"電子書籍(eBook)"こそは"ハイパーリンク"性の実現を!/"インタラクティブ"の要! ......

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 秋の夜、独り静かに読書に勤しむ......。灯下に、インクの匂いを漂わせる "紙書籍" の頁(ページ)が白く照り映える......、という日常の喧騒から "隔絶した" 風情もまた悪くはない。元来、"読書" とはそうした "個人的営為" であるのかもしれない。
 ただ、ページの文脈に蠢く "知識・情報" や "観念・想念" というものは、決して "孤立" して納まっているのではなく、"連想" の動きのように、あるいは "脳細胞ニューロン" の働きのように、絶えず関係付けやリンケージへの触手を延ばしていそうである。
 つまり、"書籍" (=読書)というものは、どのページを取り上げても、どの言葉を取り上げても、要するにどの部分を取り上げてみても、決して閉じたかたちで "孤立" してはいないわけだ。網の目のような "相互関係" (リンケージ)で充ち充ちている。
 この辺の事情が、"ハイパーリンク、ハイパーテキスト" (※ 1.)という視点の大元になっているのであろう。

(※ 1.) <文書内に埋め込まれた、他の文書や画像などの位置情報。ハイパーリンクを用いて複数の文書、および関連する画像などのオブジェクトを関連付けたシステムをハイパーテキストという。WWWはハイパーテキストの代表例で、Webブラウザで文書を表示し、リンクのある場所を,マウスでクリックすると、関連づけられたリンク先にジャンプするようになっている。><IT用語辞典 e-Words ハイパーリンク 【hyperlink】(リンク)より>

 何が言いたいのかというと、"紙の書籍" が "電子書籍(eBook)" へと変貌を遂げようとしている今、"電子書籍(eBook)" は、"紙の書籍" がその構造ゆえに引き摺ってきた "制約" (言葉や各部分などの間の相互関係付けが苦手?)を乗り越えて、"ハイパーリンク、ハイパーテキスト" の視点を豊穣に実現すべきではなかろうか、と思うのだ。少なくとも、である。
 "電子書籍(eBook)" が、単に "紙の書籍" と同様に "字面" を電子的に再現するだけでは、余りにもシステム的貧困だとしか言えないような気がする。
 既に "Web ページ" で実現されている水準の "ハイパーリンク" 性の実現を推進してこそ、"電子書籍(eBook)" としての面目躍如たるものがあると言えそうである。

 自分は、松岡正剛氏の千夜千冊(<松岡正剛の千夜千冊 (放埓篇・遊蕩篇 - 目次)>)というサイトをしばしば閲覧するのだが、さすがに "編集" という言葉・概念をキーワードとしている松岡正剛氏だけはあって、そのサイトも "ハイパーリンク、ハイパーテキスト" の視点が "ど貫徹" されていると感心するのである。「孤立する言葉や観念はあり得ないんじゃないですか!」と喝破する松岡正剛氏の声が聞こえてきそうですらある。
 ところで、この "ハイパーリンク、ハイパーテキスト" の視点というものを、「ちなみに......」とか「余談ですが......」という安直な次元の意味に引き下げてはマズイと思っている。 "当面の文脈" を過剰に尊重するならばそうした扱いが当然視されるのかもしれないが、それでは "書籍" たるものの "パースペクティブ" が無さ過ぎる。
 人は、"当面の目的" を持って、"書籍" における "当面の文脈" を追うには違いないのだが、しかし、こうした "パック・ツアー" のような "読書" スタンスでは、得るべきものも得られないような気がしている。
 もっとも、昨今の "読書" = "How to 本の読書" が支配的な風潮の中では、あまりうるさいことは言うべきではないのかもしれないが......。

 さて、この "ハイパーリンク、ハイパーテキスト" の視点というのは、実は "広義" の意味での "インタラクティブ" (※ 2.) 性なのではないかと見なしている。
 IT製品の "インタラクティブ" と言えば、"マン・マシン・インターフェイス" としてのそれだけが話題とされがちだが、事、"電子書籍(eBook)" & "Book リーダー" に関して言えば、"ハイパーリンク、ハイパーテキスト" の構造・構成はれっきとした"インタラクティブ" 機能だと思える。
 いかに、多彩な "マン・マシン・インターフェイス" の "インタラクティブ" 機能が実現されたとしても、"ハイパーリンク、ハイパーテキスト" という視点での "インタラクティブ" 面が貧弱であれば、"電子書籍(eBook)" の読者を失望させることになりかねないと思われる。

(※ 2.) <相互に作用する、対話的な、双方向の、相乗効果の、などの意味を持つ英単語。
 利用者の操作に対して即座に反応を返す対話的なソフトウェアの操作方式や、提供者と利用者の間に双方的なやり取りが生じるようなインターネットサービス、利用者の働きかけ応じて内容や状況が刻々と変化する性質を持ったコンテンツなどのことを「インタラクティブな~」という。><IT用語辞典 e-Words インタラクティブ【interactive】より>

 最後に、この<"インタラクティブ" 機能 ―― "ハイパーリンク、ハイパーテキスト" 視点>というテーマに着目したついでに、今ひとつ書き添えておきたい点がある。
 それは、"インター・パーソナル(個人相互間)" な平面での<"インタラクティブ" ―― "ハイパーリンク、ハイパーテキスト">とでも言うべきなのかと思っているが、要するに、"読者間" の "情報交換" の問題なのである。
 冒頭で、「秋の夜、独り静かに読書に勤しむ......。」と書いたが、現代では、"読書" とは "インター・パーソナル(個人相互間)" な平面での "情報交換" や "交流" と表裏一体となったアクションなのだと考えるのが自然なようである。いや、これ無くして、"独り静かに......" とはいかなくなっているのかもしれない。
 もっとも、過去においても知人・友人などとのパーソナルな関係の中で動機付けられる "読書" が一般的であったのかもしれない。(が、現代では、この関係機能が弱体化しているとの見方もある......)
 幸い、"電子書籍(eBook)" はネット環境を通して、"インター・パーソナル(個人相互間)" な平面での "情報交換" や "交流" が成立し易い環境となってもいる。文字よりも情報量が豊穣な、"生きて歩く" 存在(同時代の他者)との "ハイパーリンク" が、より "電子書籍(eBook)" をアクティブにしてくれるはずであろう...... (2010.10.23)













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