早速、 "菅新内閣" が "試金石" に遭遇している。
今月16日までの "会期" を延長して "参院選" の日程をズラすのかどうかについての決断という問題である。
ここは当然、一刻も早く "新内閣" の "信を問う" ことが優先されて然るべきではなかろうか。懸案の政治課題群と言うものはいわば "エンドレス" なのであって、それらに過度の比重を掛けたのでは、いつまでも区切りがつかないと言うべきであろう。
今、国民の "民意" の側ではひとまず "大きな区切り" がついたはずなのである。つまり、新内閣成立に関する "世論調査" では、国民のかねてからの危惧、懸念であった "民主党と小沢氏との問題" に一応の決着がつき、 "安堵" しつつ、 "民主党に再度期待を掛けたい" という意向がきっちりと表明されたと見て自然であろう。
したがって、今即刻やらなければならないのは、この "旬の民意" を "かたちにする" ということ、すなわち予定されてきた "参院選" の速やかな実施以外ではなかろう。
そりゃあ、こうした時期に国民の審判が下るのを "先送り" にしたいという軍勢もあって当然である。しかし、それは、リング上でダメージを喰らったコーナーのファイターが、休憩時間の延長を望むようなものであり、論外である。
たとえ、時間延長があったとしても、それこそ政権交代の直前内閣ではないが、そのまま "旬" の新鮮さを売っていれば良かったものを、結局、判断を誤ってボトムを掴んだ例だって記憶に新しいではないか......。
ちなみに、『孫子の兵法』では、戦いにおいて重要な要素のひとつとして "勢" (勢い)というものを尊重している。
『善く戦う者は、これを勢に求めて、人に責めず。』
[訳例]戦(いくさ)上手な者は、勢いに乗ることで勝利を収めようとし、個々の兵士の能力に頼らない。(『孫子の兵法』 兵勢編)
ついでに付け沿えれば、
『人を択(えら)びて勢に任す。』
[訳例]人を選んで適所に配置し、後は勢いに任せる。(同上)
という言明もあり、これなぞは今回の新内閣閣僚人事でも踏襲されたに違いない。
つまり、政治を使命とする者は、 "勢" を凝視しなければ話にならないわけである。まして、芳しい理念としての "友愛精神" を謳った鳩山前首相が、言葉は悪いが、 "旬" や "勢" というものを食い潰して仕損じてしまった後だけに、菅首相には、戦(いくさ)の "王道" を突き進んでもらいたいと願って止まない。
今、 "会期延長" 如何の問題で、国民新党とややこしい事態となっているようだが、はっきり言って、大局的な観点で一刻も早い "参院選" を選ぶことが "民意" に応えることなのだ、と主張すれば済むことではないか。
政党間の約束(政治業界内の内輪話?)と言っても、それを金科玉条のごとく扱う "お人好し" な資質を、決して国民は首相に望んではいないのである。国民は、国民生活の展望を切り拓いてくれる成果・結果だけを望んでいるわけだ。
むしろ、国民は "不透明な駆け引き" に染まらざるを得ない "連立" 関係というシチュエーションなんぞを期待してはいないのではなかろうか。それこそ、ここは "チャラ菅" と言われても大義に付いてもらいたいものである。...... (2010.06.11)
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