"ギリシャ財政危機" は "他山の石" ?/米ムーディーズ "トヨタを格下げ" ! ......

| | コメント(0) | トラックバック(0)

 現在のような時代環境では、何事につけ "転ばぬ先の杖" といった注意深さと警戒心が欠かせない。そんなことを促すような報道があった。
< 米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは22日、トヨタ自動車の格付けを全21段階のうち上から2番目の「Aa1」から3番目の「Aa2」に1段階引き下げたと発表した。
 「Aa2」は、日本国債と同じ格付け。格付けの見通しは「ネガティブ」(弱含み)とした。格下げの理由について、長期的に収益性が低下する恐れがあるとしたほか、リコール(回収・無償修理)問題などで「価格面での競争優位性が維持できるかについて不透明感が増大した」と指摘した。......>(「米ムーディーズ、トヨタを格下げ」(2010年4月23日 読売新聞)

 現代の(金融)経済の大きな特徴のひとつは、 "実勢" がどうかという視点とともに、 "資金" 供給・獲得の可能性に直結する "信用" 状況に関する視点の比重が大だと言う点であろう。金融市場において、いわゆる "信用不安" が高まれば、想定以上のリスクを背負うこととなり、カタストロフィ(危機)へと向かう "アリ地獄" に足を取られてしまいかねない、ということである。
ちょうど今、そんな危うさに遭遇している問題が、 "ギリシャ財政危機" ということであろう。一度は、 "危機回避" という評価もなされたにもかかわらず、まるで "焼け棒杭(ぼくい)に火がつく" ということわざさながら、現在、予断を許さない状態となっている。財政悪化に直面するギリシャでは、国債利回りが急上昇するなど市場圧力により "信用不安" が急速に高まっているとのことだ
<......ギリシャをめぐる信用不安は再び強まっており、同国の国債利回りは一段と上昇。信用力に欠けるギリシャが市場から資金調達するコストは増大し続け、同国の苦境は深まっている。......>(「ギリシャで公務員スト=信用不安再燃、市場圧力一段と」

 もちろん、この "波及" を回避すべく、国際的な緊急対策もなされつつある。
<【フランクフルト時事】ギリシャ政府は23日、国際通貨基金(IMF)と欧州連合(EU)に、緊急融資を要請した。ユーロ圏諸国などとの合意では最大450億ユーロ(約5兆6000億円)規模の融資が見込まれる。......アテネからの報道によると、ギリシャのパパンドレウ首相は同日のテレビ演説で、「EUおよびIMFと合意した支援枠組みの発動がどうしても不可避だ」と語った。......(2010/04 /23-22:00)>(「IMF・EUに緊急融資要請=市場圧力に押し切られる-ギリシャ」

 米ワシントンで22日夜(日本時間23日午前)開催の "先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)" でも、この緊急協調支援策が前向きで検討されたという。
 で、この "G7" に日本政府から出席した菅財務相は記者団に対して次のように語ったと報じられている。
<......会議で日本の財政再建策について説明した菅財務相は、「ギリシャを他山の石として(財政立て直しを)しっかりやらなければならない」と述べた。......>(「ギリシャ問題中心に討議=菅財務相『他山の石に』-G7」
  "揚げ足を取る" つもりはさらさらないが、この< "他山の石" として>という部分が実に "緊張に満ちている" と感じたのである。現在の日本の財政状況をクールに見つめれば、 "他山の石" どころか、 "庭の内" 、 "居間の中" に山積する "石" とさえ言えようか......。
 が、 "信用不安" に関する市場圧力を刺激してはならないために、むしろ、 "ポーカーフェイス" を決め込む必要もあるはずだろう。まして、つい先ごろの躓(つまづき)きの先例、<仙谷由人国家戦略相は4月2日、日本の財政状況について「いままではオオカミ少年だったかも知れないが、ギリシャの姿がまったく日本と無関係な状況ということはない」と発言した。>(「大前研一の「産業突然死」時代の人生論/日本の財政状況をめぐる仙谷大臣の大失言/2010年4月13日」)ばかりでもあるから、口にできた言葉が< "他山の石" として>となったに違いなかろう。

 したがって、直接的関係当事者たる日本国民としては、ここはくれぐれも "裏読み" し直さなければならないわけだ。
 ここは、 "歯に衣(きぬ)を着せぬ" 大前研一氏の "読み" に手助けいただくのが妥当かもしれない。

<日本の財政も相当に悪化しているのはご存知の通りだ。にもかかわらず、世界が日本の円にまだ信頼を置いているのは、「いざというときには日本政府が国民の個人金融資産をうまく使うに違いない」と踏んでいるからに過ぎない。日本国民の個人金融資産があるかぎり日本は破綻しないと安心しているわけだ。
 ところがその安心は、いわば砂上の楼閣のようなものだ。だから、「日本の国家財政も本当は危ない」ことを世界にばらすようなことは避けなくてはいけない。もし政府の要人が「次に危ないのは日本だ」とオオカミ少年のように言い触らしたら、日本に対する信頼は消え去るであろう。だから日本に信用不安が飛び火しないように、息を潜めておく必要がある。......
 自分たちがノー天気に発行した国債を買う人が見つからず、余程高い利回り(発行体である国にとってはコスト)にしなければ買う人がいない、という状況である。もちろん、ゆうちょ銀行のような"御用機関"に黙って買わせているから日本では安心だ、と思っているのかも知れないが、機関投資家の中にはこうした空気を察すれば空売りする人も出てくるだろう。ギリシャの国内にはすでに危険を察知して預金を海外に移す人が後を絶たず、静かな資金逃避が起こり始めている。それが"ギリシャの姿"だ。......
 日本は今のところAAになっているが、これは機関投資家が喜んで引き受けているからである。なぜなら銀行も生保も、そしてゆうちょ銀行までが国債以外にほとんど興味がないからである。銀行も今のような低金利ではリスクの高い運用をしなくても、国債を買うだけでそこそこの利幅を取れるからである。......>(「大前研一の「産業突然死」時代の人生論/日本の財政状況をめぐる仙谷大臣の大失言/2010年4月13日」

 ということで、<米ムーディーズ、トヨタを格下げ......「Aa1」から3番目の「Aa2」に1段階引き下げたと発表した。「Aa2」は、日本国債と同じ格付け。......>(冒頭 読売新聞)という記事が、おっと動き始めるのか? という注意を喚起させたのである...... (2010.04.24)













【 SE Assessment 】 【 プロジェクトα 再挑戦者たち 】








トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: "ギリシャ財政危機" は "他山の石" ?/米ムーディーズ "トヨタを格下げ" ! ......

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://adhocrat.net/mt/mt-tb.cgi/1109

コメントする

2020年11月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          














関連サイトへのリンク


  • 電子書籍(eBooks)制作にフォーカスしたサイト
  • 明けない夜はないことを確信するサイト
  • Green(地球環境改善)にフォーカスしたサイト
  • ソフトウェア技術者やSEのための評価と育成、人事考課制度を考えるサイト
  • さまざまな業種・業態でご利用可能なモバイル活用の予約システム!
  • 創作小説『海念と保兵衛』のサイト
  • 創作小説『かもめたちの行方』のサイト
  • 当ブログ推奨の商品を展示したAmazon ストアー!
  • 当AdhocBlogブログの過去のエントリー
  • 株式会社アドホクラット当時のサイト

★売れ筋! No.1!
家庭用"放射線測定器"

日本通信 bモバイルWiFi ルータ+1 ヶ月定額SIM BM-U300W-1M
価格:¥ 20,208
国内配送料無料 Amazon





このブログ記事について

このページは、yasuo hiroseが2010年4月24日 13:56に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は、
 「 "普天間問題解散" という "瀬戸際解散"・"衆参同日選挙" は白昼夢か?......
です。

次のブログ記事は、
 「 "ワシントン・ポスト" による普天間移設問題での "度重なるフェイント" ?!......
です。

最近のコンテンツは、
 インデックスページ
で見られます。

過去に書かれたものは、
 アーカイブのページ
で見られます。

年月別アーカイブ

最近のトラックバック