"格安PB(プライベートブランド)" 商品の陰で泣く業者たち ......

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  "デフレ・スパイラル" へと傾く "デフレ" 状況下での "安売り競争" とその尖兵とも言える "格安PB(プライベートブランド)" 商品。
 昨日は、過激化する "安売り" が、一見、消費者にとってはありがたいことのように見えるけれども、まさに "地獄への道は善意で敷き詰められている" との表現にも似て、消費者にもしっかりと "そのツケ" が回って来ることを書いた。
 いや、実はすでに "そのツケ" は回って来ていて、もはや "格安商品" しか買えなくなっているからこそ、この現象がより一層恐ろしく感じられるわけでもある。

 昨日も大いに参考としたTV報道番組、<『追跡!A to Z「安売り競争は何をもたらすのか?」(NHK 2009年 11月28日)>でも、その実態が紹介されていた。
  "格安PB(プライベートブランド)" 商品製造の下請け会社の社員=主婦が、
「自分でも矛盾してるなと思うんですけども......」
と言いながら、給料削減=薄給ゆえに止むを得ず、スーパーでの週末の纏め買いでは、ショッピング・カートの中に "格安PB(プライベートブランド)" 商品ばかりを投入せざるを得ない光景が映されていた。
<節約の対象は食事や日用品の出費。家族4人で月5万円程度に抑えている。週末は安売りのスーパーでまとめ買いが習慣となった。ショッピングカートの中は格安プライベートブランドの商品で埋まる。安売りに苦しむ生産者が消費者としては安売りを求める! 負の連鎖が始まっていた!>
とナレーションは語る。
 一般消費者には、 "格安PB(プライベートブランド)" 商品が、水面下でどんな過酷な事態を伴いながら店頭に並べられるのかは把握しにくい。どこかで "泣いている業者" がいそうだ......、という想像くらいはできようものの、自身の困窮と闘うことで精一杯なのかもしれない。
 しかし、やはり "水面下" での惨劇は凄まじいもののようだ。
 特に、 "格安PB" 商品製造の下請け会社にとっては、これまた一見、まとまった量の仕事の発注が依頼されるのだから、ありがたい話のようにも見える。モノが売れずに生産ラインがストップ状態となったり、その効率を上げたいと望む下請け会社にとっては、発注側が誰であろうと、あるいは多少過酷な発注条件であろうと、継続可能性のある仕事の依頼は好ましいものと見えるに違いなかろう。
 しかし実態は、まさに消費者の立場と同様に "地獄への道は善意で敷き詰められている" かのようである。

 売り上げ低迷の風潮に加えて "格安PB" 商品製造の赤字で追い打ちをかけられた大手納豆メーカーが経営破たんしたことも番組では紹介されていた。
 また、 "格安PB" 商品製造の下請け別会社の社長たちも、その過酷さを口々につぶやいている。
「作る側からすると非常にきつい。本当に薄利なんです。そのなかでどうやるかというと、量を増やし、1年中稼働する。低価格商品がないと回って行かない。」(その製造を3年前に始め、今では売り上げのほとんどを占めている乾めんメーカーの社長の言葉)
「やめましたというとここでストップになりますからそれもできない。本当に何か、どんどん深みにはまっていくような世の中ですね......」(同上)
「結局、新商品がなくても売り上げだけはできちゃう、営業を一生懸命しなくても売り上げ数字だけは毎月できてしまうから、麻薬みたいなもんなんですよね......」(この悪循環から抜け出そうとしているあるソースメーカーの会社の社長の言葉)
「この分野っていうのは会計士の試算では7年くらいは持つ。でもそれ以上は続かない。すごく......もう総毛立つような恐ろしさだった......」(同上)

 何が過酷なのかというと、「販売促進費」という名の「利益補てん(この業界では古くから行われている慣行)」が、【小売】の発注側から "格安PB" 商品製造下請け会社に請求されて来るからだという。
  "格安PB" 商品製造下請け会社はただでさえ、まるで "足元を見られ" たかのような低コストの発注額を引き受ける。それは読みのできる数字なのだが、これ以外に "後日" 【小売】が "格安PB" 商品を売り切るために "さらなる安売り" を行った場合の利益縮小の、そのツケが、「販売促進費」という名目で請求されるのだという。
 前述の乾めんメーカーの場合は、<半年間で合計397万円! この要求はどんどん激化する模様、小さいメーカーは泣き寝入り。>なのだと紹介されていた。別のケースでも、<一時的に売り上げだけは伸びても、赤字になった。小売り側に支払った販売促進費などの費用は去年秋から急増し月に800万円以上も求められたことがあった。行き詰まるのは時間の問題だった。>と紹介され、こんな仕組みの存在に驚かされたものだ。
 一般消費者にとっては、売れ残った "格安PB" 商品がさらに "値下げ" されるのは、千載一遇のチャンスだと思えるはずだ。がしかし、その損失のツケを支払わされる中小零細業者が泣いていることまでは知らない......。

 この番組は、こうした悲惨な状況に喘ぎながら、こうした "悪循環" から抜け出そうとして、<豊富な品ぞろえで顧客のニーズにこたえるという本来の姿を取り戻す努力を続けている>業者の奮闘ぶりが紹介され、結ばれていた。
 現状の状況ではかなりシンドイ闘いになりそうなことは容易に想像できたものの、たぶん、そこにしか活路が見出せないのが実情であるのかもしれない...... (2009.12.04)












【 SE Assessment 】 【 プロジェクトα 再挑戦者たち 】








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