"つげ義春" の作品の "魅力" は、 "デジャブ" な影が漂っている点か? ......

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 先日、新聞で "つげ義春" と "ねじ式" という懐かしい言葉を見つけた。確か、筒井康隆(作家)氏が「漂流 本から本へ」の記事で振り返っていたものかと思う。
  "つげ義春" のマンガは、昔から好きであり、結局、マンガに加えて "写真集" や "紀行文" など、その著作の大半を手元に置くほどである。自分としては、どことなく "落語" が好きな動機と似通っているという印象を持っていたりする。

 上記の筒井康隆氏の一文は、作品 "ねじ式" の紹介にとどまっていて特に触発されることもなかったが、改めて、松岡正剛氏の 『松岡正剛の千夜千冊』/第九百二十一夜【0921】04 年1月22日/つげ義春『ねじ式・紅い花』1988 小学館文庫 に目を通し、何か重要なことに気づかされる思いがした。そのことを書こうかと思う。

  "つげ義春" の作品には、昔から妙に惹かれるところがあった。いろいろな作品があり、一概に "この点が魅力だ" と言い切ることはできない。
  "ねじ式" なぞは典型的であるが、よく知られているように自身が見た "夢" を題材にしているところからくる、退屈さの向こう側にでもある "シュール(レアリズム)" な非日常性があり、それが魅力の一点であることは間違いない。
 自身も、人一倍 "夢" には "造詣が深い(?)" ので、場面の唐突な流れには、なるほど、そう来ますか......、などと一々頷いてしまうわけである。
 かと思うと、これまた周知である "無能の人" ほか、結構、日常的なリアリズムの作品も少なくない。そして、それはそれでまた何とも "いい味" を出していて、ここでも頷くこと頻りなのである。
 だから、 "つげ義春" の作品の "魅力" とは一体何? と問うならば、意外とスッキリとした返答には苦しんでしまう。

 で、今回、松岡正剛氏の所論を読んでみて、そうか! こうした角度から見るとわかり易いわけだ! と感じたのであった。一言で言うとそれは<紀行の系譜>(前述松岡サイト)だったのだ。
 現に、自分は、ちょっと別な観点もあるがNHKTV番組の『新日本紀行ふたたび』ほど好きで、心を許す番組はなかったりする。自然があり、折々の季節があり、そしてその土地に密着する庶民の飾り気ない生活がある、そんな光景が、ゆっくり熱いお茶でも啜ろうか......(別にこうでなくともいいわけだが)というような心地よさに誘ってくれるからであろう。
 思えば、魅力的な "紀行" (文章、映像)というものは、どこか "デジャブ" (フランス語で deja vu [already seen]= もう見た、という意味)な面影を秘めているような気がしてならない。そこが "惹きつける点" なのかもしれない。
  "つげ義春" の作品の "魅力" とは、それがたとえどんな題材であっても、そうした "デジャブ" な影が漂っているからなのかもしれない。

 ちなみに松岡正剛氏の所論では当該点に関して以下のように叙述されている。

< それにしても、つげ義春ほど批評から遠いマンガ家はめずらしい。賞賛の嵐を浴びながら、つげはいっこうに、そういう大向こうの言葉には応えなかった。ただ旅をして、団地に移り住み、一丁前の妻子との日々を送って、けれども似たようなマンガと旅日記を"ものする"だけなのだ。
 そこでぼくが思うのは、次のような系譜だった。どういう系譜かは当ててみてほしい。すなわち、小島烏水、木暮理太郎、田部重治、河田棹(ツクリは貞)、大島亮吉、中村清太郎、辻まこと‥‥。
 ......
 ......他方、つげはつねにすばらしい温泉旅行記を書いていた。悟りは、そこにあったように、ぼくなどには感じられていた。当人の感情はそんな悠長ではなかったかもしれないが、けれども、あの紀行文こそはつげ義春の、幼児からやりたかったことであるらしいのだ。
 実は、さきほどあげた人物は、小島烏水で見当がついたかもしれないが、日本を代表する紀行名人たちの名だ。つげ自身だって、あるところでこれらの名をあげて、「今はそのあとを継ぐものがどうして出ないのだろうか」と書いていた。
 そう、やっぱり、そうなのだ。この紀行の系譜は、つげ義春が継げばいいはずなのである。それができる人なのである。新たな『北越雪譜』があるとすれば、それはつげ義春こそが紀行記録にすべきなのである。>(前述松岡サイト)

 やはり、松岡正剛氏の洞察は見事だと言うほかない。
 自分自身の "つげ義春" の作品への傾倒の根拠には、こうした "紀行" 的な "デジャブ" な影を慕いて(?)とでもいう面があるのかなぁ...... (2010.03.30)













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