今日は、"PDF 電子書籍" 云々といった話題とは打って変わった、まことに "爺むさい" 話を書くことになる。
自身の "ローカルな話" はひとまず後回しとして一般論的な結論から言うならば、この深まり行く "高齢化時代社会" にあっては、 "高齢者なり加齢を自覚する世代に特有の医療情報" をもっと一般化してゆくべきではなかろうか、ということなのである。
ひょっとしたら自分の情報不足、あるいは偏った思いでしかないのかもしれない。それらを否定するつもりはない。が、どうもこうした "情報" は必ずしも一般的に広まってはいないような気がするのである。
その根拠を推定するならば、以下のような点が挙げられそうか。
① 従来は、高齢者は "マイナーな存在" と見なされていたことや、 "生い先短い" 者たちへの "医療" は重視されてこなかった......。
② 高齢者たちの疾患は、とかく "歳だから致し方ない" とか、"加齢に伴う症状" という "アバウトな括り" で対処されがちであった......。
③ 高齢者たち自身も、"歳だからしょうがないか......" と諦め気味で、疾患に関して積極的に訴える姿勢を持たなかった......。だから、なおのこと医療関係側にも "臨床事例" の情報が蓄積されにくかった......。
要するに、 "前途のある世代" の疾患への対処こそが医療の本命だと言わぬばかりの風潮のために、高齢者たちの特有の疾患は "後回し(?)" にされてきた嫌いが無きにしもあらずだったのではないか......。
ところが、時代の事情は一変することになった。全人口に占める高齢者たちの比率が凌駕し始めたからである。
そして、問題は "高齢者人口の増大" という側面ばかりではなく、"高齢者の疾患に関する正確な情報が希薄(?)" という累積的問題も重なるとなれば、"対高齢者医療" の進展が芳しくないとしてもさもありなんと思えたりする。これもまた、昨今の "医療危機" 問題のひとつの側面だと言ってよさそうな気がするわけだ。
とにかく、"高齢者なり加齢を自覚する世代に特有の医療情報" を早急に蓄積 = 一般化(啓蒙)する必要があありそうだ......と。
で、自身の "ローカルな話" である。
ちなみに、"上腕二頭筋腱断裂(じょうわんにとうきんけんだんれつ)" という医学用語を聞き知る人はいらっしゃるだろうか。では、ポパイで知られた両腕の "力こぶ" が、突然 "変容する" というそんな症状を聞き知る人はどうだろうか?
実は、 "加齢を自覚する" 自分は、そんな症状に定かな自覚がないまま、見舞われてしまったのである。この一ヶ月の間のことであるが、右腕の"右上腕二頭筋" 、いわゆる "力こぶ" を作る筋肉のかたちが妙に変形していたである。別に、痛みなどの自覚がないのが不思議と言えば不思議であった。
わかり易い図が <八王子整形外科/上腕二頭筋長頭腱断裂って何?> のサイトで掲載されている。要は、"力こぶ" の上部の一部が "肘" 寄りに移動してしまったのである。
<上腕の力瘤(ちからこぶ)をつくる上腕二頭筋長頭腱が、肩の部分で腱の変性や腱鞘の慢性炎症が原因で断裂します。重量物を日常的に運ぶ人やゴルフ等のスポーツで発症します。断裂直後は、肩から上腕に痛みが出ますが、この痛みは数日で消失します。上腕の力瘤は、遠い所にかたまりとして出ます。肩と肘の動きに支障はありません。......
断裂した腱は自然に治る事はありませんが、日常生活上あまり支障が無いので、特に治療はせず、放置します。しかし、肘を曲げる力が左右で違ってくるので、筋力のバランスを必要とする仕事をしている人やスポーツ愛好家には、断裂した腱を上腕骨に固定する手術をすることもあります。>(同サイトより)
では原因はと言うと、別サイトに以下のような記述があった。
<原因は何か
高齢になると、肩関節の部分で長頭腱の上面を包んでいる腱板が自然に高率に断裂します。長頭腱の断裂の大部分は、この腱板の断裂に伴って長頭腱が徐々に摩耗(まもう)され、何でもない日常生活中に生じます。
一方、どの年齢層にも腱板断裂を伴わない長頭腱断裂が生じます。肉体労働やスポーツ(ことに剣道)に伴って、急に力を入れた時にブチッという音とともに断裂します。下端の腱断裂は中・高年の男性肉体労働者に多く、下から重い物を急に持ち上げる時や、高い所からの荷崩れを支えようとした時などに生じます。><gooヘルスケア/上腕二頭筋腱断裂>
要するに、"加齢" が主たるもので、プラス "肉体労働やスポーツ" だと言うことらしい。
この "症状" は幸い "痛みもない" し<日常生活上あまり支障が無い>だけに、こうして暢気なことを書いている。(まあ、とりあえず最寄の病院で "診察" だけはしてもらったが。)
しかし、こんなふうに "自覚しにくい" がゆえに、翻って考えると、全国の高齢者の中には "無自覚の隠れ「上腕二頭筋腱断裂」患者" が数多く潜んでいないとは言えないような想定をするのである。現に、自分の近辺の高齢者の知人の中にも、ご本人はそれと気づいていない方がいらっしゃったりする......。
で何が言いたかったかというと、このケースなぞは大したことではないのでよいが、"高齢者なり加齢を自覚する世代に特有の疾患" の中には、由々しき疾患でありながら、<放置します>扱いで潜伏しているケースも少なくなさそうな気がするわけなのだ。
たとえば、 "認知症" にしたところが、今でこそようやく広く取り上げられることになっているが、少し以前までは "歳だから致し方ない" とか、"加齢に伴う症状" という "アバウトな括り" で対処されてきたのではなかったかと思える。
現代の医療問題に関しては、至るところ問題だらけではあるが、"高齢化時代社会" が深まるだけに、関係当局はもっと精力的に "高齢者なり加齢を自覚する世代に特有の医療情報" の蓄積と一般化(啓蒙)に意を傾けてもらいたいものである...... (2010.09.23)
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