現代という時代環境が、"環境(社会環境、自然環境)激変の連続" であることを疑うものは誰もいない。したがって、先ずもって退けられるべきは、 "思考や判断の硬直性" ではないかとの思いが深まるばかりである。
昨日は、この点を "思考停止" 状態と表現したが、"硬直した思考や判断" と "思考停止" 状態とは、ほぼ同義だと見なしてよいのではないかと思う。ラクであることと、後ろ向きであることとが共通していそうだ。
"一貫して......" とか "信念を持って......" とかを、このご時世で額面通り真に受けている人も少なかろう。ルーズであることと、柔軟であることとは異質であるが、その境目は観念の世界での仕分けほどには明瞭でないのが現実というものなのであろう。
米軍普天間基地移設問題に関する "(既存)メディア" のスタンスが、結構、硬直した "思考停止" 傾向を帯びているのではないかと、昨日は書かせてもらった。日頃、もう少し斬新な視点・視角があってもいいじゃないか......、と欲求不満にさせられているものだから率直に書いたわけだ。
膠着しているこの米軍普天間基地移設問題が、史的文脈から言ってもそう簡単なイシューでないことは "(既存)メディア" 関係者なら百も承知のはずであろう。何なら、この問題解決のためのフローチャートを自らの思考で作ってみるといい。そして、それが容易ではないことを実感すると同時に、そうした問題であるにもかかわらずご自分たちがやっている付和雷同的な "マス「ゴミ」報道" が、事態解決への良い契機になっているどころか、いたずらに国民感情の非合理的な部分に拍車を掛けていることをも併せて認識すべきだと思う。
ところで、この問題のひとつの "ネック" は、やはり "5月末決着" という条件であったわけだ。鳩山首相自身によるものだとされているが、問題の本質と広がりとを考慮するならば、この点をこそ "柔軟に相対化" してよいのではなかろうか。
漸く、閣僚たちからもこうした声が上がり始めているようだ。
<前原氏、普天間の月内決着困難=枝野氏、首相責任に発展せず 2010/05/09-18:40
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をめぐり9日、閣僚などから発言が相次いだ。前原誠司沖縄担当相はフジテレビの番組で「5月31日ですべてが終わるということではおそらくない」と、移設先となる地元自治体への協力要請などの作業が6月以降も続くとの認識を表明。枝野幸男行政刷新担当相はさいたま市で「5月末を越えたから努力と前進を放棄するのか」と述べ、今月末までに決着できなくても鳩山由紀夫首相の責任問題には発展しないとの見解を示した。
前原氏は番組出演後、記者団に対し、「(5月末までに)できるだけ結論を得るよう努力する」と述べるととともに、沖縄県や基地機能の移設に反対している鹿児島県・徳之島側と交渉を続けていくとの見通しを示した。
また、国民新党の亀井静香代表は福井県敦賀市内で講演し、「オバマ大統領と首相が話し合うしかない。ヘリコプターで海兵隊が移動するのに30分以内でないといけないと言うが、そんなことは技術的な話だ」と強調した。......(2010/05/09-18:40)>(前原氏、普天間の月内決着困難=枝野氏、首相責任に発展せず/時事ドットコム/2010/05/09-18:40)
米国側にしても、現時点での当該地元自治体からの猛反対をそのままにしての辻褄合わせの決着を、実のところ歓迎はしないはずだと観測できる。
どういう意味のメッセージを込めているのかは定かではないが、米国のキャンベル国務次官補の "協調的(?)" な姿勢をうかがわせるような報道も目についた。
<米"納得がいく結論は可能" 5月9日 20時40分
アメリカのキャンベル国務次官補は、沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設問題をめぐって、「アメリカ側の運用上の必要性を満たしつつ、政治的にも責任ある結論を見いだすことは可能だ」と述べ、日米双方や地元自治体が納得のいく結論を見いだすことは可能だとの認識を示しました。
これはキャンベル次官補が9日、訪問先のタイのバンコクで行われた記者会見で述べたものです。この中でキャンベル次官補は、沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設問題をめぐって、「アメリカ側の運用上の必要性を満たしつつ、政治的にも責任ある結論を見いだすことは可能だと今も確信している」と述べ、日米双方や地元自治体が納得のいく結論を見いだすことは可能だとの認識を示しました。ただ、キャンベル次官補は、現在行われている協議の内容や今後の見通しについては、「詳細には立ち入らない」と述べて言及を避けました。そのうえで、「アジア太平洋地域の不確実性に対処するために、両国は強固で安定した関係を維持することが重要だ」と述べて、日米同盟の重要性を強調し、基地の移設問題によって関係が悪化してはならないとの考えを示しました。>(米"納得がいく結論は可能"/NHKニュース/5月9日 20時40分)
軽口を叩くつもりはないが、 "約束期限" をあえて逸脱することで当方側の心理的優位を画策した宮本武蔵という勝負師・策士が思い出される。まさか、鳩山首相の一連の行動シーケンシャルがそれだったのだと言うほど穿った見方はしない。
が、もし、上記の米国側姿勢が "協調的(?)" になってきたと読むならば、あれほど苛立っていた先頃までの状態が変化してきたと見てよいのだろうか......。
とすれば、今こそ "オバマ・鳩山会談" という "対米交渉を煮詰めて行く時期" としてふさわしい潮時なのかもしれない、と思えた...... (2010.05.10)
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