もはや "前途多難" でない政権なぞ無いものだと腹を括るべきだろう。
菅新政権、その成立については先ずは無難になし遂げられここまでこられたと見受けられる。まあ、よくぞここまで漕ぎ着けたというのが正直な感想だ。
ただ、当たり前のことではあるが、物事にはすべて道理があるもので、この辺を "錯覚" せずにクールな状況認識をしておくに越したことはなさそうだ。
今回の "代表選" および組閣は、 "選挙管理内閣" なのだという "醒めた認識" が関係者各位に潜んでいなかったとは言えないだろうという点なのである。
小沢氏にしてからが、どうもそう見なしていたふしがないではなさそうだ。現に、権力温存の方向で、 "キングメーカー" さながら、菅氏への対抗馬を模索しつつ "田中真紀子" に声を掛けていたそうであり、その当人から、「今回は、"選挙管理内閣" なので......」と慇懃に断わられたとか......。文脈通(つう)である両者は、ともに今回の組閣が参院選向けの暫定的な "選挙管理内閣" であることを意識していた気配を感じさせずにはおかない。
しかも、 "政治ゲームプレーヤー" のプロである小沢氏としては、ここしばらくは感情を押し殺してでも自身の存在感を抑えた方が得策だと考えないはずはなかろう。不透明この上ない参院選の仕切り役を誰か別の者に振って、責任回避を図りつつ後日に備えるべし、という小沢氏ならではの目論見は見え見えだと言うべきであろう。
現に、次のような報道が "さもありなん" と頷かせるのである。
<小沢氏 次の代表選に別候補を/NHKニュース/6月4日 21時10分
4日に行われた民主党の代表選挙で、小沢幹事長に近いグループは自主投票としましたが、幹部の間では樽床衆議院環境委員長を支援する動きが出ていました。これについて、小沢幹事長は、グループが4日夜に開いた会合に出席してあいさつし、「皆さんには、私自身が抱えている問題もあって、私自身がこの戦いに参加することができず、申し訳なかったが、樽床氏が負けたからといって129票という数字は決して恥ずかしい数字ではなく、われわれの団結の証しだ」と述べました。
そのうえで、小沢氏は「皆さんの中には、色々な人間関係や、われわれの仲間から候補者が出なかったこともあって、同じ投票行動を取ることができなかった人もいると聞くが、次に同じような戦いがあったとき、もう一度団結すれば過半数を制することは決して不可能ではない」と述べ、9月に行われる見通しの次の代表選挙に、菅総理大臣とは別の候補者の擁立を目指す考えを示しました。>(小沢氏 次の代表選に別候補を/NHKニュース/6月4日 21時10分)
だから、菅新政権は、"獅子身中の虫" にくれぐれも警戒しつつ、気苦労ではあっても、本命の政治課題を遂行しつつ、もう片方で "対抗ゲーム" を意識しておくべきなのだろうと思われる。多分、それは十分可能だと思えるし、まんざら菅政権に分がないとは思えない。菅政権はあの "タナボタ麻生政権" とはまるで次元が異なっている。しかも、"獅子身中の虫" の方は明らかに "手負い" だと見るのが自然であろう。ここでは "獅子身中の虫" の側の方が、 "起訴問題" も含めていろいろな観点で不利な立場に追い込まれていそうではなかろうか。
ただ、当然のこと、菅政権がどれだけ矢継ぎ早に手堅い実績を積み上げてしまうかが何よりも大きな決め手になる。その点では、先ずは<新しい体制づくり>でどれだけ新政権に有利な体制を築けるかが重要だ。
<菅氏は人事のポイントについて「官邸機能を強化し、官邸の一体性、内閣全体の一体性をいかに形成するか。党のすべての議員、全国の党員を含めて全員が参加できるような民主党をいかにつくれるかだ」と説明。>(「一度頭を休め、新しい体制づくり」菅新首相が会見/asahi.com/2010 年6月4日19時7分)とあるが、とりわけ<官邸機能の強化、官邸の一体性>が徹底されるべきであろう。そこが "鳩山政権の最大の弱点" であったことは否めないからだ。菅氏の下にならば、有力なブレーンも結集するのではなかろうかと推定できる。
何はともあれ、勝利への手順は、一手の隙も与えない "王手、王手" の連続しかないと見受けられる。それは、"獅子身中の虫" に対しても、元祖日和見のマスメディアに対しても同様に言えることであろう...... (2010.06.05)
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