当たり障りの無い、拘束感の無い "所属" 、それが現代ならではの流儀? ......

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 もう学校関係の卒業式も終えた頃なのであろう。街中を歩く若い子を、そんな目で見てみると、現時点では "所属ナシ" とも見えそうな子たちもいそうな気がしてくる。
 つまり、これまで "所属" していた小学校、中学校、高校などを卒業し、今は春休みのために上級の学校に入学することもなく、いわば "無所属" という状態にある子たちのことである。
 自身を振り返ってみると、こうした期間の感触というものは、夏休みとも違う "不安定" な気分であった。 "自由" だと言えばそうであるが、やはり、むしろ "不安定" と言った方が妥当だろう。特に、自分の場合、大学入試で一年間 "浪人" をしていたが、その時のこうした春は何とも居心地の悪い "不安定" さであったかに覚えている。
 人は、どんな組織であろうが、日頃、その "所属" を鬱陶しいものと感じているのかもしれない。 "所属" することによる "恩恵" や "誇り" なんぞというものよりも、 "所属" に伴う "拘束感" に大なり小なりの鬱陶しさを感じるのが実情かもしれない。
 が、いざ、一切の既存組織からの "所属" から離れる、外れると、妙に "不安定" な気分となるのもまた事実のようだ。
 しかし、 "所属" の持つ意味がかつてとは大きく "変わっている" という点にも気づかざるを得ない。
 これは、 "会社(企業)" への "所属" を例に挙げてもわかる。それは、かつては、 "就社" という意味で受け止められていて、 "終身雇用" の慣行がそれを裏打ちしてもいた。だが、 "終身雇用" 慣行が見事なほどに崩れた現在では、 "会社(企業)" への "所属" とは、とりあえず "就職" (≠ "就社" )という、 "テンポラリー性" が増したかたちに落ち着いているようだ。
 事ほど左様に、いろいろな集団・組織への "所属" ということも、時代とともにかなり変化してきたと思われる。
 この傾向は、"所属" の質が原理的に異なるとされてきた、 "コミュニティ" (= "ゲマインシャフト" )への "所属" と、 "機能集団・組織" (= "ゲゼルシャフト" )への "所属" の、その両方ともに及んでいるかのようである。
  "コミュニティ" の代表格である地域社会への "所属" にしても、もはや "所属感" というような意味合いの実感は薄れ果てているかのごとくである。
 言うまでもなく、 "家族" は "コミュニティ" それ自体であるはずの集団だが、ここでも実態的にはかなりの変化に見舞われ、その構成メンバーの誰もがその "所属" の内実を凝視するのを躊躇うほどなのかもしれない......。

 こうした "所属(感)" の移り行きの足元には、激変する現代の生活様式の変化や、情報社会環境の変化、とりわけネット情報環境が目白押しとなっている事実が横たわっているわけだ。ネットやケータイを通じて、空間的拘束を飛び越えて他者たちと繋がったり、 "情報関連" の "サークル" や "コミュニティ" に "所属" することは、多くの人々の日常茶飯となっている。
 もちろん、 "匿名" であったり、顔も知らない関係での、これらへの "所属" は、従来の "所属" とは比較にならないほどに "緩やか" で "垣根が低い" ものとなっていそうだ。ほとんど、かつての "所属" が随伴させていた "拘束" というものは無いに等しい。逆に言えば、そんなまるで "陽炎(かげろう)" か "空気" のような感触とさえ言える "所属" でよく満足できるものだとさえ思われるほどである。
 が、当たり障りの無い、拘束感の無い "所属" 、それがいいも悪いも "この現代ならではの流儀" であるに違いない...... (2010.03.31)












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