"慣れ" とか "忘却" とかという、人間が自然体で秘めている "生(なま)の能力" ......

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  "慣れ" というものは侮(あなど)れないと思った。
 先週、急に襲われた(?) "飛蚊(ひぶん)症" のことである。直後には、こんな鬱陶しい影がこの先ずっと視界を邪魔するのかとげんなりしていたものだ。
 だが、一週間が経過しようとする今、不思議なほどに "さほど気にしなくなった" のである。別に、その影が薄まったわけでもない。注意を向けてみると、相変わらず、カールした髪の毛のくずのような影がしっかりと残っている。しかし、注意を向けなければ、気にしなくて済むような状態になったから不思議な感じである。
 眼科医もそう言っていたし、サイト上の掲示板にも体験者が同じことを書いていた。要するに、 "慣れてしまう" と気にもならなくなるということなのである。
 ただ、明るい陽射しの中を歩くと、その影が濃くなるためか鬱陶しさを感じないわけでもない。そこで、このところは "サングラス" を掛けるようにして誤魔化す算段をしている。まあ、そうでもして "気にしない、気にしない" の構えで臨むことにしている。
 考えてみるならば、世の中にはいくらでも "気の毒な後遺症" を背負ってしまった人たちが少なくない。
 知人のある方も、何年か前に "くも膜下出血" に見舞われ、幸い命に別状はなかったものの、半身の痺れとか、感覚機能の麻痺が残っていると聞く。中でも、気の毒なことに "味覚" の感覚が戻らず、何を口にしても苦々しい反応となってしまうという。
 歳をとると食べることの楽しみがクローズアップされてくるであろうに、それが理不尽にも突然奪われてしまうのは何とも残酷な話である......。こうした方たちにも、 "慣れ" という "救済の女神" としての慰めがひっそりと訪れて欲しいものだ。
  "慣れ" と言えば、生きものすべてはこの機能がなければ "やって行けない" のではないかと思ったりする。
 たとえば、 "飛蚊症" の話のついでに、 "視覚" のジャンルで言えば、ヒトの "視覚" というのは、網膜に映ずる外界の "倒立像" に "慣れ" てしまい、あたかもその像が "正立像" であるかのような受けとめ方をしていると言われる。
 確かに、カメラの構造を引き合いに出せば簡単にわかる。今でこそ、デジタル・カメラのモニター画面は、当たり前のごとくデジタル変換で "正立像" を作り出しているが、アナログ・カメラのフィルム上には、外界の "倒立像" が投影されているわけだ。
 なのに、ヒトは網膜上の "倒立像" を、紛いもなく "正立像" だと見なすことに、完璧に "慣れ" てしまっている。 "脳活動" の仕業だと言えばそうなのだが、これは結構高度な "読み替え" のそのプロセスに "慣れ" てしまっているということにほかならない。

  "慣れ" という機能が、生きものにある種の効用を与えているように、今ひとつ、同様の機能ではないかと思えるのが "忘却" という現象ではないかと思う。これもまた、 "すべての生きもの" がこの機能無しには "やって行けない" ような気がする。
 言うまでもなく "すべての生きもの" には、 "死" が控えているとともに、また "死別" という宿命的な現象、そしてそれに付随する "深い悲しみ(=大きなダメージ)" がついて回る。これは、豊かな感情を持つ人間だけの話ではなく、他の動物たちでも事情は同様だと聞く。
 そして、この "大きなダメージ" に対峙して、これを克服する手立ては、ほとんど在りようがない。そんな悲劇の中で、かろうじて存在する救済策! それが "忘却" だという気がしてならないのである......。

  "慣れ" であるとか、 "忘却" であるとかという、言ってみれば生きものとしての人間が自然体で秘めている "生(なま)の能力" 、そんなものに気づくこともあながちムダだとは思えないでいる...... (2010.03.19)












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