"ページ単位" の表示が指定できる "PDF 電子書籍" とは異なり、"ePub 電子書籍" は、下手をすれば "Web ページ" のように縦長で連続したページの、その "ぶつ切り" 表示になりかねない。
"章立て"、"章区切り" の構成までを考慮した書籍の場合、やはり各章の "頭" は、表示ページの最上部の先頭に表示したいに違いなかろう。いわゆる "頭出し" 表示のことである。
これを、"XHTML" スクリプトの修正という "手作業" の調整で進めると、結構煩わしい作業になってしまう。
その点、"ePub editor = Sigil" であれば、"頭出し" したい各章 "頭" 部分の直前の "行" にカーソルを置いて、"Chapter Break" を掛けるとスンナリと対処される。
要するに、"XHTML" ファイルが "分割" されるのである。しかも、分割されたそれぞれの "XHTML" ファイルに、元の "XHTML" ファイルを成り立たせていた冒頭の基本スクリプト部分やその他の部分が、しっかりと "継承" され、独立した "XHTML" ファイルが並列することになる。
また、これはありがたいと思えたのであるが、ページ内で設定した "リンク" 関係(リンク元、リンク先の設定)が放置されずに、分割され並列ファイル化した新たな構成に従ったものとして "自動修正" されるのである。だからここでも大幅に作業が軽減されることとなる。
そもそも、この "Chapter Break" 機能は、書籍本編の " XHTML" ファイルの先頭にグラフィックの "表紙" を付け足すためのものであったようだ。
つまり、書籍本編の " XHTML" ファイルでコンテンツのスクリプトが始まる箇所の直前に、"表紙" の画像を "挿入" のかたちのスクリプトで書き込んでおき(なお、これに関しては、メニューバーから「Insert」→「Image」と進むと簡単に実行され、それに関するスクリプトは自動生成される)、その後、その "表紙" 部分と書籍本編とを "別々の章" として分割する、というふうにである。
もちろん、この "表紙" 挿入の機能もまた実に便利な仕掛けだと評価してきた。
"電子書籍(eBook)" に限らないが、書籍にとって "表紙" は重要な意味を持ち、だからこそ別の画像ソフトでじっくりと作成したいものであろう。その際、その画像が本編書籍に安定した手順で "組み込み" 可能だということがわかっていると、安心して画像作成に当たれるからである。
そして、この "表紙" の設定のために元のファイルを "分割" する手法が、そのまま "章区切り" に援用され、実に便利な役割を果たすようになったのが、この "Chapter Break" 機能だということになろうか。勝手な解釈ではあるが、そんなふうに考えている。
それで、この機能を実行する手順について触れておきたい。
先ず、ワークエリアには "Book View" モードを表示させておき、"分割" したい "行" にカーソルを移動させておく。なお、事情によってはこれができない場合もあろうかと思うが、その場合は、"Cord View" 画面に切り替えて、"分割" したい "行" と思しき行を "改行スクリプト" などを書き込んで作り上げるしかなさそうだ。それで再び "Book View" モードに戻れば、所定の "行" にカーソルの点滅が表示されているはずだ。
ここで、メニューバーから「Insert」→「Chapter Break」へと進むならば、あっと言う間に、"分割" が完了し、左サイドのファイル構成のリスト欄に、再構成されたリストが表示されているのが確認できる。
つまり、最上部の「Text」フォルダの中に、当初は無かった「Section0001」とか「Section0002」という新たな "xhtml" ファイルが付け加わっているはずなのである。
なお、この新ファイルを "Book View" モードで開いてみると、見事に "頭出し" がなされていることがわかる。
実際ブック・リーダーでページを捲ってゆくと、この "章区切り" 機能が素直に実行されていて、新たな章は、きちんと "頭出し" されており、ページの最上部から始められている。
この "Chapter Break" 機能を適時活用していくならば、とかく制作者の意図とは違ったページ・レイアウト(ページ区切り)表示となってしまうことで悩まされて来た "ePub 電子書籍" 作りも、ある程度思いどおりのイメージに近づけさせることができそうである...... (2010.11.07)
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