欲さのままに動いていく推移は、 "天下り・ワタリ" で象徴される巨額な税金の喰い潰しという事実が語っている。
この< "百年の計" を担う主体>への疑問と同様に、グローバルな国際社会・経済についても、 "一体、その主体は誰なのか?" という素朴な疑問が禁じえないわけだ。
そして、その脈絡で気づくのが "不均衡" だということになりそうだ。
上記の社説では、幾重もの意味での "不均衡" が指摘されている。
一方で、G20サミットなどの<協調は成果を上げ、世界経済は危機のどん底から回復への道が見えてきた>が、<半面、雇用や生産の縮小は深刻で、危機の出口はなお遠い。>。<金融危機の震源・米国は7~9月期の成長率が5四半期ぶりにプラスになったが>
、<米国の10月の失業率は10%を突破>し、<大手ノンバンクや地方銀行の破綻(はたん)がやまず、商業用不動産向け融資の不良債権化が懸念>。
<欧州のユーロ圏16カ国も今年下半期はプラス成長を見込む>が、<失業率はやはり10%突破が避けられそうにない>という "不均衡" ぶりだ。
プロセスの "不均衡" ばかりではなく、 "不均衡" の極め付けは "国家間" のそれであり、米・欧諸国家のもたつきに対して、<その半面、中国は7~9月期に8.9%の成長を達成した。世界銀行の推計によれば、中国が今年は8.4%成長を確保し、日米欧の需要減の分の4分の3を補うという、すばらしい勢いを保っている。>と。
で、着目すべきは、<中国に象徴される新興国の発展は世界を危機から救い出す力ともなっているのだが、手放しでは喜べない要素がある。世界経済の新たな不均衡の芽も生まれている>という点なのである。つまり、
<先進国ではデフレや不況の圧力の下で超金融緩和が続いているが、これが巨額なマネーの流れとなって、新興国の株式や不動産の市場でバブルを生みかねない。現に中国では、膨張した融資や海外マネーが株式や不動産の相場を押し上げ、行き過ぎと反動を警戒する声がくすぶっている。>と。
しかも、<先進国(の)超金融緩和>は、しばらくは止むことがないだろうという推測も成り立つ。<景気対策としての財政出動が巨額の赤字をもたらすにつれ、先進国は金融緩和への依存をなかなかやめられなくなる可能性もある>と。
こうして、世界危機の原因となった "不均衡" の、その是正のための国際協調体制自体が、<世界経済の新たな不均衡>を喚起しないとは限らない......、という "ジレンマ" に直面していそうだ。
社説は、以下のような期待感で結ばれているのだが、 "グローバリズム" の宿命でもある "不均衡" という "エア・ポケット" への対処は、かなり難しそうに見える。
<不均衡の種をいつまでもまき散らさないためには、先進国が危機から早く立ち直るよう全力を注ぐしかない。G20の協調と各国にとって試練が続く。>
...... (2009.11.10)
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