今日、12月8日は、その昔昭和16年の今日、旧日本海軍が "闇雲に!" 先の大戦、太平洋戦争を勃発させた日だ。いわゆる "真珠湾攻撃" という前代未聞の愚かな "奇襲" を企てた日だ。 "奇襲" という軍事用語は、 "開戦後" の一作戦とされるわけで、 "奇襲" と "宣戦布告" との前後関係も不明瞭(もしくは、 "宣戦布告" の方が遅れる)な作戦というのは、どう、かばってみても分が悪過ぎると思われる。
戦後の "冷戦構造" への道を睨んででの、米国による "原爆投下" は、言語道断の "非人道的" 行為である。米国民の中にもその行為を恥じる人々がいるに違いなかろう。が、旧日本軍による "真珠湾攻撃" という "暴挙" も、日本人としては実に恥ずべき選択だったと思えてならない。
戦後の "冷戦構造" への道を睨んででの、米国による "原爆投下" は、言語道断の "非人道的" 行為である。米国民の中にもその行為を恥じる人々がいるに違いなかろう。が、旧日本軍による "真珠湾攻撃" という "暴挙" も、日本人としては実に恥ずべき選択だったと思えてならない。
しかも、最近、この "真珠湾攻撃" に始まる "日米開戦" に関しては、 "当事者たち" (旧日本海軍の中枢部の面々)による "後日談" などが公表(NHKスペシャル『日本海軍400時間の証言』2009.08放送)され、そこでは呆れ返るような "反省" がなされていた。
「海軍反省会」とされ、残された録音テープには、天皇直属の戦争指導機関であった軍令部の参謀たち、太平洋戦争の作戦を立案した「海軍の頭脳」たちが、戦争の大義を十分問うこともなく、勝算もないまま、開戦へと突き進んで行った経過が隠すことなく語られていたというのである。
<「本当に国力その他検討して対米戦に勝てるのか勝てないのかを真剣に検討しなかった......」(元大佐)
「軍備拡張のためにずいぶん予算を使ったので戦えないとは一切言わない......」(元大佐)
「明治末期から大正、昭和に進むに従い、思い上がりおごりが高じ身の程を知らぬ暴走をやりついに日本を破滅に追い込んだ......」(元中佐)>(同番組より)
また、NHKでは今週、この "開戦" 当時を振り返るべく以下の二本の番組を放送し、上記番組と併せて "無謀な開戦" の実像を浮き彫りした格好だ。
<『真珠湾の謎 悲劇の特殊潜航艇』 2009.12.06>
<『日米開戦を語る 海軍はなぜ過ったのか ~400時間の証言より~』 2009.12.07>
杜撰な作戦に基づく開戦は、その杜撰さを当時の国民の眼からどう隠し、国民の戦意高揚をどう成し遂げるのかというさらなる愚策によって補われざるを得なかったわけだが、番組『真珠湾の謎 悲劇の特殊潜航艇』では、まるでサスペンス・ドラマさながらに事実が解き明かされていた。
真珠湾攻撃での開戦で、軍部が意を傾けざるを得なかったのは、先ず国民に開戦の正当性をどう訴えるのかであっただろうし、そのためには緒戦での "輝かしい戦果" をとにかく大々的にアピールすることであったに違いなかろう。あらゆる材料を駆使して、仮に誇張してでもそうする必要があったと思われる。
そこで利用されたのが、後の "特攻隊" 兵器開発の先駆けとも言われる「特殊潜航艇」であった。真珠湾攻撃では、親潜水艦から真珠湾に5隻の「特殊潜航艇」が出撃されたそうである。だが、一隻は座礁して搭乗員は捕虜とされ、残り4隻は撃沈された。
しかし、時の軍部は、 "大本営発表" として "大見得" を切る。
「夜襲による『アリゾナ』型戦艦の轟沈は、遠く港外に在りし友軍部隊よりも明瞭に認められ......」と、「特殊潜航艇」の一隻( "横山中尉" 艇)が、アメリカの主力艦アリゾナを轟沈させた、と事実を歪めて "捏造" しつつ「特殊潜航艇」の大活躍を世に広めるに至ったのだ。
そして、搭乗員は「九軍神」(捕虜となった一名の存在は完全隠蔽!)と讃えられ、軍神・横山正治をモデルとした戦意高揚のための国策映画『海軍』までが作られることとななる。軍国主義の空気が煽られていくわけだ。
とりわけ注目すべきは、この "捏造" によって人命を兵器の一部としてはばからない "特攻兵器(自爆兵器)" 開発体制が緒につくことになり、その後の特攻兵器を使った特攻隊で4000名以上の若い命が失われるに至る悲惨さは無視できない。
ところが、戦艦アリゾナ撃沈という事実は、実は「特殊潜航艇」から撃ち出された魚雷によるものではなく、真珠湾攻撃飛行隊による空爆であったことが、最近の調査で判明したという。しかも、その事実は当時の海軍軍令部においては明瞭に掌握されていたと。
当時の真珠湾攻撃飛行隊総指揮官、淵田美津雄の "手記" が最近発見され、そこにはアリゾナ轟沈に関する驚くべき記述あったそうなのだ。
当時「特殊潜航艇」の開発に深く関与していた海軍軍令部の有泉中佐が、
「渕田中佐、アリゾナの轟沈を "特殊潜航艇の戦果" に呉れないか」と密かに頼み込み、 "意図的な捏造" に及んだことが明らかになったのだという。
とかく "大本営発表" というものが国民を愚弄した "捏造報道" が多かったことは周知の事実ではあった。が、それが敗戦間近になって展開されたわけではなく、太平洋戦争にあっては、その "開戦" 時からそのものズバリであったというのは驚き以外ではない。
今日、12月8日は、米国民にとって "屈辱" の日であるばかりではないのだ。日本の旧軍令部の、ほとんど信じられない愚かさによって、まんまと欺かれた日本国民にとっても、忌まわしい "屈辱" の日として記憶すべき日だと思われる...... (2009.12.08)
「海軍反省会」とされ、残された録音テープには、天皇直属の戦争指導機関であった軍令部の参謀たち、太平洋戦争の作戦を立案した「海軍の頭脳」たちが、戦争の大義を十分問うこともなく、勝算もないまま、開戦へと突き進んで行った経過が隠すことなく語られていたというのである。
<「本当に国力その他検討して対米戦に勝てるのか勝てないのかを真剣に検討しなかった......」(元大佐)
「軍備拡張のためにずいぶん予算を使ったので戦えないとは一切言わない......」(元大佐)
「明治末期から大正、昭和に進むに従い、思い上がりおごりが高じ身の程を知らぬ暴走をやりついに日本を破滅に追い込んだ......」(元中佐)>(同番組より)
また、NHKでは今週、この "開戦" 当時を振り返るべく以下の二本の番組を放送し、上記番組と併せて "無謀な開戦" の実像を浮き彫りした格好だ。
<『真珠湾の謎 悲劇の特殊潜航艇』 2009.12.06>
<『日米開戦を語る 海軍はなぜ過ったのか ~400時間の証言より~』 2009.12.07>
杜撰な作戦に基づく開戦は、その杜撰さを当時の国民の眼からどう隠し、国民の戦意高揚をどう成し遂げるのかというさらなる愚策によって補われざるを得なかったわけだが、番組『真珠湾の謎 悲劇の特殊潜航艇』では、まるでサスペンス・ドラマさながらに事実が解き明かされていた。
真珠湾攻撃での開戦で、軍部が意を傾けざるを得なかったのは、先ず国民に開戦の正当性をどう訴えるのかであっただろうし、そのためには緒戦での "輝かしい戦果" をとにかく大々的にアピールすることであったに違いなかろう。あらゆる材料を駆使して、仮に誇張してでもそうする必要があったと思われる。
そこで利用されたのが、後の "特攻隊" 兵器開発の先駆けとも言われる「特殊潜航艇」であった。真珠湾攻撃では、親潜水艦から真珠湾に5隻の「特殊潜航艇」が出撃されたそうである。だが、一隻は座礁して搭乗員は捕虜とされ、残り4隻は撃沈された。
しかし、時の軍部は、 "大本営発表" として "大見得" を切る。
「夜襲による『アリゾナ』型戦艦の轟沈は、遠く港外に在りし友軍部隊よりも明瞭に認められ......」と、「特殊潜航艇」の一隻( "横山中尉" 艇)が、アメリカの主力艦アリゾナを轟沈させた、と事実を歪めて "捏造" しつつ「特殊潜航艇」の大活躍を世に広めるに至ったのだ。
そして、搭乗員は「九軍神」(捕虜となった一名の存在は完全隠蔽!)と讃えられ、軍神・横山正治をモデルとした戦意高揚のための国策映画『海軍』までが作られることとななる。軍国主義の空気が煽られていくわけだ。
とりわけ注目すべきは、この "捏造" によって人命を兵器の一部としてはばからない "特攻兵器(自爆兵器)" 開発体制が緒につくことになり、その後の特攻兵器を使った特攻隊で4000名以上の若い命が失われるに至る悲惨さは無視できない。
ところが、戦艦アリゾナ撃沈という事実は、実は「特殊潜航艇」から撃ち出された魚雷によるものではなく、真珠湾攻撃飛行隊による空爆であったことが、最近の調査で判明したという。しかも、その事実は当時の海軍軍令部においては明瞭に掌握されていたと。
当時の真珠湾攻撃飛行隊総指揮官、淵田美津雄の "手記" が最近発見され、そこにはアリゾナ轟沈に関する驚くべき記述あったそうなのだ。
当時「特殊潜航艇」の開発に深く関与していた海軍軍令部の有泉中佐が、
「渕田中佐、アリゾナの轟沈を "特殊潜航艇の戦果" に呉れないか」と密かに頼み込み、 "意図的な捏造" に及んだことが明らかになったのだという。
とかく "大本営発表" というものが国民を愚弄した "捏造報道" が多かったことは周知の事実ではあった。が、それが敗戦間近になって展開されたわけではなく、太平洋戦争にあっては、その "開戦" 時からそのものズバリであったというのは驚き以外ではない。
今日、12月8日は、米国民にとって "屈辱" の日であるばかりではないのだ。日本の旧軍令部の、ほとんど信じられない愚かさによって、まんまと欺かれた日本国民にとっても、忌まわしい "屈辱" の日として記憶すべき日だと思われる...... (2009.12.08)
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