"一気に"広がり得る金融危機/6日米株式市場急落時の新事実/日本の国債神話は? ......

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 今月6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は急落し、一時、前日比約1000ドル安の9869ドル62 セントまで下落した現象は記憶に新しい。その際、その "トリガー(引き金)" になったのは<証券会社による誤発注>ではないかとも(囁ささや)かれた。

< NY株終値347ドル安 誤発注も?一時998ドル急落 2010/5/7 5:22
 【ニューヨーク=財満大介】6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は急落。一時、前日比998ドル50セント安となる9869ドル62 セントまで下落した。
 ギリシャなど欧州諸国の信用不安を嫌気した投資家のリスク回避の動きが加速。米東部時間午後2時(日本時間7日午前3時)過ぎに外国為替市場でユーロが急落したのをきっかけに、株などリスク資産の売りが一気に広がった。その後、ダウ平均は急速に値を戻したが、前日比347ドル80セント安の1万0520 ドル32セントで取引を終えた。
 ダウ平均が取引時間中に1万ドルを割り込んだのは今年2月以来。一時998ドル安という下げ幅は過去最大。米メディアによると、ダウ平均の急落については証券会社による誤発注があったとの見方も出ている。......>(NY株終値347ドル安 誤発注も?一時998ドル急落/nikkei.com/2010/5/7 5:22)

 とりあえず、<誤発注>については "誤報" のようであったが、この時の経緯に関する "続報" らしきもの(?)が以下のように報道されている。

<米ワデル・アンド・リード、6日の株式急落時に先物大量売却=CME内部文書 2010年 05月 15日 08:39 JST
 [ニューヨーク 14日 ロイター] 6日の米株式市場急落時に、米資産運用会社のワデル・アンド・リード・フィナンシャル(WDR.N: 株価, 企業情報, レポート)が株式指数先物に絡む大口の売りを出していたことが、ロイターが入手した文書で分かった。
 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)を傘下に持つCMEグループ(CME.O: 株価, 企業情報, レポート)の内部文書によると、ワデルは相場が急落していた20分間にCMEのGLOBEX取引プラットフォームで取引される「Eミニ」を大量に売却した。
 この間に84万2514枚のEミニの取引があった。ワデルの売却数は明らかにされていないが、この20分間を含む午後2─3時に同社は7万5000枚のEミニを売却しており、規制当局や取引所当局者の関心を集めている。文書は「一見すると特異な動きのようだ」としている。
 このEミニの売却が株価にどのような影響を与えたかは明らかになっていない。ただ、現物市場に先立って先物市場が急落したことから、規制当局は先物取引を詳しく調査している。
 同文書では、株価の大幅下落とその後の回復時にEミニを積極的に取引していた金融機関として、ジャンプ・トレーディング、ゴールドマン・サックス(GS.N: 株価, 企業情報, レポート)、インタラクティブ・ブローカーズ・グループ(IBKR.O: 株価, 企業情報, レポート)、JPモルガン・チェース(JPM.N: 株価, 企業情報, レポート)、シタデル・グループの名前も挙げられている。
 ワデルはロイターの取材には答えなかったが、声明を発表し「ほかの多くの市場参加者と同様にワデル・アンド・リードも5月6日の市場動向によりマイナスの影響を受けた」と述べた。
 「投資家を下振れリスクから保護する」ために同社はしばしば先物取引を行っているとし、6日も通常の業務の一貫して株式指数先物の取引をしたと説明した。
 米商品先物取引委員会(CFTC) はコメントを避けた。
 CMEの広報担当者は文書についてコメントしなかったが、顧客の投資活動について協議しないと述べた。広報担当のアラン・ショーンバーグ氏は「CMEのGLOBEX取引プラットフォームを利用する顧客による不適切な取引や誤った取引の証拠はない」とした。
 ワデルの株価は5.3%安の32.25ドルで引けた。>(米ワデル・アンド・リード、6日の株式急落時に先物大量売却=CME内部文書/ロイター/2010年 05月 15日 08:39 JST

 この "報道事実" が何を意味するのかは今のところ定かではない。従って、この報道からはひとまず離れるが、とりあえず留意したいのは以下の二点。
 先ず一点目は、現在の "金融危機(⇔財政破綻)" は、 "トリガー(引き金)" さえあれば "一気に広がる" 可能性がありそうだ、という点。
 二点目は、上記の報道が関係しているかどうかはわからないが、現代の金融商品の中には "CDS(Credit default swap)" のような、 "危機・破綻" 自体が "儲け" を生み出す仕組み(金融商品!)もあって、 "危機・破綻" のサイドに賭けるというヘッジファンドも確実に存在するという点。(「信用売り(空売り)」取引とは異なる)これが、 "一気に広がる" というスピードを助長、促進しているようである。

 これらに関連して、大前研一氏は別のテーマの論稿で次のように述べている。

<......米櫃(びつ)がいつゼロになるのか、というのは意味がない議論で、金融の世界ではこうしたことが明らかになったときに"short(売り浴びせ)"となる。......ギリシャの場合にはCDS(Credit default swap)という信用リスクを取り引きするデリバティブ商品のスプレッドが900ベーシス(9%)を超えたことで危機が一気に広がった。欧米のヘッジファンドなどにはこの商品を使って、ギリシャが破綻したときに儲けの出る仕組みの商品が大量に出回り、危機が一気に広がったと言われている。今後はPIGSならぬPIIGESだ、ということでポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、イギリス、そしてスペインなどでも破綻の可能性に賭けた商品も出てきている。
 日本に関してもCDSスプレッドを売り物にした仕掛け商品がヘッジファンドの間では噂になり始めている。これは極めて危険な傾向で、日本に関しては「WHETHER(破綻するかどうか)」ではなく「WHEN(いつ破綻するか)」の問題だけだ、という言い方に変わってきている。人口が高齢化し、返済原資もない、急激な増税には抵抗が強い、ということで、要はきっかけだけ、という状態にあると考えた方がよい。>(絶壁の真上に近づいてもお金に疎い日本人/大前研一の「産業突然死」時代の人生論/2010年5月12日/nikkeibp.co.jp

 大前研一氏のこの論稿は、<世界でも突出した債務大国>日本の現状は、ギリシャどころか他国の話ではないと警告するとともに、まさに "一気に広がる" 危機という現代的特長の前で、いわば "日本の国債神話" とてとっくに<「WHEN(いつ破綻するか)」の問題>の範疇(はんちゅう)に入っていると注意を喚起しているのである。

<日本の懐事情は火の車であるにもかかわらず、世界的には「日本の国債リスクはそれほど高くない」と思われている。これは「日本の金融機関は国債以外に適した投資対象、投資機会がないと考えている」からだ。その背景には「日本国民は政府の思惑通り従順に国債を買い続け、危機感を持たないだろう」という仮定がある。さらに、いざとなれば政府が預金封鎖をしても、ハイパーインフレになっても、国民はただボーとしているだけだろう、ということになっている。
......銀行やゆうちょ銀行、生命保険など国内の金融機関が日本の国債を買っているさまを見ればそう考えるのも当然だが、しかし仮定はあくまでも仮定だ。いつまでもこの状況が続くとは限らない。ある日突然、国民が「国債だけに頼るのは危険だ」と、分散投資を始める可能性だってある。
......今は「みんなで渡れば怖くない」という日本人らしい心理で国債を買うに任せているが、誰もそういう冒険をしなくなったときはどうなるか。集団心理が人一倍強い日本人だからこそ一斉に国債から逃避するかもしれない。
......ギリシャと違って日本は買い手がほとんどすべて日本人なので、なげ売りされにくい、と言う。しかし海外の投資家も6%(44兆円)持っているから、これを一斉に売り浴びせれば、インパクトは甚大であり、ギリシャどころの比ではない。......>(前述大前サイトより)

 <政府の打ち手は預金封鎖とハイパーインフレの二つ>なのに対して、<生活者にとっては三つの避難場所がある、と私は考えている。一つは海外に資産を移す、あるいは外貨預金をすること。つまり国際分散である。二つ目は金融商品以外のモノに転換すること。例えば不動産とか金などだ。三つ目はタンス預金である。>(同上)と述べる大前氏の論述は、日本の現状と危機的な海外の最新情勢を知れば知るほど、不気味な "リアリティ" が増すように思えてならない...... (2010.05.16)













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