猛暑の犠牲/熱中症で死亡/何とか自立している低所得者層が猛暑対策の盲点に! ......

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 言うまでもなく "猛暑" という気象状況は "自然現象" である。しかし、その "自然現象" がもたらしている "社会問題" 的な側面にしっかりと目配りできる "ヒューマンな文化" をわれわれは持っているのだろうか......。
 とかく、あちこちで異常の度を強めた昨今の "自然現象" は、それだけを云々しているレベルでは "万人に共通する自然現象" と言うほかはない。しかし、"異常な自然現象" がもたらす影響とその結果とに目を向けると、 "万人に共通する......" という形容部分は、 "社会的弱者を集中攻撃する" という "無慈悲" なものにすげ替わる!
 何でもない事実のようであるが、恐らく "この種のカラクリ" こそが現代文明という大きな手品にビルトインされた "タネ" なのであろう。また、それを現代文明の "恥部" なのだと言うこともできようか......。

 もはや都市生活において "クーラー" は当たり前の必需品となっている。しかし、自分のような世代では、 "クーラー" に対して "羨望の念" を抱いた切ない記憶が残存している。まだまだ、 "扇風機" で十分、"クーラー" なんぞは贅沢、という風潮が強かった時代のことである。
 そうした風潮の基盤には、経済的余裕の無さの問題もあっただろうが、都市住居の居住空間そのものが "木造住宅" という "非密閉" 方式が主流であったこともあろう。夏の暑さでも、少なくとも夜ともなれば、窓を開放しさえすれば戸外の涼しい空気が流れ込んだものだ。都市空間はまだまだ "寛容な自然" から見離されてはいなかったのだ。 "夕涼み" という季節用語が健在だったころの話ではある。

 ただ、急速な "都市化" の奔流の過程で、コンクリート建造物が主流となり、道路はアスファルト化され、緑を残した "空き地" はことごとく "貨幣価値" のある空間へと変貌させられてしまった。そして、多くの都市は "ヒートアイランド" ( heat island 都市部の気温がその周辺の郊外部に比べて異常な高温を示す現象)問題が浮上することになった。もはや、 "クーラー" が都市生活での必需品に堂々ランクアップさせられ、その "クーラー" から "排出" される "熱気" が事態をさらに亢進させることになった......。
 "都市化" という経済・社会的傾向は、一方で、生活必需品としての "クーラー" を入手できる階層を拡大し、それはそれで "恙無い流れ" を作ったかのようでもある。
 しかし、所詮、"都市化" 現象も一種の "手品" であることに変わりはなく、"クーラー" 設置に手が届かない少なくない "貧困下層" を生み出さざるを得ない。 "恥部" とは、隠され続けるからこそそう呼ばれるわけだが、"都市化" 現象という "手品" の "恥部" もまた、 "蓋をする" 扱いとされてきたようだ......。

 今、この稀に見る "異常気象" の "猛暑" は、あたかも "都市化" 現象のそんな "恥部" を否応なく露見させることになっている。
 これに似た最近の別の社会現象としては、 "リーマンショック" 後に多発した "派遣切り" で、異常な "格差社会" という "恥部" が露呈したことが思い起こされる。
 気象にせよ、経済ジャンルにせよ、"異常事態" が突発すると、 "手品" は無残にバラけて "タネ" ( "恥部" )が露見するということになるのであろう......。
 こんなことを考えさせられた報道記事を以下に紹介しておきたい。

<猛暑:元ホームレス犠牲に 保護受けず自立も扇風機なく
 東京都内で先月、ようやく仕事を見つけた元ホームレスの男性(48)が、冷房のない部屋で熱中症とみられる症状で亡くなった。今月15日にも、電気代が払えないため、エアコンを使わずに暮らしていたさいたま市の無職男性(76)が熱中症で死亡したばかり。専門家は「生活保護受給者には、十分ではないにせよケースワーカーなどフォローの態勢があるが、何とか自立している低所得者層は猛暑対策の盲点になっている」と指摘している。【飯田和樹】

 東京都心で3日連続の猛暑日となった7月23日。池袋駅周辺の清掃の仕事を終えた男性が足元をふらつかせながら、豊島区内の勤め先に戻った。翌日も仕事だったが、区から清掃業務を請け負う勤め先の法人の代表理事、宮本礼二郎さん(66)は休むよう指示した。週末で土日の24、25日は休んだ方がいいと考えたからだ。しかし、週が明けても男性は姿を見せなかった。
 男性は数年前まで、新宿区内の公園で野宿生活を送っていた。支援団体「新宿連絡会」の笠井和明代表は1年ほど前、普段は無口な男性が「ようやくうまくいったよ」と就職をうれしそうに報告したことを覚えている。「少しぶっきらぼうなところはあったが、人のいいタイプだった」と振り返る。
 男性は熱心に働き、宮本さんは「無欠勤で、同僚が急に休めば進んで代わりを申し出てくれた」と話す。それだけに男性が姿を見せないことをいぶかしく思った。しかも、この日は給料日。「余裕がないのに、取りに来ないのは考えられない」と新宿区内の男性のアパートを訪ねた。
 風呂なし、トイレは共同の2階建てアパート。宮本さんは大家に事情を話し、2階にある4畳半の男性の部屋に入った。「窓は開いていたが、熱気がこもっていた。彼は布団の上に、目や口が半開きであおむけに横たわっていた。見た瞬間、亡くなっていることが分かった」。クーラーどころか扇風機もなかった。
 駆け付けた救急隊員が体温を測ると、死後数時間が経過しているにもかかわらず、40度を超えていた。宮本さんは警察から「もうろうとした状態で誰かに助けを求めようとしたのか、携帯電話には亡くなった26日の未明に番号にならない数字を発信した履歴が残っていた」と聞いた。「なぜ、自立への道をまじめに歩んでいた彼が犠牲になったのか」。今でも悔しさがこみ上げるという。
 低所得者層が猛暑の犠牲になる背景には、生活保護の受給基準である「最低生活費」未満で暮らす世帯が少なくないことがある。07年の国民生活基礎調査を基に、厚生労働省が推計したところ、生活保護を受けている世帯は108万世帯だが、それ未満の収入で生活している世帯は597万世帯に上った。>(猛暑:元ホームレス犠牲に 保護受けず自立も扇風機なく/毎日jp/2010年8月19日 15時00分

 "異常事態" が同時多発化している現代にあっては、必然的にこうした "タネ明かし" としか言いようのない悲惨な現実が次々と陽の目を見ることになるのであろうか...... (2010.08.20)













【 SE Assessment 】 【 プロジェクトα 再挑戦者たち 】








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