IT新製品というものは、能書(のうがき)を言うだけでなく "体感的に試してみる" というのがかねてからの持論である。PCにしても、実際にあれこれと試行錯誤してみてこそその価値と限界とがわかるというものである。
そんなことで、ここしばらくは "iPod touch" を "実体験" しながら、今注目の的である Apple の製品、 "iPhone 4" や "iPad" に熱い眼差しを向けている。幸い、比較的手軽に入手できる "iPod touch" が、 "iPhone 4" や "iPad" のアーキテクチャのほぼ基本となる部分を装備しているため、それらを "体得" するには格好の教材となるわけだ。
ところで私見では、たぶん "iPhone 4" や "iPad" というIT新製品は、今後、世界中で予想以上の人気を博し、幾分、食傷気味となっていたかもしれないPCを含むIT製品領域に、少なからぬ新風を吹き込むに違いないと予感している。
人気の前触れとしては、とりあえず次のような報道がなされている。
<【シリコンバレー=岡田信行】米アップルは22日、多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」の販売台数が21日時点で300万台を超えたと発表した。タッチ操作できる9.7型の大きな画面、高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」同様に簡単にコンテンツの配信を受けられる点が評価され、4月3日の米国発売以来わずか80日で大台を突破した。
iPadはインターネット接続やメール送受信、映画や音楽、ゲーム、電子書籍などが楽しめる多機能端末。iPhone同様にアップルのソフト配信サービス「アップ・ストア」から22万5000種類以上の娯楽や実用ソフトを利用でき、iPad専用ソフトも1万1000種類に上る。
iPadやiPhoneを巡っては、日本や米国、韓国、台湾などで電機・IT(情報技術)機器メーカーが対抗端末を投入する動きを見せている。アップル製品のヒットの裏には、機器だけでなく、携帯音楽プレーヤー「iPod」で培ったソフト配信・管理の仕組みがあり、同じ土俵で競合するメーカーが見あたらないのが現状だ。
iPadは米国や日本など10カ国で販売され、7月にはシンガポール、香港など9カ国・地域でも発売する。発売から28日で100万台を突破したが、iPhoneは100万台到達に74日間、iPodは2年かかっており、iPadは従来の同社製品を上回る勢いで普及している。>(「iPad」快走、販売300万台を突破 発売80日で/日本経済新聞/2010/6/23 6:22)
何度も書くようだが、こうした人気の理由のひとつに、斬新な "タッチパネル(マルチタッチ)" インターフェイスがあることは間違いないと思われる。この部分に "操作性" の良し悪し、 "使用上の快適さ" の大半が根拠が潜んでいると思われるからである。
ちなみに、 "タッチスクリーン" (画面)に対する "指の動かし方" 、操作には次のようなユニークなものがあり、これらはこれまでになかった "使用上の快適さ" をもたらしている。
"タップ" (指で軽くタッチスクリーンを叩くこと。プログラムを起動させたり、何かを選ぶ時などで一般的に使う。)
"ダブルタップ" (タップを続けて2回行うこと。表示されている画像などを拡大させる時に使う。)
"ドラッグ" (指でタッチスクリーンを触ったままで移動すること。ロックを解除する際のスライドを操作する場合などで使う。)
"フリック" (指でタッチスクリーンをはじくようにする。ドラッグよりも素早くスクロールさせたい場合に、これを行うと勢いよく画面がスクロールする。まるで、現実の滑るモノをはじいて動かすような感触がある。)
"ピンチアウト" (2本の指でタッチし、そのまま指を開く。Webサイトや画像を表示させている際、さらに拡大して表示させたい時に行う。この操作感覚もクセになるほど快適である。 "ダブルタップ" でも拡大表示可能。)
"ピンチイン" (2本の指でタッチし、そのまま指を狭めていく。 "ピンチアウト" で拡大表示させた画像を縮小表示させたい時に使う。)
こうした操作上の優れて斬新なインターフェイスのほかに、今ひとつ人気を呼んでいる重要な要素として、 "ソフトもみんなで作る" という点も見逃せない。
これについてはまた別途書くつもりだが、今日はちょいと参考となる記事だけを示しておこう。
<子どもニュース 「iPad」って何ができるの?/日本経済新聞/2010/6/5付
......
――ソフトもみんなで作る
お父さん それに「みんなで」っていうのは、使う時ばかりじゃない。ゲームソフトは誰が作るかな?
ニッくん ゲーム会社!
お父さん iPadのは個人でも作れるんだ。
ケイちゃん じゃあ、私にもできるの?
お父さん ちゃんと勉強すればね。ソフトを作るのに必要な情報や技術をアップルがみんなに公開してるから、ゲーム会社のように専門家やお金をいっぱい使える組織じゃなくても作れるんだ。面白いソフトを開発したら、大金持ちも夢じゃないかもね。
ニッくん よーし!
お父さん 決められた使い方だけじゃなく、いろんな人が新しい使い方を提案して、それが面白ければドンドン広まっていく。だから、きっとみんな興奮してるんだ。お父さんの会社も使い道を考えてるよ。
お母さん iPad自体も親しみやすくて面白いけど、使う人を応援する仕組みが人気の秘密なのね。
......>(子どもニュース 「iPad」って何ができるの?/日本経済新聞/2010/6/5付)
上記の<ソフトを作るのに必要な情報や技術をアップルがみんなに公開してる>という点については、「 "iPhoneアプリの作り方入門 iPhone SDK" 」 が参考となるはずだ。
いずれにしても、人気を呼ぶIT新製品というものは、単なる小手先技ではない、考え抜かれた優れた "製品コンセプト" をその背後に潜ませているようである。それは、まるで重厚な氷山が水面下にその本体の巨大な氷の塊を慎ましやかに隠しているかのように...... (2010.06.24)
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