"消費増税" にはいろいろと議論があると思われるが、突出した "財政危機" に直面している日本の現状については、もっと "リアルに" 直視され、一刻も早く手が打たれなければならないのは論を待たない。
正直言って、現状の国内政治状況にはどこか "当事者感覚" に欠ける空気が無いでもないような気がする。
そんな状況だとすれば、 "外圧" 云々はともかくとしても、 "海外の目" には一体どう映っているのかに注目しておいてもよさそうである。
そんな中、下記のとおり "国際通貨基金(IMF)" が日本の "財政危機" に対してシビァな指摘を行ったとある。
決してこれを "外圧" 的に受け止めることもないし、また "緊縮財政" 策の早急な実施という対応策に目を向ける必要もあろう。だが、現状の危機的状態と財政健全化実施とがもはや予断を許さない水域に踏み込んでいる事実だけは、 "リアルに" 認めざるを得ないのではなかろうか。
<IMF:日本の財政不安指摘、消費税増税勧める 報告書で
【ワシントン斉藤信宏】国際通貨基金(IMF)は14日、日本に関する年次審査報告書を発表し、「欧州での財政危機の深刻化で日本の財政に対する不安が高まっている」と指摘した。そのうえで、11年度からの財政再建の開始を求め、現在5%の消費税を今後10年で15%まで引き上げることを例示した。国内の税制論議に影響を与える可能性もありそうだ。
IMFは中期的な課題として、消費税の増税と社会保障費を除く歳出削減、社会保障制度改革に言及。「景気回復への道筋を確かなものとした上で、公的債務残高を持続可能な水準に引き下げる必要がある」と強調した。国内総生産(GDP)に対する公的債務の比率を安定的に引き下げるため、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標を設定することも重要になると指摘。財政健全化に向けた着実な政策実現を求めた。
また、財政健全化に向けて「景気減速やデフレに対処するための一層の金融緩和策が求められる可能性がある」と日銀の金融政策にも注文をつけた。
一方、日本経済の現状については「アジアの旺盛な需要に支えられて輸出が好調なことに加えて、政府の支援策による下支えもあり、力強さを増している」とし、今後も緩やかに回復を続けるとの見通しを示した。>(IMF:日本の財政不安指摘、消費税増税勧める 報告書で/毎日jp/2010年7月15日 11時22分)
<突出して悪化している>日本の財政状況に対する "海外でのシビァな認識" については、以下のような厳しい論評もある。
<大前研一の「産業突然死」時代の人生論 『政治家任せではこの国の迷走は止まらない』 ......
―― G20で周回遅れの再建を認めてもらった日本
カナダのトロントで開かれていたG20(20カ国・地域首脳会議)が6月27日(日本時間28日)、「先進国は2013年までに財政赤字を少なくとも半減させ、2016年までに政務債務の国内総生産(GDP)比を安定、もしくは低下させる」とする首脳宣言を採択して閉幕した。
ただし日本に関しては、「先にまとめた財政健全化計画を歓迎する」との表現にとどめており、首脳宣言の縛(しば)りから外してもらっている。その理由は、悲しいことに、先進諸国の中でも日本の財政状況が突出して悪化しているからだ。他国と同列に扱われずに、いわば周回遅れの再建を認めてもらったというわけである。
日本が今、3年後に財政赤字を対GDP比で半減せよ、と言われれば、文字通り「ソブリンリスク」(政府債務の信認危機)となる。その時には世界で唯一の資本逃避先となっている日本の国債や通貨(円)が暴落する危機に見舞われることになる。当然手持ちの米国債を売らざるを得なくなり世界的なパニックを呼ぶことになる。つまり、世界は日本が「嵐の前の静けさ」であることを良く理解しており、あえて雷管を踏まないことを選んだ、と言える。
......>(大前研一の「産業突然死」時代の人生論 『政治家任せではこの国の迷走は止まらない』/nikkei BP net/2010年7月14日)
"日本の近い将来の悲劇" をしっかりと見据えられない政治家たちには、もはやこれ以上 "任せて" おけないという思いが、今確実に広がりつつあるような気配だ...... (2010.07.16)
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