現代における "急激な変化" 傾向の陰には "メディア" の影も ......

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 家の中に居ると、窓の外の陽射しに騙されてしまう。暖房が効いた屋内から一歩外に出ると何と寒いことか。日陰に残った雪の存在も肌寒さを増幅させる。
 冷たい風が首筋といわず背筋といわず吹き注ぎ、ぞくぞくとする冷え込みだ。 "立春" は暦の上だけのことであるのが恨めしくさえ思われる。
 日本海側では大雪となっているというが、たとえ冷たい風が吹いても陽射しだけは春めいている太平洋側地域は、それだけでも幸せだと言うべきなのかもしれない。
 そう言えば、もうすぐ午後五時となるがまだまだ外は明るく、やはり日も長くなり始めているのであろう。

 先日ふと思ったことだが、この国日本は "四季" というかなり明瞭な季節の変化があり、これはこれで日本人に、特有な "時間感覚" を与え、やはり生活の "ペースメーカー" の機能を果たしてきたのだろうな......、と。
 何と言っても、 "話題性" に満ちているのは間違いない。仮に、 "人の世" に変化が乏しかったとしても、人々が他愛のない会話をするのには素材として困らない。
 まだまだ冷え込みますねぇ、とか、いつの間にか春めいてきたようですね、とか、天候や季節に関わるちょっとした変化が十分日常会話の糸口になり得る。
 また、 "無常観" を引き合いに出すまでもなく、過ぎ行く時間の流れというものを実感させる。これはちょうど、列車の窓外の景色が次から次へと変化する国内と、どこまで走っても原野が続くシベリア鉄道などとの違いにも似ているのかもしれない。
 要するに、季節の変化といういわば適度な変化の彩りが退屈感を払拭させる好材料となって来たようである。まあ、こう書いているとさながら農業従事者のセリフのようで、何を能天気なことを言っているのかと思われそうではあるが......。
 しかし、現代という時代は、仮に季節の変化が無くなったとしても人々は決して退屈しないで済むようになったようだ。とにかく、 "人の世" では、緩慢な季節の変化なぞとは比べ物にならないほどの過激な変化が頻発するからである。
 しかも、季節の変化というような周期や秩序があるわけではなく、まさに無秩序、アナーキーな変化だ。そして、そのすべてが "劇画" まがいに超スピードの急展開、急旋回ときている。もはや、退屈感がどうこうというレベルではない。むしろ、その目まぐるしさに翻弄され、 "もぐら叩き" ゲーム機の前で呆然とさせられるかのようでもある。

 こんなことを感じさせられたのは、降って沸いたかのような "トヨタのリコール問題" 勃発事件だ。この年末年始頃までは、 "プリウス" といえば、最も人気の高いハイブリッド車であり、 "トヨタ" が再び明日へと躍進するためのスプリングボードの感を与えていた。それが、何十万台規模のリコール騒動となり、他の機種のリコール台数何百万台を含めると、とんでもない問題を抱えることとなった。一体、トヨタはこの "危機" をソフトランディングできるのだろうかと危惧の念を抱かされるほどだ。
 この、短い期間の間で、こうも "手の平を返す" かのような、あるいはまるで "ジェットコースター(ローラーコースター)" の起伏のような急激な上下動が異様に感じられたのである。
 昔の言葉に「月満つれば虧(か)く」というのがあったが、その変化に想定された時間はかなり悠長なものであったはずだ。だが、現在の変化に要する所要時間はそれこそあっと言う間に過ぎない。
 こうした現象で思い起こすことは、これに限らず他にも多々あるはずだ。もちろん、株取引の相場変動や為替の変動も昨今は "急騰、急落" が一般化しているし、政治状況にしても、日米両国の "民主党" の人気変動も同様である。

 これに加えて例示するには及ばないかもしれないが、 "朝青龍関引退" 問題もこの例に仲間入りさせた方がわかりやすいのかもしれない。それというのも、われわれ一般人の目に映る "急変" という事態は、実はその大半、いやすべてと言ってもいいのかもしれないが、要するに "メディアを介して伝えられる" からなのである。
 つまり、メディアは、とかく事実をセンセーショナルに扱い、 "自然な推移" を強いコントラスト手法で加工してしまいがちだからである。好ましいことはことさら好ましく持ち上げ、マズイことはことさら悲観的に表現し、それで衆目を集めるわけだ。
 そのために、 "自然な推移" が辿る過程で含んでいる多元的な要素を省いて簡略化し、事実はなだらかに紆余曲折して進行した推移を、短絡(ショート)させて描き出す、そういった "悪癖" がありそうだからである。
 良いことも悪いことも本来の事実は、現代は現代なりの因果関係で "相応のなだらかさ" で進行していたものだろうと思える。しかし、その "頭" と "尻尾" だけを唐突に報道されたり、あるいは意図的な誇張を交えたコントラスト手法で加工されて報道されると、どうしたって "急激な変化" としか見えないのが当たり前なのかもしれないと思うのである。
 確かに現代環境には、伝達報道の "リアルタイム" 処理を可能とするインフラ環境があり、これが "急激な変化" だと目に映る報道を可能にしていることは否めない。ただ、これに加えて、 "新しさを追う" メディアがことさら "唐突感" を "売り" にしてはいないかと気になるのである...... (2010.02.06)












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