多少の事情があって、今日、参院選の "期日前投票" を済ませてきた。
昨今、このパターンを選ぶ有権者が増えているようだが、確かに、今日出向いた "地域の行政センター" は平日だというのに大賑わいであった。
皆それぞれに事情があるのだろう。自分の場合、従来、高齢のおふくろを指定された投票所まで送迎してきたのであるが、そこは駐車施設が無いために毎回クルマでごった返す混雑に見舞われる。危険でさえあった。そんなことで、ならば駐車施設が整った "行政センター" での "期日前投票" の方が適切ではないかと考えたのである。
行政当局も、 "期日前投票" をする人が増加する背景には、意外と "投票所" 環境にまつわるこうしたちょっとした問題点などが潜んでいるのではないかなどと検討してみるのも悪くはなかろう。
日曜日を投票日とする慣例も含めて、いま少し柔軟な環境設定を模索してみることだ。要は、 "棄権" 率を低減させるということのはずであろうから......。
さて、いよいよ選挙運動期間も残り一週間を割る後半戦に突入している。
与党民主党勢はおそらく "釈然としない心境" を引き摺っているに違いない。正直言って有権者各位も同じ "心境" 、あるいは何かすっきりとしない "苛立ち" をさえ抱え込んでいるのではなかろうか。少なくとも自身の心境はまさにそんなふうである。
まるで、 "二、三流の脚本演出家" による極めて拙(つたな)い映画作品の鑑賞に付き合わざるを得ない、そんなマズイ成り行きに巻き込まれてしまったといった状況か......。
要するに、一見心が躍るような "どんでん返し" の場面が持ち込まれ、観客にある種の方向性を予感させたまでは良かった。しかしその後が悪い。実にマズイ。
"感激したがり屋さん" の観客を突き放すかのように、 "唐突感" が拭い切れない下手な "一人芝居" を挿入してしまったからである。
観客にしたって、 "優れた脚本演出" (説得力ある説明!)の文脈で、然るべく "消費増税" 論議が提起されたならば、受け容れるにやぶさかではなかったのではないかと思われてならない。
それなのに、「弁士、野次に応えず」の鉄則をも踏み外すかのごとく、野党自民党による "消費税10%" 云々という挑発めいた野次を、まことに不十分かつ中途半端な体勢で採り上げてしまったからいけない。まるで浮気現場を女房に押さえられて、白を切るでもなく、感動的(?)に謝罪するわけでもなく、ただただうろたえる亭主といったその風情がいけなかった。
さらに、さらにである。ひとたび口にしてしまった数字付きの "消費増税" 論議の話なのだから、内閣支持率低下を恨めしく眺めながら、言葉を濁し、薄めたってダメなはずであろう。
むしろ「知らざぁ言って聞かせやしょ~!」(弁天小僧菊之助口上)という "大見得切り" のセリフしかないのではなかろうか。ホンキ度の徹底的表明である。
なぜ "消費増税" 論議が "不可避" なのかの背景説明を含めて、 "正面突破" を目指しつつ "説得力ある説明!" を展開し切るしかないのだと思われる。
別に有権者を愚弄するつもりはないのだが、観客は "感激したがり屋さん" であることは否定できない事実であろう。 "悪代官" を追い払ったことに感涙で咽んだ観客なのであるから、正面切ってホンキで "大見得を切る" ならば、「ウーム、そこまで言うのならやってみな」とならないでもない......。
ところで、"消費増税" 論議に関して、この時点での "説得力ある説明!" が不可欠であることについては、大方の有権者が気にかけている事柄ではなかろうか。今日、以下のような記事が眼に止まった。
< 経済同友会の桜井正光代表幹事は6日、日本工業倶楽部での定例記者会見で、参院選の争点になっている消費税率の引き上げについて「強い経済、財政、社会保障を実現するために消費税の負担はやむえを得ない。これをやれば国民の生活が豊かになるという説明が不足している」と消費税引き上げ論議のひとり歩きに苦言を呈した。
菅内閣の支持率低下については「勇気を持って消費税を争点にしたことは評価したい。ただ、強い経済実現に向けての流れのなかで消費税は説明しなくてはならない。この説明がないのは大問題だ」と述べた。
財政健全化と経済成長の両立については「無駄な歳出の削減に加え、新しい産業を興し、環境関連の技術や官民一体となったインフラ輸出など、適切な投資をすれば効果は上がる。組み合わせてしっかりやればできるはず」と語った。......>(消費税率上げ論議"ひとり歩き"に苦言 経済同友会の桜井代表幹事/産経ニュース/2010.7.6 16:21)
また、いつも "辛口" の田原総一朗の見立てはさらに手厳しい。"消費増税" 論議で "腰が引け" ていて、ホンキでやるという "リアリティー" を醸し出せていないのは、誰あろう「野党」意識が抜け切らない民主党自身ではないのか! と。
<......「私が申し上げているのは、消費税を含む税制の抜本改革について与野党で議論しようということだ」(日本経済新聞6月29付)
主要8カ国(G8)首脳会議(サミット)に出席した26日夜(日本時間27日午前)、トロント市内で記者団の質疑に応じて、菅さんがそう答えた。 10%への税率引き上げは公約ではないとし、消費税10%発言を修正したのである。
何を言っているのだろう。ここで弱気を見せたら、支持率は上がるどころか、下がる一方だ。
野党なら世論迎合でもよい。リアリティーがなくてもよい。だが、政権与党となれば話は違う。もし、消費税論議がきっかけで支持率が下がったのなら、それは国民に対する説明が足りないからである。民主党が消費税を上げると言っていることに、リアリティーがないせいだ。......
民主党は今、「野党」意識がむき出しになっている。国民にとって大変大切な消費税について、データもなく「上げる」と言い、データもなく「上げない」と言う。
民主党が政権を取って、せっかく論議がリアリティーを帯びてきたと思ったら、また民主党が日和見を決め込むようになっている。論議というものに民主党が耐えられなくなってきているのである。
メディアも何も主張しない。知らぬ顔だ。日本は皆がひよっている。>(リアリティーを失う民主党の「野党的な弱さ」/田原総一朗の政財界「ここだけの話」/nikkei BP net/2010年6月30日)
"期日前投票" が増えたため、選挙当日までに残された当事者たちの時間や可能性は思いのほか少ないのかもしれない。
だが、菅首相・民主党は、これから始まらざるを得ないロンゲスト・バトルたる "消費増税" 論議のためにも、この今、ありったけの知恵と気力を振り絞って挑むべきである。「知らざぁ言って聞かせやしょ~!」と "大見得を切る" ホンキ度醸成と、そして "説得力ある説明!" に臨むことに...... (2010.07.07)
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