TVでの "国会中継"(菅首相の所信表明演説に対する衆議院各党の代表質問)を久々に観てみた。これまでのように、首相が "官僚作文" をさえまともに読み切れない低次元なものであれば観る気にもならない。多少とも "代り映え" があるものかと期待したのであった。
が、質問側の各党も答弁する首相側もほとんど何の "代り映え" がないことを知らされ、こんなものかなぁと落胆した。ひょっとしたら、こうした "実施スタイル" それ自体に問題が潜んではいないかという思いさえ禁じ得なかった。なんせ、質問内容のボリュームが半端ではない。質問側はその内容を "事前に" 通知しておくルールがあるようだが、それにしても多岐に渡る質問に個々答えてゆくとするならば、 "答弁書" を読み上げるという現行スタイルを踏襲せざるを得ないのか?......、と感じないわけにはゆかなかった。
< 菅直人首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が14日午後、衆院本会議で行われた。自民党の谷垣禎一総裁が最初に質問に立ち、退陣した鳩山内閣の副総理だった首相について「重い連帯責任」を強調。国会会期末を控え、7月11日投開票予定の参院選をにらんだ論戦が始まった。
谷垣氏は、菅首相が財政再建のために超党派での議論を呼びかけていることについて「ばらまきばかりの民主党のマニフェストの仕分けをしない限り、来年度予算編成すら不可能だ」と指摘。呼びかけに応じる条件として2009年衆院選当時の民主党マニフェストを撤回し、歳出抑制の具体策を示すよう迫った。
また、鳩山由紀夫前首相が退陣の理由とした沖縄県の米軍普天間飛行場の移設と「政治とカネ」の問題で、副総理当時に「だんまりを貫いた」とし、その結果「総理の地位を手中に収めた」と主張。「総理として重荷を背負う覚悟がない」と訴えた。
菅首相は1998年の著書で「政策的な行き詰まりやスキャンダルで内閣が総辞職した場合は、与党内で政権のたらい回しをすべきでない」と述べている。谷垣氏は今回の首相交代が菅首相の言行不一致にあたると批判。「政権に居座り、参院選で勝つためのごまかしだ」と述べ、衆院の解散、総選挙を求める。
公明党は井上義久幹事長が質問し、菅首相に鳩山前政権の副総理としての「失政の大きな責任」をただす。 >(谷垣氏が代表質問、菅首相を追及 「副総理でだんまり」/asahi.com/2010年6月14日13時 42分)
それにしても、こうした "各党による代表質問" というものは、首相の姿勢を正すだけではなく、質問側の "素性" をも曝け出すものだなぁ、と感じたものだ。つまり質問者は、その質問内容と弁論姿勢とによって図らずも自身の水準や器の大小を曝け出すということなのである。
その点では、谷垣自民党総裁の質問は自民党が現在置かれている "出口の見えない状況" が色濃く反映されていたし、若手自民党議員の質問などは "不満の捌け口が見出せない" でいる今の自民党内若手の狼狽ぶりをよく表していた。
その他の質問者の質問も、本来焦点とされるべきである国民的課題よりも "党利党略" 的言辞に終始する印象が強く、さすがに重みを感じさせたと思えたのは、志位和夫委員長(日本共産党)による真摯な質問だけだったかもしれない。
概して、 "為にする" 質問のオンパレードであり、辟易! とさせられた感がある。
だから、一体、この "代表質問" 国会中継を観て国民の誰がウキウキ? できたのかと思ったりもしたのである。
ちなみに、 "サルもテレビ見てウキウキ?" するそうなのである。
< サルがテレビの映像を見た時、楽しいと感じていることが、京都大学霊長類研究所の正高信男教授(認知神経科学)らの研究でわかった。飼育されているサルのストレスを軽くするため、動物園などでテレビを見せることがあるが、効果はあると考えられるという。
3歳のオスのアカゲザル1匹に、サーカスのゾウやキリン、トラが芸をしている映像を見せ、脳の血流を調べる光トポグラフィーで脳の活動を調べた。すると、映像を見ている時は前頭葉のある部分で活動度が上がっていた。この部分は、人間の赤ちゃんがお母さんの笑顔を見て喜ぶ時に反応する場所として知られるという。
13日付のスイスの学術誌の電子版に掲載された。(宮島祐美)>(サルもテレビ見てウキウキ? 京大、喜ぶ脳反応を確認/asahi.com/2010年6月14日14時48分)
もちろん、 "代表質問" 国会中継が、 "ワイドショー" のごとくあれと言っているのではない。各党代表者は、 "国民の切実な関心事" に対する "洞察力" と "感度" とを真摯に磨くべきだと思うのである...... (2010.06.15)
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