昨日は、 "アップル" 包囲網とも言えそうな動向を、"米MS" 、"グーグル「アンドロイド」" を例にして書いたが、いずれにしても "クラウドコンピューティング" に沿った動きだと言える。どうも、この "クラウドコンピューティング" の潮流についてはやはり着目しておく必要がありそうか。
ところで、今日、日経平均が大幅に反発した。13日の "米株続伸" を受けて輸出製造業を中心に買い戻しが加速、ほぼ全面高となったらしい。そして、その "米株続伸" を促したのが、 "インテル効果" (大手インテルが発表した第2四半期決算が市場予想を上回ったことで、米国の企業決算に対する期待感が上昇)なのだそうで、そのインテルの業績向上の様子は以下のとおりである。
<米インテル、売上高・営業利益が過去最高 4~6月期
【ニューヨーク=山川一基】米半導体大手インテルが13日発表した今年4~6月期決算は売上高、営業利益が四半期決算として過去最高、純利益も10年ぶりの高水準となった。アジア向けの売り上げが大幅に伸びた。
売上高は前年同期比34%増の107億ドル(約9500億円)、営業損益は39億ドル(約3500億円)の黒字、純損益は28億ドル(約2500億円)の黒字だった。
地域別の売り上げは、日本が48%の大幅増、日本を除くアジア太平洋地域が40%増だった。顧客の企業がネット経由でサービスやデータを受け取る「クラウドコンピューティング」に使うサーバーやデータセンター向けの需要が旺盛だったという。
同社は7~9月期の売上高も同様の伸びを予想し、今年の研究開発費を上積みすると発表した。>(米インテル、売上高・営業利益が過去最高 4~6月期/asahi.com/2010年7月14日10時15分)
ここで、着目しておきたいのが、<顧客の企業がネット経由でサービスやデータを受け取る「クラウドコンピューティング」に使うサーバーやデータセンター向けの需要が旺盛だったという。>という部分なのである。
半導体需要を押し上げて、半導体メーカーのインテルの業績を活性化させたのが、"クラウドコンピューティング" の動向だとするならば、やはりそれはかなりの規模だと考えざるを得ない。
もっとも、"クラウドサービス" のインフラである "サーバー" を無数に配置した巨大な "クラウド用データセンター" という施設では、半導体群を "湯水のように" 消費するらしいのだ。効率的なメンテナンスを志向するならば、「個々のサーバーが故障してもその状況を把握するだけで、取り換えない。一定の割合が壊れたときにコンテナ全体を取り換える」(加治佐俊一マイクロソフトCTO)という大技が適するそうであり、だからこそ半導体が "湯水のように" 消費されることが推定されるわけだ。
まあ、日本の場合、こうした "クラウド用データセンター" という施設建設が、立地条件(地震国!)や国内法の都合で困難だそうで、海外の施設に依存せざるを得ないという状況なのだそうだ。
が、そんな日本勢が漸く遅ればせながら動き始めたというのが、以下の記事なのであろうか......。
<クラウド・コンピューティング:企業向け、坂の上のクラウド 提携で追うMS・富士通
米マイクロソフト(MS)と富士通は13日、インターネットを通じてソフトやデータを手元のパソコンなどに取り込んで使う「クラウド・コンピューティング」事業で、提携すると会見し発表した。富士通のデータセンターを通じてMSのクラウドサービスを世界中で販売するほか、共同でソフト開発などもする予定で、企業向けサービスを強化する。【弘田恭子】
両社はまず、MSのクラウド用基本ソフト(OS)に対応したサーバーを共同開発し、富士通の群馬県館林市のデータセンターに導入し、国内企業向けに10年中のサービス開始を目指す。富士通が世界16カ国90カ所で運営するデータセンターを使って順次、サービスを展開する。共同開発したサーバー自体を世界中で販売することも検討している。 富士通は今年度、1000億円を投じて英国やシンガポールのデータセンターを増強する予定で、海外にデータセンターを持たない国内勢のNECや日立製作所よりクラウド分野で先行している。MSとの連携で、グーグルなどが先行する米国や新興国市場への営業を強化し、MSのパソコン用OS「ウィンドウズ」利用者を取り込みたい考えだ。
MSにとっては、企業向けクラウドビジネスで一気に巻き返しを図る狙いがある。MSは、インターネット上の電子メールサービス「ホットメール」など、一般消費者向けのクラウド事業には約15年前から取り組んできたが、企業向けビジネス参入は09年3月と遅い。企業向けは、日本で「エコポイント」のシステム運用を受注した米セールスフォース・ドットコムなどが世界で先行している。このため、MS単独で取り組むよりも企業向けシステム構築などで実績のある富士通と連携した方が得策と判断した。
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■ことば
◇クラウド・コンピューティング
データセンターで保存している顧客情報などのデータや電子メールや表計算などのソフトを、インターネット経由でパソコンなどに取り込んで使う仕組み。顧客は高額なサーバーやソフトを購入せずに済み、コスト削減につながる。ネットワークを図解する際に雲のように描かれることが多かったため、「クラウド(雲)」と呼ばれるようになった。>(クラウド・コンピューティング:企業向け、坂の上のクラウド 提携で追うMS・富士通/毎日新聞/2010年7月14日)
日本における "クラウドコンピューティング" の発展と問題点は、ひとえに国内設置の "クラウド用データセンター" の有無という点(情報[データ]の空洞化! 状況)には変わりなさそうであるが、いよいよ "クラウドサービス"、"クラウドコンピューティング" が大きなITトレンドを形成して行くことになるのであろうか...... (2010.07.15)
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