「次第に過去の歴史が忘れられていく」ことへの危惧 ......

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 天皇陛下は即位20年の記念式典に先立つ記者会見に臨み、戦争に至った歴史が風化することへの懸念を示し、平和への思いを強調されたそうだ。

<日本の将来への心配を問われ、陛下は「私がむしろ心配なのは、次第に過去の歴史が忘れられていくのではないかということです」と切り出して、第2次世界大戦に至る昭和前半の道のりを回顧。「昭和の六十有余年は様々な教訓を与えてくれます。過去の歴史的事実を十分に知って、未来に備えることが大切と思います」と締めくくった。 >( asahi.com 2009.11.12 )

 <「私がむしろ心配なのは、次第に過去の歴史が忘れられていくのではないかということです」>と危惧された点に、ともに心を痛める国民は少なくないと思う。
 あまりにも、 "忘れっぽい" 国民だと恥じ入るばかりだ。
 戦争の悲惨さを身体が覚えていることはあったとしても、なぜそんなことになったのか、何に眼をつぶってしまったがゆえにそうなってしまったのかとかという、頭や心がしっかりと刻むべき事実をすっかり失念してしまっているかのようだからである。
 たぶん、 "歴史" という人間ならではの知的産物とは、まさに "頭や心がしっかりと刻み込む事実" だということのはずではなかろうか。
 「羹(あつもの)に懲(こ)りて膾(なます)を吹く」(羹の熱いのにこりて、冷たい膾をも吹いて食う。一度失敗したのにこりて無益な用心をする)という慣用句がある。 "動物水準" の正常なリアクションを言い当てたものだろう。
 悲惨な戦争の抑止には、こうした "動物水準" のリアクションも大いに必要な要素だ。文句なく "もう懲り懲り" と実感する人々の総意が大きな戦争抑止のパワーとなるからである。
 しかし、久しく言われ続けてきたように、戦後数十年も経過するならば、 "戦争体験" 世代は日毎に減ってゆく。
 この点こそが、 "頭や心がしっかりと刻み込む事実" としての "歴史" というものの重要さを今さらながら指し示しているのだと思える。

 確かに、 "歴史" を学んだからといって、 "一銭の得" にもならないであろう。会計学その他のように、ビジネス向け資格の試験に役立つわけでもない。
 いや、現実的に言えば、こうしたプラグマティック(実用主義的)な風潮の継続と凌駕、蔓延こそが、人々を "歴史" から遠ざけ、 "歴史" 的事実を風化させ続けてきた遠因となっているのかもしれない。
 プラグマティズムなどの成果が戦後経済の復興と発展をもたらした点は誰も疑わない。東西冷戦体制へと陣固めをしようとした米国が、自陣営の強化としてそれを望んだことも疑えない事実であろう。
 しかし、今現在のこの国の現実を、仮に贔屓目に見ても "情けないありさま" に見えてしかたがない。米国の支援よろしく築いたかに見えた "経済大国" というブランドもにわかに色あせつつある。しかも、ブランドがアクティブな時代に構築しておくべきであった社会的仕組み(社会福祉制度など)は杜撰そのものであり、ムダなコンクリートの残骸ばかりが眼につく "情けなさ" だ。

 国民生活はいろいろな意味で "疲弊" していて、社会問題へと突き破ってしまいそうな聞くに堪えない "犯罪" も多発している。日常的な "社会不安" がひたひたと忍び寄っているかのようだ。
 こんな時期であるからこそ、 "一銭の得" にもならない "歴史" 、けれどもきっと人間らしさを回復させるに違いない "歴史" の、その視点が欠かせないのだと思ったりする...... (2009.11.12)












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