今、国内では "米軍普天間基地移設問題" をはじめとして鳩山政権がますます "混迷" を深めている。が、これまた破格に "混迷" を深めていそうな "ギリシャ財政危機" の推移が、同様に注目されるべきなのかもしれない。
いや、同種の問題(財政危機)を "時限爆弾" 的に抱えた日本は、やはりこの不安定な推移を最大限注視して、言うならば "後日に備える" その必要性もありそうだと思えてならない。特に、この種の "危機" が、 "如何にに急速に波及するのか" に関するメカニズムについては、改めて肝に銘じておいても決してムダにはならないように思える......。(それどころか、当該の危機の深刻化で、多少上向いている現景気状況が "吹っ飛ぶ" 可能性も控えているのだろうか......)
現時点で、米国政府は<欧州の財政危機の行方に神経をとがらせている>という。
<米政府が欧州の財政危機の行方に神経をとがらせている。米金融機関の保有する欧州向け債権が総額1.2兆ドル(約110兆円)と巨額で、信用不安が米銀に波及し、貸し出しなど金融機能に支障が出れば、危機から脱したばかりの米経済に甚大な被害を及ぼしかねないためだ。>(ユーロ防衛策:効果息切れ 追加策なく投機筋売り強める/毎日JP/2010年5月16日 10時34分)
<欧州連合(EU)は3日、総額1100億ユーロ(約12.5兆円)のギリシャ支援策、10日には総額7500億ユーロ(約85兆円)のユーロ防衛策をまとめたが、すでに効果は息切れしている。>(同上)という事態が、警戒心を生んでいるという。
一連の緊急支援対策で、世界の株価は一度はもどしたものの、14日には、<日本の日経平均株価が158円下落したのに続き、英独仏など主要国の代表的な株価指数が3~6%の大幅下落を記録。米国のダウ工業株30種平均も162ドル安と再び連鎖的に下落>(同上)という "揺れ戻し" を帰結した。そんな推移を踏まえると、米国ならずともこの不安定な成り行きは警戒されてよさそうである。
この内情の "危うさ" は、以下の報道内容を読むかぎりでも伝わってくる。
<......(ユーロは)11日以後は反落、14日には、対策発表前の6日につけた直近の安値である1ユーロ=1.252ドルを下回った。
ヘッジファンドなど投機筋の動きに詳しいロンドンの金融関係者は、「投機筋は10日のユーロ防衛策に続き、政策当局が矢継ぎ早に追加策を打ち出すことを警戒していたが、その動きが無いことを見極め、13日以後は再びユーロ売り圧力を強めた」と解説。政策当局の対応の遅さが、危機拡大を招いていると指摘する。
ユーロ下落が続くのは、(1)ギリシャなど深刻な財政赤字を抱えた国の再建見通しがはっきりしない(2)株価や国債の下落により損失を抱えた投資家が、損失処理のため、優良資産も含めたユーロ資産の売却を進めている--という短期的理由に加え、欧州の景気回復が長引き、欧州中央銀行(ECB)の金利引き上げが遠のいたという中長期的理由も重なる。
さらに、ECBが、ユーロ防衛策の一環として、10日からギリシャやポルトガル、スペインなどの国債を買い取る「禁じ手」を導入したことも大きい。
同日以後、各国の国債利回りは低下したが、リスクが各国からECBに移った。価値が大幅に減じた国債をECBが買い取ることで、ECBの資産は劣化していく。加盟国が損失を補てんする仕組みが無いため、「通貨の番人」であるECBの信認、つまりユーロの信認が損なわれる。シュレジンガー元独連邦銀行総裁はドイツ紙に「ECBはルビコン川を渡ってしまった」と指摘。ECBの決定を強く批判している。>(同上)
そして、あたかも "仕切り直し" 対策とでもいうべきものが必要だとの声も上がっているという。
<新たな対策としては、ギリシャを事実上破綻(はたん)させ、一部債権カット(債務再編)を実施することに加え、加盟国がECBの資産劣化分を財政支援で補てんする枠組みなどが必要と、多くの金融関係者は指摘する。しかし、いずれの国も財政赤字を抱え、増税につながる財政支援には消極的だ。......>(同上)
こうした推移に接すると、つい先頃の "JAL再建" の経緯が思い返されてしまう。並みの想定水準を下回る、かなりの "ハード・ランディング" であったとの印象が残っているケースのことだ。
つまり、世界の現状は、 "単なる希望的観測" なんぞをさらさら受け付けない "ハイパー・リアルなロジック" のみが独走するようになってしまったか...... (2010.05.17)
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