"こういうドキュメンタリー映画(映像)って良さそうだなぁ" と、思わず手を打ってしまった。
"SL" が好きで、 "メカ" にも目がない......、というような者( boy )たちには待ち遠しくてならない映画ではなかろうか。そして、監督が "山田洋次監督" とくれば、自分なぞは今からワクワクとした気分となってしまう。
<「SL復元の過程、映像作品に残す 山田洋次監督が撮影」>( 日本経済新聞 2010.04.07 ) というものである。
< JR東日本の清野智社長は6日の定例記者会見で、同社がさいたま市の大宮総合車両センターで進めている蒸気機関車「C61」の復元作業を、山田洋次監督がドキュメンタリー作品にするため撮影を始めていることを明らかにした。
C61は群馬県伊勢崎市の華蔵寺公園遊園地で展示保存されていたもので、解体して運転ができる状態に復元する。山田監督がニュースで知り、JR東に映像化を提案。同社は「SL復元の貴重な映像を残してもらえるということで、全面的に協力させていただくことにした」としている。
山田監督は「鉄道会社にいた父の影響で私も鉄道マニア。SLの仕組みを中心に、小中学生がわくわくしながら魅入る作品にしたい」とのメッセージを寄せた。
映画にするか、テレビで放映するかなど公開方法は未定という。撮影は、試運転が始まる来年春ごろまで続く予定。〔共同〕>(同上サイトより)
だいぶ以前に、既にリタイアした "SL" を、 "修復・復元" するというそのプロセスをドキュメンタリーにしたTV番組を観たことがあった。NHK制作の "SL" 関連番組だったかと思う。
ところで、 "修復・復元" 作業で出会う難問と言えば、 "破損部品" のスペアが既に保管されていない場合であろう。並みのスタッフたちであれば、その時点で「ムリですね......」ということになり "ジ・エンド" となってしまう。
と言うのも、 "破損部品" を単発で再製造するのはコストも時間も馬鹿にならないからだ。まして古い "SL" となれば、部品設計図の存在も怪しいし、見聞し熟知していた機関士も既にいなくなっていたりする。
その番組では、確か巨大な車輪(直径1.7メートル以上?)に "クラック(ひび割れ)" が入り、走行が危ぶまれるという事情だったかと覚えている。
だが、そのプロジェクト・メンバーは "並みのスタッフたち" ではなかった。いわば "凝り性" の " boy " たちの集まりであったため、結局、 "クラック" 入りの巨大な車輪一個を、 "新規に作っちゃえ" ということに至ったかと思う。
そして、古い設計図探しやら、製造経験者探し......、という難問を次々と突破しつつ、漸く、機関車本体にその車輪を履かせるところまでを映し、見せた。何とも手に汗握るドキュメンタリーであった。
きっと、<鉄道マニア>の山田洋次監督もこの番組を見逃すことはなかったと想像される。で、今度は、機関車全体の解体・復元プロセスのすべてを "マニアの眼" で映像化しようとされているのであろう。その心境は、よ~くわかるような気がしている。
人間と人間たちが織り成す関係を見つめて "名画" を作り出す山田洋次監督が、こうした "メカニック" な対象を見つめるというのは、一般的には "異分野" だと受け取る向きがあるやも知れない。しかし決してそうではないように思う......。
確かに、同監督は "鉄道マニア" だからという理由も濃厚ではあろう。だが、 "人間の心と心との関係" を凝視する者の "脳内" には、 "事柄と事柄との関係" の読み取りに精緻であろうとする視点を深く宿していそうである。それは、 "部品と部品とのメカニックな関係" を理解し了解し、かつ楽しむというような構造を同時並行的に作り上げているのかもしれない。
そんなことも考えさせられた興味深いニュースであった...... (2010.04.07)
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