参院選投票日がいよいよ迫っている。そして、 "内閣支持率" はいよいよ "急落" しているようだ。何となく "了解できてしまう空気" が "怖いと言えば怖い" 。
と言うのも、 "客観的政治情勢" にそれほどの大きな変化があったとは思えないからである。 "変化" と言えば、例の "消費増税検討についての菅首相の発言" ということになる。しかし、これについて言うならば、まだ "確証性" のある情報やメッセージが発信されたという段階ではないのではなかろうか。
まして、以下の報道記事が伝えるように、 "消費増税発言" は "内閣支持率" 低下の "決定打" とまでは行っていないようだからである。<菅直人首相が消費税率引き上げに関し、自民党公約の「当面10%」を参考に超党派で検討する考えを示していることについては、「評価する」45・3%、「評価しない」46・8%と賛否が拮抗。>とあるからだ。
<内閣支持率急落、43%に 消費増税検討は賛否拮抗
共同通信社は11日投開票の参院選をめぐる有権者の意識動向を探るため7、8両日、全国電話調査を行った。菅内閣支持率は第2回調査(6月19、20両日)から15・4ポイント急落し43・4%となった。不支持率は43・2%(13・2ポイント増)で支持、不支持がほぼ並んだ。菅直人首相が消費税率引き上げに関し、自民党公約の「当面10%」を参考に超党派で検討する考えを示していることについては、「評価する」45・3%、「評価しない」46・8%と賛否が拮抗。
比例代表の投票先は民主党23・7%(前回26・3%)、自民党17・3%(15・8%)。民主党は自民党より6・4ポイント上回ったが、差は前回より4・1ポイント縮まった。ただ選挙区でどの政党の候補者に投票するかについては、民主党22・6%、自民党20・9%で、両党の差は前回より8・4ポイント縮まり、1・7ポイントとなった。
ほかの比例投票先は、みんなの党7・7%(前回5・1%)、公明党6・4%(4・4%)、共産党2・9%(2・7%)、社民党2・0%(1・5%)、たちあがれ日本1・0%(0・6%)、新党改革0・8%(0・0%)の順。>(内閣支持率急落、43%に 消費増税検討は賛否拮抗/共同通信/2010/07/08 18:51)
何とも解釈に窮する推移のように思える。もっとも、 "鳩山内閣 → 菅内閣" の移行転換だけで "内閣支持率" が "V字回復" したこと自体が "非論理的" だったと言えばそう言えなくもなかった。
そして、その "非論理的" 推移がそのまま裏返しになって現時点での "急落" を生み出しているかのようでもある。
有権者国民があまりにも "成り行き的、情動的" な、 "非論理的" 意思表示をしているのはおかしい......、と目くじらを立ててみても始まらない。むしろ、 "世論" とはそうしたものだとクールでシニカルな見方をする必要があるのかもしれない。
で、その観点に立った上で注目しておきたいのが、メディアに関する次の二点なのである。
第一点が、 "メディア・リテラシー" (≒メディアへの批判姿勢)であり、第二点は、 "メディアの餌食" とならないための "賢い対処法" ということになろうか。
今さら、メディアにおけるジャーナリズム的機能が "摩滅" し "立ち腐れ" 状態にあることを嘆いても始まらない。大事なことは、メディアの "いい加減さ" をそれとして自覚しつつ、 "距離を置く" 必要があるということだ。それが "メディア・リテラシー" というものだろう。こうした、先進国では当たり前の事が、日本社会では馴染んでおらず、ややもすれば "メディア過信" と "メディアによる横暴" という両輪が形成されているかのようだ。メディアも、程度の差こそあれ "売らんかな" の商売をしているのであり、 "売れ筋" の情報を選りすぐって店頭に並べたがるものだという点を承知しておかなければならないわけだ。
ところで、先日、民主党から以下の記事のような<メディア批判>があったという。
<世論調査でメディア批判=仙谷官房長官
仙谷由人官房長官は5日午後の記者会見で、報道各社の世論調査で菅直人首相の消費税をめぐる説明などを評価しない意見が多いことに関し、「説明の仕方がいいとか悪いというところで評価するのは、ある種の(責任)回避的傾向だ」と述べ、設問が不適切だとの見解を示した。さらに「メディア自身が消費税、財政、社会保障問題のポジションをちゃんと持って言ってもらった方がいい」と批判した。
一方、菅内閣の支持率下落については「選挙になれば、与野党が全く平等に扱われるので、よくあることだ」と述べ、参院選公示前よりメディアへの露出が相対的に減ったことが要因との見方を示した。>(世論調査でメディア批判=仙谷官房長官/時事ドットコム/2010/07/05-17:31)
なるほど......と、半分は共感したが、今さら、しょうもないことを "官房長官" あたりが言っていてはいけません、という心境にもなった。メディアのそんな "拙さ~悪意" というものは、ほとんど "三つ子の魂百まで" に相当するものなのであり、だからそれらを "丸呑み" した上での "賢い対処法" を打ち出すのが "政治家" ではないのか......、と感じたものであった。
政治家たる者は、 "メディアの餌食" となるような "不用意" な事を、決して言ってはならないし、もちろんやっては致命的となるのだろうから......。
その意味では、政党側は、 "メディア・スタイリスト" とでもいうような、メディアに対する "賢い対処法" を逐一指南する部門を設定しなければならないとも考えられる。確か、小泉元首相には、 "飯島秘書官" という "メディア戦略担当官" が付き添っていたはずである。
まあ、政治組織にあまりにも "あざとい" メディア戦略を駆使されても困りものではあるが、逆に、期待を掛けようかとしている政治家たちが、メディアに対して "丸腰" 風のぶざまさを曝け出すそんな格好は見たくはないのである。
そんな風だから、逆にまるでメディアを手玉に取っているかのような "実績皆無の少数新党" の甘言に、有権者は "片思い(過剰期待)" することにもなるのではなかろうか。とかく "新製品" には見過ごされた "バグ" が残されており、 "iPhone 4" ではないが、期待に沿わぬ "受信感度不良" という不具合がないとは言えまい...... (2010.07.09)
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