書店に並ぶ昨今の "紙の書籍" は、実に上手い?! 何が上手いかといって、本命の書籍の内容が優れているとかどうかとかではない。顧客が、買ってみようかと思う気分に誘う、その持って行きようが実に上手いと思うのだ。
キャッチフレーズ、コピーフレーズは、何かと不安感で充満した顧客の、その無防備な心のドアの隙間をスルリと忍び込んでくる。顧客側とて、さほど個性的な視点を持って書棚を覗いているわけでもなかろう。耳や目に馴染んだ、"通りの良い" キーワード群で頭の中が埋まっているため、そんな "受け皿" 状態で書棚を観察する。
すると、そうした "受け皿" をこそ待ってましたとばかりに、"売れ筋" キーワードを巧みに加工したコピーフレーズ、それらをこれ見よがしに搭載した表紙・帯が、もっともらしく訴えかけてくるということになる。
そして手に取ろうものなら、もはや "手付け" を打ってしまったかのように "権謀術数" に嵌まり込んでしまう......。
コピーフレーズやセールスアピールは、その筋の専門家がサバイバルをかけて案出した文章であるだけに、反論どころか抗う気分をさえ萎えさせるパワーに溢れていたりするからだ。
おまけに、表紙の装丁が巧みである。中でも表紙のデザインは文句なく優れている。内容は "何もないよ~" の書籍であっても、何かすばらしい内容が書籍内のどこかに隠されているに違いないというような、そんな "思い込み" を誘うのだ。
別に、"紙の書籍" の出版事情を書こうとしているわけではない。要するに、書籍というものも "見てくれ、外見" が、60%以上の比重をかけて勝負を仕掛けているそんな商品であろうということ。この比率が高いのには相応の理由がある。実用品とは違って、相応の使用価値があるわけでもなくて、いわば読者の主観的な受け止め方に委ねられた "おみくじ" 的性格が拭い切れないからだ。だから、"先入観" や "動機付け" に働き掛ける "前振り" をこそ重視するのかもしれない。映画やTVドラマも同じだが......。
そして、"前振り" 的効果がそれなりに期待できるのが "見てくれ、外見" のメイクアップであり、その結果、キャッチフレーズ、コピーフレーズ、表紙のデザインなどに多大な労力とコストが掛けられる......。
今日、書こうとしてことは、"電子書籍"の制作を志す場合、"紙の書籍" の出版事情に対して "犬の遠吠え" をしていても始まらないだろうということ。むしろ、"紙の書籍" が相応の効果を発揮している側面は、それなりに見習っても良かろう、ということ。
つまり、もはや "読み手" 側にとって当然視されている "ビジュアル" なもの、表紙のデザインであるとか図表や挿絵などは適時活用しなければならない、ということなのである。
もちろん、内容は "何もないよ~" の "丸腰" で "厚化粧" だけをするのは "?" であるに違いないが、"画像活用" の面にも精一杯意を傾けたいものだと思っている。
自分が気に入る文章をひとが気に入るかどうかは難しい課題であるが、自分が気に入ったり好感を持つ絵や写真などの画像については、結構、他のひとへの訴求性も高いような実感を持っている。
買う気もなく書店に行くのもいいが、"Amazon" のサイトで、書籍の表紙のデザインだけを "観察しまくる" のも勉強になるのかも...... (2010.11.16)
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